この記事でわかること
- AI電話は、電話の受付・聞き取り・取り次ぎ・記録を自動でやる仕組みです。種類で得意なことが違います。
- 任せるのは、時間外の受付、折り返し先の聞き取り、よくある質問です。クレーム、急ぎ、お金や契約の話は人が受けます。
- 聞き間違いと急ぎへの備えを決め、1回線か時間外だけで1か月試します。そのあとで広げるか決めます。
AI電話は種類で得意が違います。任せる電話と人が受ける電話、費用の比べ方、聞き取りミスへの備え、1か月の試し方を整理しました。

この記事でわかること
AI電話は、話した内容を聞き取って、受付や振り分けを自動でする仕組みです。種類を取り違えると目的に合わないので、先に4つの型を見分けます。
たとえば、夜に届いた注文の問い合わせをAIが聞き取り、用件を記録して朝に担当者へ知らせる使い方があります。
ポイント
選ぶ前に「自社の電話で何を楽にしたいのか」を決めておくと、種類を絞れます。
AI電話は、音声認識などの技術で、相手の話す用件を聞き取ります。ボイスボットとも呼ばれます。
従来の自動音声は、「○○の方は1番を押してください」と、番号で振り分ける方式でした。AI電話は、お客様が話すだけで用件を伝えられます。
メモ
ボイスボットは、電話で話しかけると、AIが声を聞き取って答える仕組みのことです。
AI電話は、大きく4つの型に分かれます。自社の目的に合うのはどれかを、次の表で確かめます。
| 種類 | できること | 向く会社 |
|---|---|---|
| 会話で応対する型 | 用件の聞き取り、定型の自動応答、折り返し先の聞き取り、担当者への転送 | 受付や取り次ぎ全般を任せたい会社 |
| 文字起こし・要約で担当者を支援する型 | 通話の内容を文字にして要約し、メールやチャットで知らせる | 電話は人が受け、記録の手間を減らしたい会社 |
| 予約受付に特化した型 | 日時や人数を聞き取り、予約として受け付ける | 予約の電話が多い会社 |
| 発信・営業型 | AIから電話をかける | 問い合わせ対応が目的なら対象外 |
任せる電話と人が受ける電話は、自社の電話を数えてから決めます。感覚で決めるより、取りこぼしや行き違いを減らしやすくなります。
問い合わせ対応全体の考え方は、問い合わせ対応をAIで減らす|まず1週間のメモからも参考になります。
メリットは次の4つです。
AIを使う目的では、電話に限らず、時間の節約を挙げる事業者が多くなっています。省力化投資でAIを活用した事業者のうち、「業務時間の節減」を挙げたのは84.5%でした。
この調査は、AI活用全般について、AIに「取り組んだ」事業者1,685社に聞いたものです。複数回答で、電話に限った数字ではありません。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]
苦手なことも3つあります。
注意
聞き取りミスは、仕組みの性質として起こります。起きる前提で、聞き取りミスと急ぎの電話にどう備えるかの対策を先に決めておきます。
導入を決める前に、自社の電話を1〜2週間数えます。紙かスプレッドシートに、かかってきた電話の用件を1本ずつ付けます。
付けた用件は、次の3つに分けます。
次のチェックリストで、記録する項目を確かめてください。
数えた結果をもとに、線を引きます。目安は次の表のとおりです。
| 電話の種類 | AIに任せるか | 理由 |
|---|---|---|
| 営業時間外の受付 | 任せる | 人が出られない時間でも、用件を残せる |
| 折り返し先の聞き取り | 任せる | 名前と番号を記録すれば、人が折り返せる |
| よくある質問 | 任せる | 答えが決まっているので、ぶれない |
| クレーム | 人が受ける | 気持ちへの配慮と、その場の判断が要る |
| 急ぎの電話 | 人が受ける | 待たせると損害が出る |
| お金や契約の話 | 人が受ける | 本人の確認と、責任ある判断が要る |
| 常連のお客様 | 人が受ける | 顔なじみの対応が、信頼につながる |
費用は、月額だけでなく総額で比べます。選ぶときは、次の観点で各社に確認します。
AIを入れるときの大きな壁の一つは、費用です。AI導入の阻害要因で「導入にあたっての高コスト」が最も高く、46.9%でした。
この数字は、AI全般のものです。対象は中小企業で、この設問の回答は1,636社、複数回答です。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026)]
費用の内訳は、4つに分けて見ます。初期費用、月額、電話番号の費用、通話量に応じた従量課金です。料金は各社で変わるので、見積もりで確かめます。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 目的に合う種類か | 自社の目的が、4つの型のどれにあたるか |
| 聞き取りの精度 | 自社の電話で試せるか |
| 人への切り替え | 必要なときに、人へ電話をつなげるか |
| 今の電話番号 | 今の番号をそのまま使えるか |
| 他の仕組みとの連携 | 予約や顧客管理の仕組みとつながるか |
| 費用の内訳 | 初期費用・月額・電話番号・従量の総額はいくらか |
| 無料プラン・お試し | 本契約の前に試せるか |
メモ
無料プランやお試しは、期間や使える機能に限りがあります。自社の電話で試せるか、試した後に何が残るかを確かめます。
聞き間違えても、急ぎの電話を取りこぼしても、誰がどう気づくかを先に決めます。止まらない流れを作っておくと、AIに任せたときの心配を減らせます。
注意
騒音、方言、はっきりしない話し方では、AIが聞き取れないことがあります。聞き取れたものを、そのまま信じない運用にします。
復唱や文字での通知ができるサービスなら、用件をAIに復唱させ、お客様に確かめてもらいます。名前と電話番号は、文字で担当者へ通知させます。できるかどうかは、サービスによって違うので、選ぶときに各社に確かめます。
そのうえで、折り返しは人が行います。聞き違いがあっても、人が折り返す時に直せます。
「至急」「事故」などの言葉が出たら担当者の携帯へ回す設定ができるか、選ぶときに確かめます。できる場合は、その流れを決めておきます。
聞き取れないときも、人へ自動で転送する流れを決めます。これもサービスによって違うので、あわせて確かめます。転送先は、時間帯ごとに決めておきます。
範囲を1つに絞って始め、1か月ほど様子を見てから広げます。全部を一度に任せる必要はありません。
任せる範囲の決め方は、問い合わせAIは何を任せる?人が見る所と5ステップでも説明しています。
たとえば、営業時間外の電話だけを1回線で試す方法があります。昼の電話は今までどおり、人が受けます。
ポイント
始める範囲が小さいほど、失敗の影響が小さく、見直しも早くできます。
次の3つから、1つだけ選びます。
前の章で数えた結果から、いちばん電話が多く、定型のものを選ぶと決めやすくなります。
AIが答える想定問答(シナリオ)を作ります。ここは手間がかかります。
人へ回す言葉と、聞き取れないときの転送先も決めます。くわしくは急ぎの電話への備えをご覧ください。
AIが電話に出ることは、事前に案内します。ホームページや電話の案内文に書いておきます。
人と話したいお客様のために、逃げ道を用意します。番号を押すと人へつながる形が、その一例です。
電話番だった社員の役割は、変わります。AIの記録を見て折り返す仕事や、判断が要る電話に集中する仕事です。
役割をどう変えるかは、社長が決めます。社員に先に伝えておくと、不安が減ります。
1か月使ったら、次の3つを見ます。
結果を見て、範囲を広げるか、変えるか、やめるかを決めます。
最初の1業務の選び方は、営業AIは何から?最初の1業務を選ぶ5ステップもご覧ください。
営業時間外の受付、折り返し先の聞き取り、よくある質問が向いています。クレーム、急ぎ、お金や契約の話は、人が受けます。くわしくは任せる電話・人が受ける電話の線引き表をご覧ください。
聞き間違いは起こる前提で、備えを決めます。用件を復唱させ、人が折り返す形にします。くわしくは聞き取りミスへの備えをご覧ください。
使える場合と、使えない場合があります。選ぶときに、今の番号をそのまま使えるかを確かめます。くわしくは費用と選び方:何を比べればよいかをご覧ください。
費用は、サービスや使い方で変わります。初期費用、月額、電話番号の費用、従量課金の総額を、各社に確かめます。お試しがあるかも、あわせて聞きます。
機械的な応対を嫌がるお客様もいます。AIが出ることを事前に案内し、人に代われる逃げ道を作っておきます。