RPAとは?AI-OCRとの違いを1週間で見分ける手順

RPAは、パソコン上の決まった入力や転記を自動で繰り返すソフトのロボットです。紙・FAXならAI-OCRが先。1週間の書き出しで自社に合うか分かります。

要点3行

  • RPAは、パソコン上の決まった入力や転記を、自動で繰り返すソフトのロボットです。
  • 元が紙・FAX・PDFならまずAI-OCR、画面から画面への転記ならRPAです。
  • 1週間、社内の転記作業を書き出して仕分ければ、自社に当てはまるか自分で分かります。

RPAとは何か。ひとことで言うと「画面操作を覚えて繰り返すロボット」です

RPAは、パソコンの中で動くソフトのロボットです。手順が決まった入力作業を、人の代わりに繰り返します。

RPAは「ロボティック・プロセス・オートメーション」の略です。英語ではRobotic Process Automationと書きます。[出典:IBM「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは」]

メモ

工場で動くロボットとは別物です。形はなく、パソコンの画面の中で動きます。

たとえば、事務員さんがExcelの数字を別のシステムに毎日打ち直しているとします。この「見て、開いて、打ち込む」手順を覚えさせれば、ロボットが同じ手順をくり返します。

RPAが得意なこと

得意なのは、手順が決まっていて、毎回同じ形で進む作業です。

IBMの解説では、RPAはデータの抽出、フォームへの入力、ファイルの移動などの反復作業を自動化するソフトとされています。[出典:IBM「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは」]

三井住友フィナンシャルグループの用語辞典も見てみます。向く部門には、総務・経理・人事・営業支援が挙がっています。利点には、作業が速くなること、人のうっかりミスを防げることを挙げています。[出典:三井住友フィナンシャルグループ DX-link「RPAとは?機能や向いている業務、導入のメリット、活用事例などを解説」(2024)]

RPAが苦手なこと

苦手なのは、人の判断が必要な作業や、毎回形が違う作業です。

RPAは決めたルールのとおりに動きます。ルールに誤りがあると、誤った処理をそのまま繰り返すおそれがあります。

だから、最初に決める手順が正しいかどうかが大切です。

RPAの3つの種類

RPAの道具は、動く場所で3つの種類に分けて説明されます。情報サイトのITトレンドの解説をもとに整理します。[出典:ITトレンド「【種類別】RPA14選比較!サーバ型・デスクトップ型・クラウド型の違いとは」(2025)]

種類 動く場所 向く使い方
デスクトップ型 1台のパソコンの中 パソコン1台の作業から小さく始める
サーバー型 自社のサーバー(会社の共用コンピューター) 部署をまたいで大きく使う
クラウド型 インターネットの向こうのサーバー ブラウザ上の作業を早く始める

同じ解説では、デスクトップ型は管理がその人任せになりやすいとされています。クラウド型は、パソコンの中の操作には対応しにくいとされています。

なぜ今、社内の手作業が気になるのか。中小企業の手作業の残り方

ITを入れた中小企業でも、手作業は多く残っています。RPAはその手作業を減らす手段の一つです。

中小企業基盤整備機構の調査では、ITを導入済みの中小企業のうち、業務の8割以上が手作業の会社は20.2%でした。対象は922社です。調査期間は2025年11月17日から12月12日です。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026)]

最も多かったのは、手作業が6〜8割弱(60〜79%)の会社で、31.5%でした。

AIを活用した事業者の目的も、見ておきましょう。中小企業庁の白書では、活用の目的で「業務時間の節減」を挙げた事業者が84.5%でした。複数回答で、対象はAIに取り組んだ1,685の事業者です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)。元資料は帝国データバンク「令和7年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」]

メモ

なお、この調査はAI全般が対象で、RPAだけの数字ではありません。

AI-OCRとRPAは何が違う?入口は「元の書類が紙かどうか」で決まります

ポイント

見分け方は一言です。紙・FAX・PDFならまずAI-OCRの話。画面同士の転記ならRPAの話です。

たとえば、FAXで届いた注文書を考えます。紙の文字を読み取ってデータにするのがAI-OCRです。そのデータを注文システムに入力するのがRPAです。

紙・FAX・PDF データ 業務システム AI-OCRで読む RPAで入力 紙ならここから 画面にデータ ここから入る
紙の書類はAI-OCRで読んでからRPAで入力し、画面にデータがあるときはRPAから始めます。

AI-OCRとRPAの役割の違い

RPAは、画面操作の手順を覚えて繰り返します。AI-OCRは、紙や画像の文字を読んでデータにします。

この2つを組み合わせるのが、よくある使い方です。AI-OCRで読み、RPAでシステムに登録します。

AI-OCRそのものの仕組みは、AI-OCRとは|紙の文字をデータにする「OCR+AI」のことで説明しています。

生成AIとはどう使い分けるか

RPAは、決まった手順の定型作業が得意です。生成AIは、文章づくりや問い合わせ対応のように、柔軟さが要る作業が得意です。

手順が毎回同じならRPA。内容が毎回変わるなら生成AI。まずはこの目安で考えてください。

自社のどの作業が当てはまる?1週間でできる見分け方の手順

社長ご自身で、1週間あれば見分けられます。書き出して、3つの質問で仕分け、1つだけ選びます。選んだ後は、小さく試してから広げます。

転記・入力作業を書き出す

1週間、社内の転記・入力作業を書き出します。

たとえば、伝票の処理や、メールの内容をExcelに入力する作業が書き出しの候補です。

3つの質問で仕分ける

作業ごとに、次の3つを確かめます。

質問 「はい」の意味
毎回同じ手順か RPA向きの条件の一つ
画面の中だけで終わるか RPA向きの条件の一つ
元が紙か 「はい」ならAI-OCRが先
毎回同じ手順か 画面の中だけか 元が紙か はい はい いいえ いいえ 見送り 見送り はい いいえ AI-OCRが先 RPA向き
3つの質問に順に答えると、RPA向き、AI-OCRが先、見送りのどれかに仕分けられます。

紙のスキャンや、USBメモリの抜き差しは、画面の外の作業です。RPAの対象にはなりません。

向く作業を1つだけ選ぶ

選ぶ目安は4つです。手順が決まっていること、繰り返すこと、ルールが安定していること、パソコンの上で終わることです。

この4つがそろう作業を、1つだけ選びます。最初から全部は狙いません。

選んだら、ロボットに覚えさせる前に手順そのものを見直します。むだな手順をそのまま覚えさせると、むだも一緒に繰り返すからです。

メモ

Excelの機能で足りる作業もあります。RPAを考える前に、今使っているソフトやExcelの機能で足りないかを、先に確かめてください。

小さく試してから広げる

選んだ1つの作業で、まず試します。うまく動いたら、作業の手順を紙に残します。

次に、ロボットを直せる人を2人決めます。理由は作った人にしか直せない問題で説明します。ここまでできてから、2つ目の作業に広げます。

作った人が辞めたら?ルール変更で止まる?RPAの落とし穴と対策

RPAには落とし穴が3つあります。直しの手間、作った人への頼りきり、利用料以外の費用です。

ルールが変わる業務は直しが手間

注意

ルールがよく変わる業務は、設定の直しが手作業より手間になることがあります。

対策は、ルールがよく変わる業務を後回しにすることです。変わりにくい業務から始めます。

作った人にしか直せない問題

小さな会社では、ロボットを作った担当者が辞めると、誰も直せなくなることがあります。ロボットそのものが「その人しか分からないもの」になるのです。

対策は3つです。

辞めても止めない対策

  • 作業の手順を、紙1枚に書いて残す
  • 直せる人を2人にする
  • 作った人が休んでも回るか、先に確かめる

たとえば、毎日の伝票入力にロボットを使うなら、手順の紙を事務所に置きます。担当者を2人決めておけば、1人が辞めても止まりにくくなります。

費用は利用料だけではない

RPAの費用は、道具の代金だけではありません。社内の人の時間もかかります。

中小企業基盤整備機構の調査で、ITを入れるときの妨げを聞いています。最も高かったのは「導入にあたっての高コスト」で、52.4%でした。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026)]

複数回答です。IT全般についての数字で、RPAだけの数字ではありません。調査期間は2025年11月17日から12月12日です。

見積もりを取るときは、次のチェックリストで費用のかかり方を確かめてください。

  • 始めるときの費用(初期費用)
  • 毎月かかる利用料
  • サーバー型なら、保守や運用にかかる費用
  • ロボットづくりを外に頼むなら、その費用
  • ルールが変わったときに、設定を直す人の時間

よくある質問

Q1. RPAは結局なにをしてくれるのですか。Excelからシステムへの打ち直しを任せられますか。

任せられます。パソコン上で手順が決まっている打ち直しは、RPAの得意分野です。ただし、毎回同じ手順で進むことが前提です。

Q2. 紙の注文書やFAXの入力にも使えますか。AI-OCRとどちらから考えますか。

先に考えるのはAI-OCRです。紙の文字を読み取ってデータにしないと、画面に入力できないからです。データになった後の入力を、RPAが引き受けます。(AI-OCRとRPAの役割の違い)

Q3. 小さな会社では、どの作業なら当てはまりますか。ルールが変わったら止まりますか。

手順が決まり、繰り返し、パソコンの上で終わる作業が当てはまります。まず1週間書き出して、1つだけ選んでください。

ルールが変わると、設定の直しが手間になることがあります。変わりにくい業務から始め、手順を紙に残しておけば、別の人でも直しやすくなります。

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