この記事でわかること
- AIに任せやすいのは、営業時間・手続き方法・利用条件など、答えの参照元がはっきりした定型の問い合わせです。
- 契約・個人情報・クレームなどは人が対応し、AIは下書きまで。送信は人が確認します。
- 最初は1か月分の問い合わせを3つに仕分け、メール返信の下書きから小さく試します。
問い合わせAIに任せやすいのは営業時間や手続きなど定型の問い合わせ。契約・個人情報・クレームは人が対応します。3つの仕分け方と、最初の5ステップを解説します。

この記事でわかること
AIは問い合わせ対応の負担を減らせます。ただし、すべてを任せるものではなく、人が見る部分を残して使うものです。
ここで見る数字は、中小企業全体のAI活用の数字です。問い合わせ業務だけを調べた公的な統計は、今回確認できた範囲にはありません。
AIを導入している中小企業は20.4%です。「一部の業務で導入」と「全社的に導入」の合計で、およそ5社に1社です。対象は回答した1,647社で、調査期間は2025年11月17日〜12月12日です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]
AI活用に取り組んだ事業者に目的を聞くと、「業務時間の節減」が84.5%でした。対象は1,685事業者で、複数回答です。「人手不足の解消」は40.5%でした。[出典:中小企業庁(2026)]
生成AI(文章や画像を作るAI)の方針も見ておきます。「積極的に活用する」か「領域を限定して利用する」とした中小企業は58.1%です。対象は従業員10名以上でデジタル化に取り組み始めた企業の管理職以上で、中小企業の有効回答は162です。ここでの中小企業は、製造業などで300人未満、卸売・小売とサービス業などで100人未満の会社です。[出典:総務省(2026)]
日立ソリューションズは、AIチャットボット(自動で受け答えするプログラム)のメリットを次のように紹介しています。[出典:日立ソリューションズ「AIチャットボットのメリット・選び方」]
WEEL は、過去の履歴やマニュアルを使って一次対応の負担を軽くする使い方を紹介しています。
注意
AIには、間違った回答をする、初期費用がかかる、導入後も人が運用・改善を続ける必要がある、個人情報の扱いに気をつける、という注意点があります。日立ソリューションズや WEEL が挙げている点です。コストは、導入の壁になりやすい項目です。
AI導入の阻害要因で、「導入にあたっての高コスト」は最も高く46.9%でした。複数回答で、対象は有効回答1,668の中小企業です。調査期間は2025年11月17日〜12月12日です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]
問い合わせは「AIに任せる」「AIが下書きして人が送る」「人だけで対応する」の3つに分けます。迷うものは人の側に寄せると、判断しやすくなります。
giftx、stock-sun、WEEL、SHIFT AI の主張をもとに整理すると、次の表になります。[出典:giftx「ai-customer-support-guide」][出典:stock-sun「inquiry-ai-support」][出典:WEEL「inquiry-response-automation」][出典:SHIFT AI「ai-mail-reply-practical-guide」]
| 区分 | 向く問い合わせの例 | AIの役割 | 送信・最終判断 |
|---|---|---|---|
| AIに任せる | 営業時間・手続き方法・利用条件の案内、営業時間外の受付返信 | 決まった参照元をもとに答える | 定型の範囲はAI。範囲外は人に渡す |
| AIが下書き、人が送る | メールの返信案、クレームの構成案 | 下書きを作る | 人が確認・修正して送る |
| 人が対応する | クレーム・トラブル、契約・法務、個人情報、個別事情の強いもの | 原則、人が対応する | 社長・担当者が見る |
giftx は、営業時間・手続き方法・利用条件のように、参照元が明確な問い合わせがAI向きとしています。stock-sun は、問い合わせ直後の一次対応(最初の受け答え)が向くとしています。例は次のとおりです。
SHIFT AI は、受信メールからAIに返信の下書きを作らせ、担当者が確認・修正して送る使い方を紹介しています。[出典:SHIFT AI「ai-mail-reply-practical-guide」]giftx は、クレームについてもAIは構成の下書きまでで、送信は人としています。
契約・法務、個人情報、クレーム・トラブルは、原則として人が対応します。stock-sun は、個別事情の強い問い合わせをAIだけで完結させるのは慎重にとしています。
注意
お客さまへの回答は、会社の回答として出ていきます。責任の法的な線引きは、ここでは断定しません。運用としては、会社として送信前の確認者を決めておきます。
uravation は、問い合わせAIの使い方を窓口別に5つに分けています。選ぶときは製品名より、自社の問い合わせの件数と、元になる資料の整い具合を比べます。
営業の返信や提案書でも同じ考え方が使えます。営業AIは何から?最初の1業務を選ぶ5ステップ
uravation は、問い合わせAIの使い方を5つに分けています。最初はFAQボット(よくある質問に自動で答える仕組み)、次にメール自動返信から始めるのがよいという考え方です。[出典:uravation「問い合わせAI 完全ガイド【2026】|中小企業のCS自動化5パターン」]
表の「向く場面」と「準備するもの」は、編集部の整理です。
| パターン | 向く場面 | 準備するもの |
|---|---|---|
| FAQボット | 同じ質問が何度も届く | よくある質問とその答え |
| メール自動返信 | メールでの問い合わせが多い | 過去の問い合わせと返信の例 |
| チャット一次対応 | 件数が多く、人手が足りない | FAQと、人に渡す流れ |
| 電話AI受付 | 電話の最初の受付を軽くしたい | 聞き取る項目と、渡す先 |
| 社内ナレッジ検索 | 社内の資料から答えを探したい | マニュアルなどの社内資料 |
仕組みの種類もあります。日立ソリューションズは、機械学習型(過去のデータから学ぶ)、生成AI型(文章を作る)、RAG型(社内の資料を探して答えを作る)の3種類を挙げています。FAQや問い合わせ履歴の整い具合で、向くタイプが変わります。[出典:日立ソリューションズ「AIチャットボットのメリット・選び方」]
giftx は、既製のサービスと独自開発で費用が大きく違うと説明しています。見積もりは、範囲をそろえて比べるのがコツです。[出典:giftx「ai-implementation-cost-3-patterns」]
次のチェックリストで、選ぶ前に確かめてください。
専任の担当者がいない会社でも、社長や事務の方が少人数で始められるやり方です。書き出す、仕分ける、下書きを試すの順に進めます。
問い合わせ対応の全体像は、問い合わせ対応をAIで減らす|まず1週間のメモからもあわせてご覧ください。
メール・電話・LINEなどの問い合わせを、種類ごとに数えます。完璧でなくてかまいません。
準備するもの
書き出した問い合わせを、どの問い合わせをAIに任せ、どれを人が見るのか?の3区分に当てはめます。迷うものは人の側に入れます。
専用ツールを入れる前に、手元の生成AIで返信の下書きから試します。SHIFT AI は、指示文(プロンプト)の書き方で出力の質が変わるとしています。下書きは必ず人が読み、直してから送ります。
注意
始める前に社内ルールを決めます。お客さまの名前・連絡先などの個人情報を入れないこと、契約内容も入れないことです。宛名は「お客様」のように置き換えて使います。
元になる資料が整っているほど、AIの答えは安定します。日経BPの資料は、問い合わせメールやチャットの履歴を貼り付け、FAQの題名と本文の下書きをAIに作らせる使い方を紹介しています。[出典:日経BP Active資料「問い合わせ履歴からFAQを作る」]貼り付ける前に、名前や連絡先は消しておきます。
AIが答えられないときに人へ渡す流れを決めます。誰が、いつまでに返すかまで決めると、たらい回しを防げます。
giftx は、一部の問い合わせカテゴリに絞って小さく始め、効果を測って広げるとしています。次のチェックリストで、送信前の確認項目を決めてください。
社内にITに詳しい人がいれば、自社で進められます。仕分けや社内ルールの決め方に迷うなら、一緒に進める伴走支援も選択肢です。
進め方の違いは、AIコンサルと伴走支援の違い|選び方と契約前の質問で整理しています。
| 進め方 | 向く会社 | 手間 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 自社で進める | ITに詳しい人がいて、問い合わせの種類が絞れている | 棚卸しとルール作りを自社で行う | ルールと確認者を決めてから始める |
| 伴走支援を使う | ITに詳しい人がいない。仕分けやルールの決め方に迷う | 相談しながら進められる | 相談しても、送信前の確認者は自社で決める |
カクヤクAIXは、AI活用の進め方を相談できるサービスです。問い合わせの仕分けや社内ルールの決め方に迷ったら、AI活用の相談先としてカクヤクAIXにご相談ください。
ポイント
誤回答が出たときのために、「送信前の確認者を決める」運用に落とし込みます。どちらの進め方でも、この点は変わりません。
Q. うちの問い合わせのうち、AIに任せてよいのはどれですか?
営業時間や手続き方法など、答えの参照元がはっきりした定型のものです。契約・個人情報・クレームは人が対応します。仕分けの考え方はどの問い合わせをAIに任せ、どれを人が見るのか?で説明しています。
Q. AIが間違った回答をしたらどうなりますか?
お客さまに届く前に、人が確認して送る形にします。AIが答えられないときは、人に切り替える流れも決めておきます。お客さまの個人情報をAIに入れない社内ルールも、あわせて決めます。
Q. 費用や手間はどのくらいですか?ITに詳しい社員がいなくても始められますか?
費用は、サービスの種類や範囲で大きく変わります。見積もりは、範囲をそろえて比べてください。ITに詳しい人がいなくても、手元の生成AIで返信の下書きを作る形から始められます。
Q. 専用のツールは必ず必要ですか?
必須ではありません。まずは生成AIで返信の下書きを作り、人が確認して送る形から試せます。件数が増えてから、専用のツールを考えても遅くありません。