Excel転記をAIに任せる範囲|最初の1つと5ステップ

Excelへの転記は、AIで紙やPDFを読み取って表に入れるところまで任せられます。確認は人が行います。最初の1つの選び方と、少量で試す5ステップを解説します。

この記事でわかること

  1. Excelへの転記は、AIで「読み取って表に入れる」ところまで任せられる。ただしAIが読み間違えることがあるので、確認は人が行う
  2. 最初は「量が多い・形式が毎回同じ・間違いに気づきやすい」転記を1つだけ選び、少量で試すのが安全
  3. ITを導入済みの中小企業でも、手作業はまだ多く残っている。まず無料や少量で試し、うまくいけば広げる

ExcelのAIは、転記をどこまで任せられるのか

Excelの転記でAIが得意なのは、紙やPDFを読み取って表に入れるところです。Excelの中の作業と、Excelの外から入れる作業の2つに分けて考えると、転記に効くのは主に後者です。

紙の注文書や伝票を、Excelに手で打ち直している会社は多いはずです。この記事では、AIでどこまで任せられるかと、最初に何から試すかをお伝えします。

ポイント

Excelの中は「数式や整形」、Excelの外は「紙・PDF・メールの取り込み」。打ち直しの手間に効くのは、主に外から取り込む仕組みです。

Excelの中でできること

Excelの中では、日本語で頼んで関数(計算の式)を作らせられます。むずかしい式の意味をAIに説明させ、担当者の引き継ぎに使うこともできます。

重複や表記ゆれを直したり、並べ替えや要約をさせたりもできます。データの分析やグラフ作りにも使えますが、転記とは別の話なので、ここでは触れません。

Excelには、セルに指示を書いて要約や分類をさせる「COPILOT関数」があります。使うにはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要と、ITmedia(エンタープライズ)が2025年8月の記事で紹介しています。最新の提供条件はMicrosoftの公式で確認してください。[出典:ITmedia「Excelに『COPILOT関数』爆誕 自然言語による指示が可能に 使い方と利用例」(2025)]

紙・PDF・メールからExcelに入れる

紙やPDF、画像を読み取って表にする道具があります。文字を読み取る仕組み(AI-OCR)や、スマホで撮影して表に変える機能です。

フォームやメールの内容を、自動でExcelに書き込む方法もあります。専門の知識がなくても組める「ノーコード連携」という仕組みを使います。

ChatGPTなどの生成AIは、ファイルを渡して整形させたり、関数やマクロ(作業の自動化)のコードを作らせたりできます。使える機能や条件は、サービスごとに変わります。

紙の文字をデータにする仕組みの基本は、AI-OCRとは|紙の文字をデータにする「OCR+AI」のことで説明しています。RPAとの違いは、RPAとは?AI-OCRとの違いを1週間で見分ける手順をご覧ください。

中小企業の手作業は、どれくらい残っているのか

転記にかかる時間だけを調べた調査は、見つかりませんでした。そこで公的な調査で、手作業が多く残っている様子を見ます。

調査の時期は、中小企業基盤整備機構が2025年11月から12月です。AI導入の壁として最も多く挙がったのは、「導入にあたっての高コスト」の46.9%です。複数回答の結果で、だからこそ最初は無料や少量で試すのが合っています。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

自社に当てはめると、いま手で打ち直している転記は、AIで楽にできる候補になります。

メモ

手作業の割合の調査は、ITを導入済みの会社が対象です。中小企業すべての数字ではありません。

転記の流れのどこをAIに任せ、どこを人が見るのか

AIに任せるのは「読み取る」と「Excelに入れる」です。「確認する」と最終の判断は、人が持ちます。

転記は、5つの流れに分けられます。受け取る、読み取る、Excelに入れる、確認する、次の工程へ進める、の順です。

AIに任せる 人が確認する 1 受け取る 2 読み取る 3 Excelに入れる 4 確認する 5 次の工程へ 数字と固有名詞は、必ず人が見ます
AIに任せるのは「読み取る」と「Excelに入れる」で、「確認する」は人が持ちます。

注意

AIは、読み間違えたり、存在しない関数を出したりすることがあります。数字と固有名詞は、必ず人が見てください。

AIの読み間違いは、誰が見つけるのか

見つけるのは、人です。仕組みにしておくと、担当者の注意力だけに頼らずにすみます。

一般的なやり方は2つあります。元の書類と、件数や合計金額を突き合わせます。金額や件数、取引先名のように間違うと困る所だけは、人が1件ずつ見ます。

顧客の情報を入れても大丈夫か

個人情報や機密は、そのまま入れないのが基本です。名前や住所を伏せてから入れるか、入れてよいデータを社内で決めます。

使うサービスの規約や設定は、各社で確認してください。データの扱いは、サービスごとに違います。

自社のどの転記作業から手をつければよいのか

最初の1つは、「量が多い」「形式が毎回ほぼ同じ」「間違いに気づきやすい」の3つで選びます。機能の紹介は多いですが、社長に必要なのは「どれから始めるか」です。

3つの目安で、最初の1つを選ぶ

候補の作業を並べて、次の3つで比べます。①量が多い。②形式が毎回ほぼ同じ。③間違うと困る。ただし最初は、確認がしやすいものにします。

紙の書式でも、読み取りやすさは変わります。画像を表に変えるサービスを提供するImageToTable.aiの解説記事は、解像度の低い画像、罫線のない表、斜めから撮った画像では、読み取りが崩れやすいとしています。[出典:ImageToTable.ai「AIは画像から表を抽出できる?はい — その精度と仕組み」(2026)]

罫線のない表は、読み取りが外れやすい書式です。手書きやFAXの書類も、画像が粗かったり傾いていたりすると、読み取りが崩れやすくなります。最初は、印刷された表から試すのが安全です。

観点始めやすい慎重に試す
量毎週まとまった件数がある年に数回だけ
形式毎回ほぼ同じ書式取引先ごとにばらばら
ミスの影響金額が小さい、すぐ気づける請求や納品に直結する
手書きか印刷か印刷された書類手書き、FAX
罫線の有無罫線のある表罫線のない表
傾きや画質まっすぐで鮮明傾き、かすれ、影がある

道具の種類は「何を比べるか」で選ぶ

製品名で選ぶ前に、道具を4つの種類に分けます。アドインは、Excelに付け足して使う機能のことです。向く作業、費用のかかり方、手間の3つで比べます。

種類向く作業費用のかかり方手間
Excel内蔵数式づくり、整形、要約ライセンスなどの条件があるExcelの中で完結する
汎用の生成AI整形、関数やマクロの作成サービスごとに異なるファイルを渡して指示する
専用のアドイン・OCR紙やPDFの読み取りサービスごとに異なる導入と書式の調整が必要
ノーコード連携フォームやメールの自動取り込みサービスごとに異なる流れを組む手間がかかる

無料で試せる範囲と有料の違いは、プランや条件が変わります。公式で最新を確認してください。

次の問いで、候補を絞れます。次のチェックリストで、いまの作業を確かめてください。

  • 毎週または毎月、決まった量がある
  • 書類の形式が、毎回ほぼ同じである
  • 印刷された書類で、画像が鮮明である
  • 間違いがあっても、人が見てすぐ直せる

最後に、転記そのものをなくす段階があります。紙で受け取るのをやめ、フォームで入力された時点でデータとして受け取る形です。今の転記、AIで楽にする、転記しない形の順に進みます。

段階1 今の転記 紙を手で打ち直す 段階2 AIで楽にする 読み取りを任せる 段階3 転記しない形 フォームで受け取る
紙の打ち直しから始め、AIで楽にし、最後はフォームで受け取る形をめざします。

最初の一歩を、少量で試す手順

1つの転記作業を、1週間分ほどの少ない量で試します。5つのステップで進めます。

試す転記作業を1つ決める

3つの目安で、最初の1つを選ぶで選んだ作業を、1つだけ決めます。試す担当者も1人決めます。複数を同時に試すと、うまくいかない原因が分かりにくくなります。

見本を数枚そろえる

個人情報や取引先名を伏せた書類を、数枚用意します。いつもの書式と、少し崩れた書式の両方を入れます。

AIに読み取らせ、Excelに入れる

指示は、具体的に書きます。どの列に何を入れるか、Excelのバージョン、入れるセルの位置を伝えます。

マネーフォワードの解説記事は、どんなデータがあり、どんな結果がほしいかを具体的に伝えると、精度の高い数式が得られると紹介しています。[出典:マネーフォワード クラウド「ChatGPTでエクセルを自動化するには?連携方法や関数・編集を解説」(2026)]

元の書類と突き合わせる

件数、合計金額、固有名詞を、人が元の書類と見比べます。間違った箇所の傾向も、メモします。手書きの数字や、傷んだ紙で多く起きるかを見ます。

やり方を手順書にして、誰でもできるようにする

指示文と確認のしかたを、手順書にします。担当者1人に頼っていた転記を、ほかの人でも進めやすい作業に近づけられます。

うまくいけば、量を増やします。だめなら、別の作業か別の道具で試します。確認の考え方はAIの読み間違いは、誰が見つけるのかに戻って見直せます。

メモ

手順書には、使った指示文と、見つけた間違いの傾向も書いておきます。次に試すときの近道になります。

よくある質問

手書きやFAXの書類でもAIで読み取れますか

読み取れる場合もありますが、精度は書式で変わります。手書きやFAXの書類は、画像が粗かったり傾いていたりすると外れやすくなるので、最初は印刷された表から少量で試してください。見極め方は3つの目安で、最初の1つを選ぶにあります。

今使っているExcelのまま使えますか

使える場合があります。内蔵機能はライセンスやバージョンの条件があるので、公式で確認してください。COPILOT関数は、使うにはMicrosoft 365 Copilotのライセンスが必要と、ITmedia(エンタープライズ)が2025年8月の記事で紹介しています。最新の条件はMicrosoftの公式で確認してください。[出典:ITmedia(2025)]

まず無料で試せますか

無料で試せる範囲は、サービスごとに違います。条件は公式で確認してください。

AIが間違えたら誰が気づきますか

気づくのは人です。元の書類との突き合わせを、仕組みにします。AIの読み間違いは、誰が見つけるのかで説明しています。

顧客の情報を入れても大丈夫ですか

そのまま入れるのは避け、伏せてから入れます。入れてよいデータは社内で決めてください。顧客の情報を入れても大丈夫かをご覧ください。

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