在庫管理のバーコードは要る?3つの物差しと始め方

バーコードが要るかは、品目数・出入りの回数・数え間違いの回数で判断できます。スマホで、よく動く数十品目か1つの棚から試す始め方を解説します。

この記事の要点

  • バーコードは、読み取るだけで在庫の数が記録に反映される仕組みです。手書きと転記の場面が減ります。
  • 全員・全商品で始めず、スマホで、よく動く数十品目か1つの棚から試します。
  • 要るかどうかは「品目数・出入りの回数・数え間違いで困った回数」で判断できます。

うちにバーコードは要る? 社長が自社で数える3つの物差し

ポイント

結論から言うと、品目が多い、出入りが多い、数え間違いで困った。このどれかに当てはまるなら、試す価値があります。当てはまらなければ、今は急がなくて大丈夫です。

自社で数えられる物差しは3つです。

自社で数える3つ

  • 品目数:扱う商品の種類は、どのくらいありますか。
  • 出入りの回数:1日に入荷と出荷は、何回ありますか。
  • 数え間違いで困った回数:棚卸のずれや、出荷ミスは、最近何回ありましたか。

次の表に、自社の数を書き込んでみてください。今の数と、前回の棚卸のころの数を並べます。

物差し今の数前回の棚卸のころ増えてきたら起きること
品目数(  )(  )探す手間と数える手間が増える
出入りの回数(  )(  )書く・写す回数が増える
数え間違いで困った回数(  )(  )ずれやミスの後始末が増える

どれか1つでも増えてきたら、小さく試す時期です。どれも変わらなければ、今のやり方を続けて構いません。

ITを入れた会社でも、手作業が多く残っている会社は少なくありません。中小企業基盤整備機構の調査では、業務の8割以上が手作業と答えた会社は20.2%でした。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

対象はITを導入済みの中小企業922社です。調査期間は2025年11月17日から12月12日です。在庫やバーコードに限った数字ではありません。

「エクセルと手で数える」が回っているなら、まだ要らないこともある

品目が少なく、出入りも少なく、数え間違いも出ていないなら、今のやり方で十分です。エクセルと手で数える方法でも、会社は回ります。

無理に機械を入れると、ラベルを貼る手間だけが増えます。まず上の3つの物差しを数えてみてください。

数え間違いや転記ミスが出てきたら見直しのサイン

棚卸のたびに数が合わない。紙からエクセルへの写し間違いが出る。こうなったら、見直しのときです。

人の手で写す場面が多いほど、間違いが入る機会も増えます。バーコードは、その写す場面を減らすための道具です。

バーコードで在庫の流れはどう変わる?

バーコードを使うと、入荷・棚に置く・出庫・棚卸の4場面で、手書きと転記が減ります。読み取るだけで記録が残るからです。

入荷 棚に置く 出庫 棚卸 いまの 紙・エクセル バーコード 伝票を見て エクセルに入力 手で記録する 紙に書いて あとで写す 紙に書いて 見比べる 手書き・転記 手書き・転記 手書き・転記 手書き・転記 コードを読み取る 棚のコードを読む コードを読み取る コードを読み取る 手書き・転記が減る 手書き・転記が減る 手書き・転記が減る 手書き・転記が減る
バーコードを読み取ると、4つの場面で手書きと転記が減ります。

いまの流れは、こうです。入荷したら伝票を見て、エクセルに数を打ちます。出庫でも、紙に書いて、あとで写します。棚卸では、数えた数を紙に書き、エクセルと見比べます。

バーコードを使う流れは、こうです。商品や棚のコードを読み取ります。すると、在庫の数がシステムに反映されます。書く作業と写す作業を、減らせます。

読み取りで何が記録に残るか

読み取ると、どの商品の在庫の数が動いたかが、システムに反映されます。履歴をどこまで見返せるかは、導入するシステムで確かめてください。

メモ

バーコードとQRコードは、入る情報の量が違います。QRコードのほうが多く入ります。棚番や、製造のまとまりを示すロット番号を持たせる使い方もあります。

バーコードのよい点と気をつける点

よい点は、次の3つです。キヤノンの解説サイト(canon.jp valinfo)やonamae.comが挙げています。

  • 手書きや転記のミスが減る
  • 入荷と出荷の作業が速くなる
  • 在庫の数を、その場で確かめられる

気をつける点もあります。比較サイトのit-trend.jpは、初期費用とラベルを貼る手間を挙げています。

加えて、読み取る人に使い方を伝える時間も見ておきましょう。対策は、この記事の後半で説明します。

RFIDは離れた所からまとめて読めるがバーコードは低コストで運用しやすい

RFIDは、電波で離れた所からまとめて読める仕組みです。一方、キヤノンの解説サイト(canon.jp valinfo)やカシオのホワイトペーパーでは、バーコードは低コストで運用しやすいとされています。最初の一歩には、バーコードから考えてみてください。

最初は何を揃える? スマホから始めて、必要になったら専用端末へ

最初はスマホのカメラで試せます。足りなくなったら、そのとき専用の読み取り機を考えれば間に合います。

スマホで足りる場面と専用端末が要る場面

読み取り機は、手に持って使う専用の端末(ハンディターミナル)もあります。ただ、最初から買う必要はありません。

次のような場面が出てきたら、専用端末を考えます。

専用端末が要る場面

  • 倉庫が暗い
  • 高い棚で、手が届きにくい
  • 大量の商品を、続けて読み取る
  • 水に濡れる、落とすことが多い
  • 1日使っても、電池が持つ必要がある

商品にコードがなければ、システムでバーコードを作れます。それをラベルプリンターで印刷して貼ります。自社商品に独自のコードを付けたい場合は、JANコードの申請をします。商工会議所などを通す方法があり、更新の手続きもあります。

エクセルを使い続けたい場合は、スキャナーで在庫表に読み込む方法があります。無料のスマホアプリもあります。ただし、比較サイトのboxil.jpやApp Storeのアプリ紹介では、複数の端末で同期するには有料プランが必要な例がある、と紹介されています。

費用は、サービスやプランで変わります。見積もりでは、次の4つを必ず確認してください。

見積もりの確認項目

  • 初期費用
  • 月額
  • 端末の代金
  • ラベルの代金

在庫管理システムを選ぶときに見る点

システムは、製品の名前ではなく、自社の使い方に合うかで比べます。説明を受けるときや試すときに、次の表の点を確かめてください。

見る点確かめること
バーコードの発行コードの無い商品に、システムでコードを作れるか
ラベルの印刷手持ちのラベルプリンターで印刷できるか
エクセルからの取り込み今の在庫表を、まとめて取り込めるか
スマホでの読み取りスマホのカメラで読めるか。専用端末にも後から対応できるか
複数の端末何台で同時に使えるか。有料プランが要るか
複数の倉庫・拠点倉庫や店舗が複数でも、まとめて見られるか
項目の設定棚番やロット番号など、自社で使う項目を足せるか

特に、エクセルからの取り込みは先に確かめます。取り込めないと、商品を1つずつ打ち直す手間が出ることがあります。

国の補助制度は使えるか

国には、省力化投資補助金(カタログ注文型)という制度があります。人手不足の解消に役立つ汎用の製品を入れる費用の一部を、補助するものです。対象は、人手不足に悩む中小企業等です。

注意

カタログに登録された製品であれば、要件を満たせば補助を受けられる可能性があります。バーコード機器や在庫管理システムが登録されているかは、事務局のカタログで確認してください。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金事務局(2026)]

カタログ注文型の申請の受付は、2027年3月末頃までの予定です。「頃」と書かれた目安の時期です。最新の受付状況は、事務局のページで確認してください。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金事務局「2026年3月19日制度改定」(2026)]

失敗しない始め方:社内で決めておく4つのこと

始める前に決めることは4つです。試す範囲、商品名と棚番の整理、読み取る人とタイミング、読み取り忘れの直し方です。

エクセルの在庫表から移る方法は、関連記事でも扱っています。「在庫管理とは|紙・Excelで始める4ステップ」と「在庫管理はエクセルのままで大丈夫?見直しの6つのサイン」です。この記事は、その続きとして読めます。

1 2 3 1つの棚で試す 記録をつける 続けるか判断する 範囲は小さく絞る エクセルと二重管理 記録を材料にする
まず1つの棚で試し、記録をつけて、続けるかを決めます。

試す範囲の決め方

全部の商品では始めません。範囲は、次のどれか1つに絞ります。

試す範囲の候補

  1. よく動く数十品目
  2. 1つの棚
  3. 1つの倉庫

よく動く商品を選ぶと、変化に気づきやすくなります。まず小さく試すと、うまくいかなかったときの影響を小さくできます。

表記ゆれと棚番を先にそろえる

同じ商品が「A-100」「A100」「A100」と、別々に書かれていませんか。コードと商品を結ぶ名簿を、商品マスタと呼びます。表記がばらばらだと、読み取っても別の商品になります。

品名と品番の書き方を、先にそろえます。棚にも番号を付けます。エクセルの在庫表が整っていれば、商品マスタづくりの土台に使えます。使えるかは、導入するシステムの取り込み方法で確認してください(在庫管理システムを選ぶときに見る点)。

あわせて、誰がいつ読み取るかを決めます。読み取り忘れが出たときは、棚卸で数を直して記録を合わせます。直す人も、先に決めておきます。

二重管理の期間と、やめどき

試す間は、今のエクセルも続けます。バーコードと両方で記録する期間が、二重管理です。手間は増えますが、比べられる安心があります。

試す間は、次の3つを記録します。

  • 読み取り忘れの回数
  • 数え間違いの回数
  • 作業にかかった手間の感覚

数え間違いが減り、手間も許せる範囲なら、続けます。読み取り忘ればかりで、手間が増えるなら、一度止めて見直します。この記録が、判断の材料です。

つまずきやすい点と対策

つまずきやすいのは、ラベルの貼り方と、現場の負担です。先に対策を決めておけば、防ぎやすくなります。

ラベルの貼り方で読み取れなくなる

ロジクラのヘルプや、キヤノンの解説サイト(canon.jp valinfo)が、ラベル運用の注意点を挙げています。次の表は、その指摘をまとめたものです。

つまずき起きること対策
反射するシルバーのシールを使う光って、読み取りにくい白いラベルを使う
貼れない商品がある読み取れず、記録が抜ける貼れない商品の扱いを先に決める
保管場所を変えた棚のラベルと実際の場所がずれる棚のラベルを貼り替える

現場に負担を感じさせない進め方

全商品に一気にラベルを貼ると、現場の負担が大きくなります。最初は試す範囲だけにします。

読み取り忘れは、責めずに仕組みで直します。決めた直し方を、そのまま使います。現場の声を聞きながら、範囲を少しずつ広げてください。

よくある質問

品目が少なくても、バーコードは必要ですか。

品目が少なく、数え間違いも出ていないなら、必要とは限りません。今のエクセルと手作業で回っているなら、急がなくて大丈夫です。数え間違いが出てきたら、見直すサインです。

スマホだけで始められますか。専用の機械は要りますか。

スマホのカメラだけで始められます。暗い場所や高い棚、大量の読み取りなどで困ったら、専用端末を考えます。

全部の商品にラベルを貼らないといけませんか。

いいえ。よく動く数十品目か、1つの棚だけで始められます。貼れない商品の扱いは、先に決めておきます。

いまのエクセルの在庫表は使えますか。

表記がそろっていれば、商品マスタづくりの土台に使えます。取り込めるかは、システムの取り込み方法で確認してください。試す間は、エクセルとの二重管理を続けます。

補助金は使えますか。

省力化投資補助金(カタログ注文型)では、カタログに登録された製品であれば、要件を満たせば補助を受けられる可能性があります。受付は2027年3月末頃までの予定です。目安の時期です。最新の受付状況は、事務局のページで確認してください。

対象かどうかは、事務局のカタログで確認してください。(国の補助制度は使えるか)[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構 中小企業省力化投資補助金事務局「2026年3月19日制度改定」(2026)]

3分でわかる無料AI診断