助成金と補助金の違い|AI導入で最初に調べる制度

助成金と補助金は、審査・所管・目的・申請の流れが違います。どちらも返済不要と整理されますが、補助金は原則後払いです。AI導入は使い道で入口が分かれ、研修やツール導入ごとに調べる制度を絞れます。

この記事の要点

  • 助成金は要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多く、補助金は要件を満たして申請しても、もらえないことがあります。[出典:中小企業庁(2026)]
  • AI・IT導入では「何にお金を使うか」で入口が分かれます。ツールや設備の導入は補助金側、社員研修や賃上げとセットの投資は助成金側です。
  • 補助金は、交付決定(国が「この内容で支援する」と正式に決めること)を受けてから事業を始める流れです。申請や交付決定の前に買うと対象外になることがあります。受給は要件を満たした場合の可能性で、断定はできません。

助成金と補助金は何が違うのか?

結論は、「審査の有無」「所管」「目的」「申請時期」の4点で違います。ただし名前だけでは見分けられない例もあります。

補助金 助成金 審査 所管 目的 申請の流れ 採択の審査がある 経産省・中小企業庁 事業投資・生産性向上 申請 → 採択 → 交付決定 → 実施 原則受給できるものが多い 厚生労働省 雇用・人材育成 申請 → 要件確認 → 制度ごと 所管・目的は一般的な整理です。制度ごとに違います。
補助金は採択の審査があり、助成金は要件を満たせば原則受給できるものが多いですが、所管や目的は制度ごとに違います。

補助金の流れで見ると、まず事業計画書や決算書などを出します。審査に通って選ばれることを「採択」といいます。採択されたあとに、お金を出してほしいと申し込むのが交付申請です。交付決定を受けてから事業を始めます。[出典:中小企業庁(2026)]

項目補助金助成金
審査採択の審査がある要件を満たせば原則受給できるものが多い
所管経済産業省・中小企業庁厚生労働省
目的事業投資・生産性向上雇用・人材育成・労働環境
申請時期公募期間が決まっている制度ごとに違う

所管・目的・申請時期の行は、一般的な整理です。制度ごとに違います。

「申請すればもらえる」とは限らない:助成金も補助金も断定しない理由

中小企業庁の資料は、助成金を「要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多い」と書いています。[出典:中小企業庁(2026)]

ここでの言葉は「原則」「多い」です。例外があるという意味です。

補助金は、要件を満たして申請しても、もらえないことがあります。[出典:中小企業庁(2026)]

所管・目的・申請時期の違い

一般には、補助金は経済産業省や中小企業庁、助成金は厚生労働省の制度が多いと整理されます。目的も、補助金は事業への投資、助成金は雇用や人材育成が中心と整理されます。

ただし制度ごとに違います。所管や申請時期は、公式ページで確認してください。

メモ

もう一つ注意点があります。「助成金」と「補助金」という言葉は、はっきりとは区別されていません。経済産業省所管の「助成金」には、補助金の色合いが強いものもあります。[出典:中小企業基盤整備機構(J-Net21)(2014)]

共通点:返済不要で、補助金は原則後払い

一般には、助成金も補助金も、返済が要らないお金と整理されます。中小企業庁も、補助金は返済不要だと説明しています。[出典:中小企業庁(2026)]

ただし種類によっては、返納や返還を求められることがあります。例えば、利益に応じた返納や、買った設備を処分したときの返還です。[出典:中小企業庁(2026)]

補助金は原則、事業が終わったあとの後払い(清算払い)です。いったん費用を自社で立て替える必要があります。[出典:中小企業庁(2026)]

この記事で紹介する2つの助成金も、先に自社が費用を払う流れです。業務改善助成金は、交付決定後に計画どおりに事業を進め、結果を報告する流れです。要件を満たした場合に、費用の一部が支給される仕組みです。[出典:厚生労働省(2026)]

人材開発支援助成金は、研修の経費を会社がすべて負担することが要件の一つです。研修が終わった翌日から2か月以内に、支給を申請します。[出典:厚生労働省(2026)]

入金までの期間は、制度ごとに異なります。資金繰りは、立て替える前提で考えましょう。

AI・IT導入なら、どちらの制度が入口になるのか?

結論は、同じAI導入でも「使い道」ごとに入口が違います。研修なら助成金、ツール・設備なら補助金、賃上げとセットの設備投資なら助成金です。

AIの使い道 入口になる制度 社員の研修 ツール導入 設備+賃上げ 助成金 補助金 助成金 人材開発支援助成金 省力化投資補助金 業務改善助成金 最後は必ず公式ページで要件と締切を確認します。
同じAI導入でも、使い道が研修なら助成金、ツール導入なら補助金、賃上げとセットの設備投資なら助成金が入口になります。

「雇用なら助成金、投資なら補助金」とだけ覚えると、迷いやすくなります。AI導入には、両方の入口があるからです。

社員のDX・GX化などの研修(OFF-JT)なら:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)

社員にDXなどの研修を受けさせる費用が対象です。対象は雇用保険被保険者への、仕事を離れて受ける研修(OFF-JT)です。[出典:厚生労働省(2026)]

注意

AI研修がこの対象に入るかは、この記事の資料では確認できていません。公式資料で確認してください。

中小企業の経費助成率は75%です。[出典:厚生労働省(2026)]

中小企業の場合、研修中の賃金への助成は1人1時間あたり1,000円です。[出典:厚生労働省(2026)]

eラーニング、通信制、定額制サービスによる研修は、経費の助成だけです。賃金の助成は対象外です。[出典:厚生労働省(2026)]

中小企業が10時間以上100時間未満の訓練を行う場合、受講者1人あたりの経費助成限度額は30万円です。訓練時間や研修の形態(eラーニング・通信制・定額制など)で限度額は変わるため、公式資料で確認してください。[出典:厚生労働省(2026)]

受給には、訓練計画の提出などの要件があります。受給は審査次第です。この節の数字は、令和8年8月3日以降に出す計画届に適用される資料によるものです(経過措置あり)。[出典:厚生労働省(2026)]

経過措置は、対象外となる研修の扱いなど、一部に限ったものです。研修機関との契約や申込が令和8年8月2日以前の場合などが当たります。自社が当てはまるかは、公式資料で確認してください。[出典:厚生労働省(2026)]

ツール・設備を入れるなら:中小企業省力化投資補助金

人手不足の中小企業が、省力化の機器やツールを入れる費用を支える補助金です。カタログ注文型の補助対象者は「人手不足の状態にある中小企業等」です。申請の方法は公式ページで確認してください。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

以下の上限額は、カタログ注文型の値です。

従業員21名以上の補助上限額は1,000万円です。賃上げ要件を達成した場合は1,500万円です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

従業員6〜20名の補助上限額は750万円です。賃上げ要件を達成した場合は1,000万円です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

従業員5名以下の補助上限額は500万円です。賃上げ要件を達成した場合は750万円です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

補助率は1/2以下です。数字は2026年3月19日以降の上限額です。2回目以降の申請には、累計上限などの追加要件があります。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

10〜50名の会社は、6〜20名と21名以上の2つの区分にまたがります。まず自社の従業員数がどちらに入るかを確かめましょう。

現場に合わせた設備やシステムを作る「一般型」もあります。公募回制で、補助上限額は従業員数で変わります。区分ごとの額は公式ページで確認してください。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

カタログ注文型は、交付決定のあと原則12か月以内に事業を行います。導入後に実績報告を出します。補助額が確定したあと、支払請求をして支払われます。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

交付決定の額が、そのまま支払われるとは限りません。事業が終わったあとも、事務局が定める日から3年間、毎年効果の報告があります。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

設備投資と賃上げを一緒にやるなら:業務改善助成金

機械設備の導入などを行い、事業場内最低賃金(その事業場で一番低い時給)を一定額以上引き上げるなどの要件を満たした場合に、費用の一部が助成される可能性があります。[出典:厚生労働省(2026)]

業務改善助成金の要件

令和8年度のリーフレットでは、50円以上の引き上げが要件です。助成額は最大600万円です。[出典:厚生労働省(2026)]

助成額は「費用×助成率」と「上限額」のうち、安いほうです。対象は、交付決定のあとにこれから実施する賃上げと設備投資です。労働者がいない事業場は対象外です。[出典:厚生労働省(2026)]

自社はどちらを先に調べればよいか?(社長が明日やること)

結論は、自社の使い道を1つ決めれば、調べる制度も1つに絞れます。最後は必ず公式ページで要件と締切を確認します。

次の質問に「はい」か「いいえ」で答えてください。

はい・いいえで確認

  1. 社員の研修費を出したいですか。「はい」なら、人材開発支援助成金から調べます。(社員のDX・GX化などの研修(OFF-JT)なら:人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース))
  2. 研修を受けさせたい社員は、雇用保険に加入していますか。「いいえ」なら、対象外の可能性があります。公式ページで確認します。
  3. 人手不足の解消に、ツールや機器を入れたいですか。「はい」なら、省力化投資補助金から調べます。
  4. 従業員は21名以上ですか。「はい」ならカタログ注文型の上限1,000万円の区分です。6〜20名なら750万円の区分です。5名以下なら500万円の区分です。補助率は1/2以下です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]
  5. 最低賃金の引き上げを予定していて、設備投資もしますか。「はい」なら、業務改善助成金から調べます。令和8年度のリーフレットでは、事業場内最低賃金を50円以上上げることが要件です。[出典:厚生労働省(2026)]

どれも「はい」にならない場合は、先に使い道を決めるところから始めます。

ポイント

最後は共通です。選んだ制度の公式ページで、要件と締切を読みます。

研修とツールを両方使いたいとき

研修とツール導入のように使う経費が別なら、それぞれの制度を調べる余地があります。ただし、同じ経費で国の制度を重ねて受け取れない場合があります。ルールは制度ごとに異なります。

併用の主なルール

  • 人材開発支援助成金:同じ経費や研修で他の助成金・補助金も申請すると、どちらか一方しか支給されない場合があります(併給調整)。[出典:厚生労働省(2026)]
  • 業務改善助成金:対象が同じ設備投資の費用でなければ、他の助成金等と併せて申請できる場合があります。ただし目的が重なると、調整の対象になる場合があります。[出典:厚生労働省(2026)]
  • 省力化投資補助金(カタログ注文型):国の他の制度と補助対象経費が重なるものは対象外です。経費が別でも、中小企業デジタル化・AI導入補助金(旧:IT導入補助金)と同じか似た内容の事業(同じ業務プロセスに省力化製品を入れるもの)は対象外です。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

両方を使うつもりなら、申請の前に各制度の公募要領やQ&Aを読みましょう。分からない点は、各制度の問い合わせ先に確かめてください。

申請でつまずきやすい失敗と対策は?

結論は、「先に買う」「受給前提で予算を組む」「期限を見落とす」の3つです。どれも事前に知っていれば防げます。

申請や交付決定の前に買ってしまう

補助金は、採択のあとに交付申請と交付決定を経てから事業を始める流れです。[出典:中小企業庁(2026)]

業務改善助成金も、交付決定のあとに実施するものが対象です。[出典:厚生労働省(2026)]

注意

対策は、見積りを取っても、注文と支払いは待つことです。いつから買ってよいかは、公式ページで確認します。

「助成金だから確実」と思って予算を組む

助成金は「原則受給できるものが多い」にとどまり、例外があります。[出典:中小企業庁(2026)]

人材開発支援助成金も、受給は審査次第です。予算の範囲内で支給される制度です。[出典:厚生労働省(2026)]

補助金には、自己負担もあります。中小企業庁によると、自己負担は事業費の1/2〜1/3程度です。補助率によって異なります。[出典:中小企業庁(2026)]

対策は、受給を前提にした資金計画にしないことです。入金の時期を公式ページで確かめ、資金繰りを先に確認しましょう。

期限を見落とす

助成金にも期限のある制度があります。リスキリング支援コースは、令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。[出典:厚生労働省(2026)]

業務改善助成金も、令和8年度の申請期間が決まっています。地域別最低賃金の発効日の前日か、11月30日の早いほうまでです。都道府県によっては9月末が期限のため、すでに締切を過ぎている場合があります。[出典:厚生労働省(2026)]

計画届や支給申請の個別の締切は、制度ごとに違います。公式ページで、自社の締切を確かめてください。

よくある質問

結論は、制度ごとに要件が違うため、最後は公式ページの確認が必要です。ここでは、よくある疑問に短く答えます。

Q1 助成金と補助金はどちらが得ですか?

得か損かではなく、使い道で選びます。この記事の整理では、研修や賃上げなら助成金側、ツールや設備の導入なら補助金側が入口になります。(AI・IT導入なら、どちらの制度が入口になるのか?)

Q2 助成金は申請すればもらえますか?

もらえるとは限りません。要件を満たして申請すれば原則受給できるものが多いと説明されています。例外もあり、要件と審査次第です。[出典:中小企業庁(2026)]

Q3 補助金に落ちることはありますか?

あります。補助金は、要件を満たして申請しても、もらえないことがあります。[出典:中小企業庁(2026)]

Q4 お金はいつ入りますか?

補助金は原則、事業が終わったあとの後払い(清算払い)です。採択のあとに交付申請と交付決定を経てから、事業を始めます。[出典:中小企業庁(2026)]

この記事の2つの助成金も、先に自社が払う流れです。あとで申請や報告をして、支給を受けます。入金の時期は制度ごとに違うため、公式ページで確認してください。

Q5 相談先はどこですか?

まず、選んだ制度の公式ページに載っている問い合わせ先に聞くのが確実です。要件や締切は、制度ごとに違います。

専門家に相談する道もあります。中小機構のJ-Net21は、雇用関係助成金なら社会保険労務士への相談を案内しています。補助金は、税理士や中小企業診断士への相談を勧めています。[出典:中小企業基盤整備機構(J-Net21)(2026年閲覧)]

中小企業庁は、国が設けた無料の経営相談所「よろず支援拠点」も紹介しています。商工会・商工会議所も相談先です。[出典:中小企業庁(2026)]

注意

厚生労働省は、一部の訓練機関やコンサルティング会社の勧誘に注意を呼びかけています。助成金を使えば研修の費用負担がかからない、などとうたうものです。[出典:厚生労働省(2026)]

申請の手伝いを頼む前に、次のチェックリストで確かめてください。

  • 報酬は成功報酬か、着手金があるか
  • 採択や交付決定のあと、実績報告まで手伝ってもらえるか
  • 受給を約束するような説明をしていないか
  • 自社が立て替える額と、自己負担の額を説明してくれるか

まとめ

この記事のまとめ

  • 使い道(研修/ツール導入/設備+賃上げ)で、次に調べる制度を1つに絞りましょう。
  • 助成金も補助金も、受給は要件を満たした場合の可能性です。断定せず、受給前提の資金計画は避けましょう。
  • 申請や交付決定の前に買わず、公式ページで要件と締切を確認しましょう。

社長の疑問3つへの短い答え

  • 次に調べるのは、規模ではなく使い道で決めます。研修は助成金、ツール導入は補助金、賃上げとセットの設備投資は助成金です。
  • 助成金は原則受給できるものが多いものの、確実ではありません。補助金は審査で落ちることがあります。
  • 入金の時期は制度ごとに違うため、公式ページで確認します。申請や交付決定の前に買うと、対象外になることがあります。
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