この記事でわかること
- AI-OCRは「OCR+AI」です。手書きや書式がバラバラな帳票に対応する製品もあります。
- 精度は100%ではありません。読み取り後の人の確認が前提です。
- 紙の量や社内の体制によって、向き不向きがあります。
AI-OCRは紙の文字をデータにするOCRにAIを組み合わせたもの。手書きや書式がバラバラな帳票に対応する製品もありますが、精度は100%ではなく、読み取り後の人の確認が前提です。

この記事でわかること
AI-OCRは、紙の文字をデータにする仕組み(OCR)に、AIを組み合わせたものです。人が紙を見て打ち直していた作業を、機械が肩代わりします。
メモ
OCRは、紙の文字を機械が読み取って、パソコンで使える文字にする技術です。AIは、たくさんの例から覚えて、人に近い判断をする仕組みです。
たとえば、FAXで届く注文書を、事務の方がExcelに打ち込んでいるとします。この打ち直しを、機械が読み取ってデータにします。人は、その結果を確かめる役に回ります。
御社の事務の方にも、紙を打ち直す時間はありませんか。ITを入れても、手作業が残る会社は少なくありません。紙の転記も、その手作業の一つです。
ITを導入済みの中小企業のうち、業務の8割以上が手作業の会社は20.2%です。およそ5社に1社の割合です。対象はITを導入済みの922社です。2025年11〜12月の調査です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]
では、AIを使った会社は何を期待したのでしょうか。省力化投資でAIを活用した事業者のうち、目的に「業務時間の節減」を挙げた割合は84.5%でした。対象はAI活用に取り組んだ1,685事業者で、複数回答です。[出典:中小企業庁(2026)]
この数字は、省力化投資でのAI活用について聞いた結果で、AI-OCRだけを聞いたものではありません。
AI-OCRの読み取りは、大きく3つの段階に分けて説明できます。細かな手順は、製品によって違います。
AIの部分では、文字の例をたくさん覚えさせる方法を使います。機械学習と呼ばれる方法で、深層学習(ディープラーニング)もその一つです。
読み取りを重ねるほど、精度が上がるサービスもあります。どこまで上がるかは、サービスと帳票によって違います。
AI-OCRのメリットは、主に4つです。どれも、紙の打ち直しが減ることから生まれます。
| メリット | 中身 |
|---|---|
| 打ち込みの時間が減る | 人は打つ役から、確かめる役に回る |
| 人が打ち込む量が減る | 人の打ち込みが減る。読み違いは確認で見つける |
| 紙を探す手間が減る | データとして保存すれば、紙の束から探すより見つけやすくなる場合がある |
| 後の作業につなげやすい | 会計ソフトや、決まったパソコン操作を自動で行う仕組み(RPA)に渡せるものもある |
ただし、確認の時間は残ります。効果の大きさは、紙の枚数、打ち込みと確認の時間、料金で変わります。計算のしかたは月に何枚から検討する?で説明します。
違いは主に3つです。手書き文字、書式がバラバラな帳票、曲がったりぼやけたりした文字への対応です。
従来のOCRは、読み取る位置を先に指定する方式が中心でした。「ここに金額が書いてある」と教えておく方式です。この方式では、書式が変わると設定の見直しが必要になることがあります。
AI-OCRは、前後の文字や並びから、何が書いてあるかを判断します。取引先ごとに請求書の形が違っても、読める場合があります。
従来のOCRは読む位置を先に決め、AI-OCRは前後の文字から判断して読みます。
| 項目 | 従来のOCR | AI-OCR |
|---|---|---|
| 書式の違いへの強さ | 書式が変わると弱い | 書式がバラバラでも対応しやすい |
| 事前準備 | 読み取る位置の指定が必要 | 書式がバラバラ向きのタイプは、位置の指定なしで読める |
曲がった文字やぼやけた文字も、AI-OCRは認識しやすくなっています。ただし、一度も学んでいない形式では精度が下がることがあります。
AI-OCRは、大きく3タイプに分かれます。「定型」は毎回同じ書式、「非定型」は書式がバラバラという意味です。自社の紙に近いものを選びます。
ポイント
迷ったら、まず自社の紙を並べます。毎回同じ形か、バラバラかを見ます。
使う形は、大きく2つに分かれます。違いは、読み取る処理とデータをどこに置くかです。
| 形 | どんなものか | 気をつける点 |
|---|---|---|
| クラウド型 | インターネット経由で、提供会社の設備を使う | 自社にサーバーを置かずに始められる。書類のデータは社外で処理される |
| 社内設置型 | 自社のサーバーなどに入れて使う | データを社内にとどめやすい。設置や保守を自社で行う必要があるかは、提供会社に確かめる |
社内設置型は、オンプレミス型とも呼ばれます。選べる形は、提供会社によって違います。
データの扱いは、サービスごとに違います。契約前に、次の3点を確認してください。
取引先の名前や金額が載った書類を読ませるため、特に確認してください。答えは、それぞれの規約や窓口で確かめます。
ポイント
99%でも、安心とは言えません。読み取り後の確認を、誰がどう行うか。それを先に決めておきます。
認識率は、正しく読めた割合のことです。何を単位に数えた数字か(文字か、項目か)は、サービスに確かめます。
たとえば、文字単位の認識率を99%と仮定します。平均では、100文字あたり1文字の誤りに当たります。実際の誤りの数は、帳票によって変わります。
その1文字が数量や金額なら、請求の間違いにつながります。
確認と修正は、取引先の書類を知っている事務の担当者が行います。確認のしかたは、サービスによって違います。
たとえば、元の画像と読み取り結果を並べて見比べ、違っていたら直す方法があります。購入前に、確認の方法を確かめましょう。
流れの一例は次のとおりです。
確認と修正の流れ
IT担当がいない会社でも、この確認はできます。パソコンに詳しいかどうかより、書類の中身を知っているかが大切です。
帳票の登録や設定を誰が行うかは、サービスによって違います。購入前に、サポートの範囲を確かめましょう。
ツール名ではなく、業務の流れで見ます。
読み込ませられるファイルの形は、使っているソフトによって変わります。自動で入るかどうかは、条件によります。購入前に確認が必要です。
読み取り後に担当者が確認と修正を行い、そのあとデータを会計ソフトやExcelに入れます。
これまでとの違いを表にまとめます。
| 作業 | これまで | AI-OCR導入後 |
|---|---|---|
| 紙の文字の打ち込み | 人がすべて打つ | 機械が読み取る |
| 間違いの発見 | 入力した人が見直す | 読み取り後に担当者が確認する |
| 担当者の仕事 | 打ち込みが中心 | 確認と修正が中心 |
次の場合は、精度が下がりやすくなります。手書きの癖、FAXのかすれ、毎回違う書式、学んでいない形式などです。対策は、記入ルールの統一、原本の品質、まず試すことの3つです。
たとえば、かすれたFAXの注文書は、文字の一部が欠けて読めません。機械でも人でも、読み違いが起きやすくなります。
FAXと手書きが混ざっている会社は、その両方を試す対象にします。どこまで読めるかは、帳票の状態で変わります。
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 手書きの癖が強い | 似た文字を読み違える | 枠内に書く、数字の書き方をそろえるなど、記入ルールを決める |
| FAXのかすれ | 文字が欠けて読めない | 原本や、パソコンで開ける書類ファイル(PDF)で送ってもらえないか、取引先に相談する |
| 書式が毎回違う | 項目の位置がずれる | 書式がバラバラな帳票向きのタイプを選ぶ |
| 学んでいない形式 | 精度が下がる | 実際の帳票で、先に試す |
注意
まず試すときは、自社の実際の帳票を使います。きれいな見本では、本当の精度が分かりません。
試す紙は、普段届くものから選びます。読みやすいもの、かすれたFAX、手書きが多いものを混ぜます。
試せる範囲や費用は、サービスによって違います。申し込む前に、次の3点を聞きましょう。
申し込む前に聞く3点
自社の紙が向いているか、次のリストで確かめます。
向いている条件
要注意の条件
要注意に当てはまっても、すぐにあきらめる必要はありません。先に試して、確かめます。
打ち込みに使っている時間は、無料の診断でも目安を確かめられます。業種・人数と、業務ごとの月の件数・1件の分数を答えます。減らせる時間の目安が出ます。
導入の前に、「そもそも紙を減らせないか」を考えます。そのうえで、紙の種類・枚数・作業時間を書き出して数え、判断します。
AI導入の壁として「導入にあたっての高コスト」を挙げた中小企業は、46.9%でした。複数回答です。対象は回答のあった1,668社で、2025年11〜12月の調査です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]
DX(デジタルの力で仕事のやり方を変えること)に取り組んでいない企業に、理由を聞いた調査があります。「自社がDXに取組むメリットがわからない」は54.0%で、最も高い割合でした。対象は従業員100人以下の未着手企業で、調査は2026年4〜6月です。[出典:IPA(2026)]
自社にとってのメリットは、自社の紙を数えると見えてきます。
AI-OCRを入れる前に、紙そのものを減らす方法があります。
紙を減らす方法
ポイント
取引先の事情もあるため、すべては減らせません。減らせない紙だけが、AI-OCRの対象になります。
文章や画像を理解して答えるAIを、生成AIと呼びます。代表例にChatGPTがあります。紙の写真を読ませて、文字を取り出すこともできます。
どちらも役に立ちます。違いは、毎日の仕事での使い方の組み立てにあります。
| 観点 | AI-OCR | 生成AIに画像を読ませる方法 |
|---|---|---|
| 目的 | 帳票の読み取りに向けて作られている | 文章づくりなど、幅広い用途に使える |
| 毎日の業務で使うとき | 他のシステムと連携できるものもある | 確認や書き出しの流れは、自社で決める |
| 確認の仕組み | 確認のしかたはサービスによって違う | 自社で確認のルールを作る |
| 向く場面 | 毎月、決まった帳票が届く | 紙が少なく、ときどき読ませる |
生成AIの仕組みを組み込んだAI-OCRもあります。どちらが合うかは、紙の量と、日々の使い方で決まります。
取引先の情報を入れてよいかは、社内のルールで確かめます。確認する点は提供形態は2つ(クラウド型/社内設置型)にまとめています。
何枚から得になるかは、会社ごとに違います。料金の決め方もサービスごとに違うため、一律の枚数や金額は示せません。自社の数字で、次の2ステップで確かめます。
「1か月の枚数×1枚の打ち込み分数÷60」で、1か月の時間が出ます。これに担当者の時給をかけると、今かかっている費用の目安になります。
ステップ1に使う情報は、次のとおりです。
料金の決め方には、いくつかの型があります。次の型を組み合わせているサービスもあります。
| 料金の型 | 中身 | 合いやすい使い方 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 使い始めるときに一度かかる費用 | どの使い方でも、有無を確かめる |
| 月額固定 | 枚数にかかわらず、毎月決まった額 | 毎月の枚数がほぼ同じ |
| 従量(使った分だけ) | 使った量に応じて料金が変わる。何で数えるか(枚数など)はサービスに確かめる | 枚数が少ない、月ごとの差が大きい |
月額固定でも、使える量に決まりがあるかを確かめます。決まりを超えた分の料金も、あわせて確かめます。
サービスに見積もりを頼むときは、次の4点を聞きます。
見積もりで聞く4点
導入後も、確認と修正の時間は残ります。見積もりの月額に、その時間の費用を足します。その合計がステップ1の費用より小さければ、検討する価値があります。
初めにかかる費用は、別に確かめます。ステップ1の項目が埋まれば、見積もりと比べる準備ができます。
手書きに対応する製品もあります。ただし、癖が強い文字や、かすれたFAXは精度が下がることがあります。読めるかどうかは、条件によります。
実際の帳票で試して確かめます。試せる範囲や費用は、サービスによって違います。申し込む前に聞きましょう。
読み間違いに気づくのは、確認する担当者です。確認のしかたは、サービスによって違います。たとえば、元の画像と読み取り結果を見比べて直す方法があります。
枚数の目安は、断定できません。紙の種類、枚数、担当者の作業時間、サービスの料金によって変わります。
紙の打ち込みに時間がかかっている会社なら、規模が小さくても検討の価値があります。まず1か月の打ち込み時間を出し、見積もりと並べます。(月に何枚から検討する?)紙そのものを減らせないかも、あわせて考えます。
入れ方には、2つの方法があります。1つは、読み取った結果をファイルに書き出して、ソフトに読み込ませる方法です。もう1つは、他のシステムと連携して送る方法です。
どちらが使えるかは、サービスと使っているソフトによって変わります。購入前に確認しましょう。(読み取り結果が会計ソフト・Excelに入るまでの流れ)
IT担当がいなくても、確認と修正は事務の担当者が行えます。帳票の登録や設定のサポート範囲は、サービスによって違います。こちらも購入前に確かめます。
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