この記事でわかること
- 時短の入口は、資料を作る前に、その会議で何を決めるかを決めることです。
- AIには構成案・要点整理・文章の整えを任せます。数字・決定事項・社外に出す言い回しは、社長が確かめます。
- 最初の1回は、定例の経営会議の資料を1本だけ、前回資料を使って試します。
会議資料の時短は、先に会議の目的を決め、下書きだけAIに任せること。数字・決定事項・社外向けの言い回しは社長が確かめます。最初の1回の試し方も紹介します。

この記事でわかること
下書きはAIに任せ、間違えると困る所だけを社長が見る。この形にすると、資料づくりの作業を減らしやすくなります。時間を取られるのは、社長本人か少人数の担当者に作業が集まりやすいからです。
経営会議、幹部会議、銀行や取引先への説明。この資料は、社長が自分で作る場面が多くなります。社員に頼みにくい内容が混ざるからです。
AIを使う会社の目的を見ると、時短は特別な話ではありません。中小企業白書2026年版では、省力化投資のうちAIを活用する目的として、「業務時間の節減」が84.5%でした。[出典:中小企業庁(2026)]
対象は、AI活用に取り組んだ1,685の事業者です。複数回答で、元の調査は帝国データバンクが行いました。
人手不足も背景にあります。人手不足と答えた企業は60.0%でした。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]
対象は、全国の商工会議所の会員企業2,654社です。
少人数の会社では、事務が一部の人に集まりやすい面があります。
資料づくりそのものの時間を示す公的な統計は、確認できていません。ここでは、会議全体の時間の調査を参考として紹介します。
Acall株式会社の調査では、1日の会議時間は平均1.9時間でした。[出典:Acall株式会社調べ(Web担当者Forum「『会議』ってそもそもどうなんだ? 実施・調整のために勤務時間の約3割が使われている【Acall調べ】」2024年7月)]
日程調整や会議室予約などの調整は、平均26.5分でした。対象は東京・大阪・愛知の会社員600人で、2024年6月の調査です。
これは会議の時間の数字で、資料を作る時間ではありません。資料づくりの時間は、まず自社で測るのが確実です。
時間を減らせたかは、前回と今回を比べると分かります。比べるには、作業を分けて時間を書き残します。
次の表を紙かメモに写し、前回の資料と今回の資料で、それぞれの時間を書き込みます。前回の時間が分からなければ、今回の時間を書いておき、次回と比べます。
| 作業 | 前回にかかった時間 | 今回にかかった時間 | 気づいたこと |
|---|---|---|---|
| 構成を決める(何をどの順に書くか) | |||
| 下書きを書く | |||
| 数字を確かめる | |||
| 見た目を整える | |||
| 合計 |
作業ごとに分けると、どこに時間がかかっているかが見えます。たとえば「見た目を整える」が長ければ、そこを減らす候補になります。
AIに任せるのは「下書きの作業」、社長が見るのは「間違えると困る3か所」です。この線引きを先に決めると、迷わず使えます。
AIに任せてよいのは、次の3つです。
AIに任せる3つ
どれも、間違いがあれば人が見て直せる作業です。たとえば、前回の資料を渡して「今回の変更点だけ書き換えた案」を作らせます。
「人が確認する」だけでは、何を見ればよいか分かりません。社長が見る場所は、次の3か所です。
社長が見る3か所
ポイント
この3か所は、間違えると会社の判断や信用に直接響きます。だから、AIではなく社長が見ます。
資料の並べ方は、会議の種類で変えます。rimoの記事は、報告・提案・検討の会議ごとに組み立て方を変えるよう勧めています。
| 会議の種類 | 資料の並べ方 | AIへの指示の例 |
|---|---|---|
| 報告(月ごとの数字など) | 数字や事実を短く整理する | 「先月の数字と、前の月から変わった点を箇条書きで」 |
| 提案(新しい取り組み) | 結論を先に書き、根拠・効果・次の行動の順に並べる | 「結論を最初に書き、根拠、効果、次にやることの順で」 |
| 検討(方針を決める) | 選択肢と課題を表で比べる | 「選択肢ごとに、良い点と課題を表にして」 |
| 銀行・取引先への説明 | 数字の横に、元の資料の名前を添える | 「数字ごとに、どの資料の数字かを書いて」 |
銀行・取引先への説明の行は、本記事で加えた例です。
右の列は、AIへの指示の「出力の形」にそのまま使えます。指示の入れ方は、ステップ3:前回資料と要点をAIに渡すで説明します。
最初の1回は、定例の経営会議の資料を1本だけ選び、前回資料を使って試します。パソコンが得意でなくても、文章を貼って頼むだけで始められます。
たとえば「来月の採用計画を決める」です。目的を決めないと、情報を詰め込みすぎると、rimoの記事は指摘しています。
アジェンダとは、会議の進行表のことです。it-trendの記事では、目的・議題・時間の割り振り・担当者・ゴールを入れる形を紹介しています。
前回資料と今回の要点をAIに渡し、下書きを作らせます。定例の資料は前回の版を直して使い回し、変わった所だけ書き換える。Feloの記事は、この進め方を紹介しています。
AIへの指示には、次の4つを入れます。it-trend、TECH CAMP、AIエージェントナビの記事が挙げる内容です。
指示に入れる4つ
「要約して」だけの指示より、決定事項の抜けを防ぎやすくなります。仕上げの確認は、ステップ4で行います。
数字、決定事項、社外に出す言い回しです(社長が自分で確かめる3か所)。元の資料と並べて見ます。
直した資料を、次回用のひな形として保存します。次からは、変わった所だけを直せばよくなります。SHIFT AIの記事は、前回の議事録や過去資料を読み込ませて内容をそろえる方法を紹介しています。
よく使う素材も、同じフォルダにためておきます。グラフのひな形、会社のロゴ、定番の文言などです。Feloの記事は、これらをフォルダにためる方法を紹介しています。
社長の資料なら、会社の定番の説明文や、過去の決定事項の一覧も入れておきます。次回、AIに渡す材料になります。
AIが下書きを作ると、社長の作業は「書く」から「直す」に変わります。Feloの記事も、同じ点を述べています。
ポイント
先に「その会議や資料は要るか」を点検し、残すものをAIで速く作る順番がおすすめです。要らない資料は、速く作る必要もありません。
自治体の資料にも、この考え方があります。埼玉県の資料は、情報を伝えるだけの会議を減らし、資料を「作らない」方針を示しています。
大分県の資料は、まず会議が本当に要るかを確かめるよう勧めています。和歌山県の資料は、見た目や細かさを求めすぎていないかの点検を勧めています。
和歌山県の資料には、6割ほどできた段階で途中報告をする考え方もあります。手戻りを減らすためです。この考え方をAIの下書きに当てはめると、仕上げる前に一度見ておく進め方があります。
会議の見直し余地を示す調査もあります。Acall株式会社の調査では、「本当に必要」と感じる会議は約4割でした。[出典:Acall株式会社調べ(Web担当者Forum「『会議』ってそもそもどうなんだ? 実施・調整のために勤務時間の約3割が使われている【Acall調べ】」2024年7月)]
「もっと効率化できる」と感じる会議は、4割を超えていました。対象は東京・大阪・愛知の会社員600人です。
残す資料は、作業ごとに時間の上限を先に決めてから作ります。Feloの記事は、構成・初稿・仕上げごとに時間の枠を決める方法を紹介しています。
上限は、自社の資料づくりの時間を測るで書いた前回の時間をもとに、自社で決めます。上限が来たら、その時点の形で次の作業に進みます。
見た目の仕上げにも、上限を決めます。和歌山県の資料が勧める「見た目や細かさを求めすぎない」点検が、ここで役に立ちます。
資料を会議の前に配って読んでもらうと、会議中の説明を短くできます。Business Insider Japanの記事は、会議の時間の多くが資料の説明に使われていると指摘しています。[出典:中尾隆一郎「リアル会議に参加できるのは『強者』だけ…こんな会議はやってはいけない【後編】」Business Insider Japan(2024年10月)]
同じ記事は、リクルートグループの進め方を紹介しています。参加者が事前に資料を読む方法です。そのうえで、チャットで「承認」「否認」「保留(質問)」を示します。
質問がある案件は、起案した人が会議までに答えます。全員が承認か否認をした案件は、当日は確認だけで済むとしています。
まずは、資料を前日までに共有してみます。「質問は会議の前に」と一言添えるところから始められます。
失敗の多くは、AIの出力をそのまま共有することから起きます。出力は下書きなので、確かめてから使います。
「要約して」だけの指示では、決定事項や担当者のタスクが抜けやすくなります。it-trend、TECH CAMP、AIエージェントナビの記事が、この点を挙げています。
対策は2つです。指示に「決定事項とタスクを分けて書く」と入れること。そして、数字と決定事項は人が確かめてから共有することです。
会議の音声を文字にすると固有名詞が間違いやすいと、it-trend、TECH CAMP、AIエージェントナビの記事は指摘しています。取引先の名前や商品名は、特に見直します。
先に、社内ルールを決めます。入れてよい情報と、入れない情報を、あらかじめ分けておくのです。
注意
社外秘や個人情報を、安全性が確かでない無料サービスに入れてはいけません。この点は、複数の解説記事が共通して挙げています。
機密情報を入れてよいかは、社内ルールに従う。Feloの記事も、そう述べています。サービスごとの安全性は、利用する前に各サービスの規約で確かめてください。
迷うときは、取引先名を「A社」に、金額を仮の値に置き換えて試す方法があります。まずは、置き換えても成り立つ資料から始めます。
構成案・要点整理・文章の整えは、AIに任せてよい作業です。数字・決定事項・社外に出す言い回しの3か所は、社長が自分で確かめます。
定例の経営会議の資料を1本選びます。会議で決めることを1行書き、前回資料と一緒にAIへ貼り付けて、下書きを頼みます(最初の1回は、どの資料でどう試すか)。仕上げの確認は、ご自身の目で行います。
先に社内ルールを決め、そのルールの範囲で入れます。安全性が確かでない無料サービスには、社外秘や個人情報を入れません。迷うときは、取引先名や金額を置き換えて試します。
会議資料の作成時間を示す公的な統計は、確認できていません。まず1回試して、前回と時間を比べてください。構成・下書き・数字の確認・見た目の仕上げに分けて測ると、比べやすくなります。