会計AIの選び方|3種類の違いと人が確認する4項目

会計AIは会計ソフト付属・単体ツール・生成AIの3種類。仕訳の下書きまでをAIが担い、最終判断は人と税理士が持ちます。選び方と確認の分担を解説。

この記事でわかること

  • 会計AIは「会計ソフトに付いているAI」「OCR・仕訳の単体ツール」「汎用の生成AI」の3種類です。取引件数・紙の量・経理担当の有無で選びます
  • AIができるのは仕訳の下書きまでです。勘定科目の最終決定と税務判断は、経理担当と税理士が持ちます。AIは100%正確ではありません
  • 最初の数か月は毎日少しずつ確認し、間違いの傾向が分かった範囲から任せる範囲を広げます
  • 会計AIは「会計ソフトに付いているAI」「OCR・仕訳の単体ツール」「汎用の生成AI」の3種類です。取引件数・紙の量・経理担当の有無で選びます
  • AIができるのは仕訳の下書きまでです。勘定科目の最終決定と税務判断は、経理担当と税理士が持ちます。AIは100%正確ではありません
  • 最初の数か月は毎日少しずつ確認し、間違いの傾向が分かった範囲から任せる範囲を広げます

会計AIとは?従来の会計ソフトと何が違うのか

ポイント

会計AIは、人の入力を減らす道具です。決算の責任まで引き受けるものではありません。

従来の会計ソフトは、人が入力して集計します。会計AIは、候補を出して、人が確認します。たとえば、領収書の写真を読み取り、勘定科目の候補を出すのが典型です。

アスピック編集部は、主なAI機能を5つに分けています。[出典:アスピック編集部「AI搭載型の会計ソフトおすすめ6選!機能やメリットを紹介」(2026)]

AI機能内容
スマート入力(AI-OCR)領収書や明細を読み取り、紙の文字をデータにする
自動仕訳取引の内容から、勘定科目の候補を出す
AIメニュー表示使う機能や操作を案内する
予測分析数字をもとに、今後の見通しを出す
AI監査入力の誤りや不自然な点を調べる

AI監査について、アスピックは「現状のAI会計ソフトで標準搭載しているものはありません」としています。AIが決算を点検してくれると考えるのは早いようです。

民間の解説記事は、メリットも挙げています。スマートキャンプ(BOXIL Magazine)は「定型業務の工数を削減」「ヒューマンエラーの軽減」を挙げています。[出典:BOXIL Magazine編集部(スマートキャンプ株式会社)「AIを搭載した会計ソフト7選 – 機能・料金比較 | メリットやデメリット」(2026)]

創業手帳は「属人化を防げる」を、ITトレンドは経営状況をリアルタイムで把握しやすくなる点を挙げています。[出典:創業手帳株式会社「AI搭載の会計ソフトで業務効率アップ!選び方&おすすめソフト5選を紹介」(2025)][出典:ITトレンド編集部「AI搭載会計ソフトの機能とメリットを解説!導入事例・できないことも紹介」(2026)]

経理のAI活用を何から任せるかは、経理のAIは何から任せる?小さく始める5ステップで整理しています。

3種類を一枚で比べる:うちの規模ならどれを選ぶか

ポイント

選ぶ道筋は、取引件数・紙の多さ・経理担当の有無の3つで決まります。製品名ではなく、種類ごとの違いで比べます。

オブライトは、会計ソフトに組み込まれたAIと、汎用AI(チャットAIなど)の違いを整理しています。[出典:株式会社オブライト「経理・バックオフィスのAI活用 — 請求書処理・仕訳・経費精算はどこまで自動化できるか」(2026)]

種類会計データとの関係任せられる範囲向く会社の状況注意点
①会計ソフトに付いているAI自社の会計データと直結している仕訳の候補出しなど、会計の作業取引件数が多く、毎日明細を見る人がいる初期設定の項目が多い
②OCR・仕訳の単体ツール会計データへの渡し方は、製品ごとに確認する領収書など書類の読み取り、仕訳の候補紙の領収書や請求書が多い今の会計ソフトとつながるかを確かめる
③汎用の生成AI(チャットAI)別途、情報を入力・共有する必要がある文章づくりや調べもの。会計特有の文脈は持たない会計の作業とは別に、書類づくりなどに使いたいセキュリティ対策が必要
領収書を取り込む文字を読み取る仕訳の候補を出す会計データへ①会計ソフトのAI(会計データと直結)②OCR・仕訳の単体ツールつながるか確認③生成AI 流れとは別の道具(文章づくり・調べもの)会計ソフトのAIが基本。生成AIは別の道具として使います。

会計ソフト付属のAIは会計データと直結し、生成AIは会計の流れとは別の道具として使います。

製品ごとの最新の料金と機能は、各社の公式サイトで確認してください。

会計ソフトに付いているAIが基本になる理由

会計データと直結しているため、まず検討する種類です。マネーフォワードは、自動仕訳は「使えば使うほど精度が高くなる」としています。[出典:株式会社マネーフォワード「自動仕訳とは?自動仕訳で経理業務の効率化を実現 | 仕組みやメリットを解説」(2026)]

同じ記事は、デメリットに「初期設定項目が多くて面倒に感じる」ことを挙げています。始めの設定に手間がかかる点は、覚悟しておく必要があります。

実際の使われ方も見ておきます。スマートキャンプの調査です。対象は、経理業務でAIツールを利用している経理・財務担当者78人で、2025年12月に実施されました。[出典:スマートキャンプ株式会社(BOXIL Magazine)「【実態調査】経理のAI活用方法11選 生成AIが人気 おすすめツールも」(2026)]

使っているAIツールで、「生成AI」は45人でした。「会計システムのAI機能」は33人でした。複数回答です。

生成AIは「別の道具」として使う

生成AIは、会計ソフトの代わりではなく、別の道具として使います。アスピックは、生成AIを既存の会計ソフトと連携させる場合は「連携作業やセキュリティ対策が必要」と指摘しています。[出典:アスピック編集部「AI搭載型の会計ソフトおすすめ6選!機能やメリットを紹介」(2026)]

生成AIに入力してよい情報は、社内で先に決めてください。取引先名や金額を入れてよいかも、決めておく項目です。

AIはどこまで任せ、誰が確認するのか

AIは、過去の傾向をもとに勘定科目の候補を出す下書き係です。最終の判断は人が持ちます。オブライトは、AIの役割を「過去の傾向をもとにした勘定科目の候補提示」としています。[出典:株式会社オブライト「経理・バックオフィスのAI活用 — 請求書処理・仕訳・経費精算はどこまで自動化できるか」(2026)]

オブライトは、人が必ず確認する領域として、次の4つを挙げています。[出典:株式会社オブライト「経理・バックオフィスのAI活用 — 請求書処理・仕訳・経費精算はどこまで自動化できるか」(2026)]

人が必ず見る4項目

  • 勘定科目・仕訳内容の最終的な妥当性の判断
  • 税務上の解釈が必要な取引の扱い
  • 金額や取引先が普段と異なる異常値・不正リスクのチェック
  • 対外的な資料としての最終承認

ITトレンドも、会計方針の策定や複雑な判断業務はAIでは対応できないとしています。会計監査法人や税務署との対応にも、人的な調整が欠かせないそうです。[出典:ITトレンド編集部「AI搭載会計ソフトの機能とメリットを解説!導入事例・できないことも紹介」(2026)]

AI仕訳の候補を出す経理担当・社長日々確認する税理士月次・決算で確認人が必ず見る4項目仕訳の最終判断税務上の解釈異常値の確認対外資料の承認異常値は、金額や取引先が普段と違うもの・不正のおそれです。AIは下書き係です。最終の判断は人が持ちます。

AIは仕訳の候補を出す下書き係で、日々の確認と月次・決算の確認は人が行います。

体制別の確認の分担(表)

「誰が見るか」は、会社の体制で変わります。次の表は、考え方の一例です。実際の分け方は、税理士に相談して決めてください。

会社の体制日々の確認月次の確認決算
経理担当がいる経理担当が、明細と仕訳の候補を見る社長が、普段と違う金額や取引先を聞く税理士に相談して決める
社長が兼ねている社長が、毎日少しずつ明細を見る税理士に見てもらう範囲を決める税理士に相談して決める
税理士に記帳を頼んでいる切り替えるなら、社内で明細を確認する税理士に相談して決める税理士が持つ

鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所は、日々の記帳は事業者本人、決算処理は税理士に任せる形ができるとしています。同事務所は「税理士とソフトはセットで決めるのが鉄則です」とも述べています。[出典:鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所「【税理士×公認会計士が解説】クラウド会計の導入手順|銀行連携・初期設定・データ移行のポイント」(2026)]

消費税区分は特に見る

税理士との分担の考え方は、税理士とAIの役割分担|任せる範囲と確認の線引きもご覧ください。

自社の体制ではどこまで任せられるのか。迷うときは、カクヤクAIXにご相談ください。一緒に整理します。

選ぶ前に確かめる5つの観点

製品を選ぶ前に、5つの観点で自社に合うかを見ます。営業担当に聞くときの質問リストにもなります。

BOXIL Magazine、創業手帳の記事は、選び方として「業種や企業規模への対応」「入力にかかる工数を削減する機能」「AI技術の精度」「導入支援やサポート体制」「他のシステムとの連携」を挙げています。[出典:BOXIL Magazine編集部(スマートキャンプ株式会社)「AIを搭載した会計ソフト7選 – 機能・料金比較 | メリットやデメリット」(2026)][出典:創業手帳株式会社「AI搭載の会計ソフトで業務効率アップ!選び方&おすすめソフト5選を紹介」(2025)]

次のチェックリストで、候補の製品が自社に合うかを確かめてください。

  • 自社の業種・会社の規模に合っているか
  • 入力の手間を減らせる機能があるか
  • AIの精度を、無料トライアルなどで自社の明細を使って試せるか
  • 導入の支援やサポート体制があるか
  • 他の業務システムや、税理士とデータを共有できるか

AIの精度は、比較サイトの評価だけで決めません。BOXIL Magazineも、無料トライアルなどで確認することを勧めています。

領収書や請求書を電子データで受け取る会社は、保存のルールも確かめてください。国税庁が示す猶予措置の条件は、次のとおりです。

電子取引データの猶予措置

  • 要件どおりに保存できなかったことに、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前の申請は不要)
  • 税務調査などで、データのダウンロードの求めと、プリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じられる場合
  • この2つをどちらも満たせば、電子取引データを単に保存しておけば差し支えない

[出典:国税庁「【国税庁の取組紹介】電子帳簿保存」]

注意

PDFで受け取った請求書は、紙に印刷しても、データそのものの保存が必要です。会計AIの機能とは別に、国税庁の条件で確かめてください。自社が対象かどうかは、税理士か所轄の税務署に確認してください。

つまずきやすい点と、最初の3か月の進め方

AIは100%正確ではないため、最後の確認が要ります。確認を習慣にして、問題が少ないと確かめられた範囲から、任せる範囲を広げます。

中小企業のAI導入の現状

AIを導入している中小企業は、まだ少数です。中小機構の調査では、「一部の業務で導入している」と「全社的に導入している」の合計は20.4%でした。対象は中小企業1,647社です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

導入の阻害要因で最も高かったのは、「導入にあたっての高コスト」の46.9%でした。複数回答で、この設問の回答は1,636社です。調査期間は2025年11月17日〜12月12日です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

ITを導入済みの中小企業のうち、業務の8割以上が手作業の会社は20.2%でした。対象は922社です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

AIを活用する目的の例もあります。「業務時間の節減」は84.5%でした。AI活用に取り組んだ1,685事業者の複数回答です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]

つまずきやすい3つの点と対策

つまずきやすいのは、次の3点です。

つまずく点対策
初期設定の項目が多く、手が止まる銀行・カードの連携と、自動仕訳のルールから順に設定する
個人用と事業用の口座を分けない個人用と事業用の口座を分ける。分けないと、私的な取引まで取り込まれる
AIの提案をそのまま承認するAIの提案をそのまま承認しない。最後の確認は人が行う

マネーフォワードは、自動仕訳は「100%正確な処理を行えるわけではありません」としています。「最後の確認は必要になる」「自動化できない仕訳もある」とも書いています。[出典:株式会社マネーフォワード「自動仕訳とは?自動仕訳で経理業務の効率化を実現 | 仕組みやメリットを解説」(2026)]

鮎澤パートナーズは、個人用と事業用の口座を分けないと、私的な取引まで取り込まれると指摘しています。[出典:鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所「【税理士×公認会計士が解説】クラウド会計の導入手順|銀行連携・初期設定・データ移行のポイント」(2026)]

AIの精度を保つには、入力のルールが大事です。スマートキャンプの調査で、成功の要素として「学習データの入力ルールの徹底」を挙げた人が最多でした。人数は16人で、調査の対象は78人です。[出典:スマートキャンプ株式会社(BOXIL Magazine)「【実態調査】経理のAI活用方法11選 生成AIが人気 おすすめツールも」(2026)]

最初の3か月で確かめること

最初の3か月は、次の流れで進めます。鮎澤パートナーズが示す導入手順を、短くまとめました。

  1. 銀行口座・クレジットカードを連携する
  2. 自動仕訳のルールを設定する
  3. 税理士とのデータ共有を設定する

鮎澤パートナーズは、初期は「毎日10分」の明細確認を勧めています。同事務所の見解です。自動仕訳のルールは「30〜50種類程度」で安定するとも述べています。[出典:鮎澤パートナーズ公認会計士・税理士事務所「【税理士×公認会計士が解説】クラウド会計の導入手順|銀行連携・初期設定・データ移行のポイント」(2026)]

任せる範囲を広げる目安は、数字ではありません。AIの間違いの傾向が分かり、確認で見つけられる状態になったかどうかです。見つけられる範囲から、少しずつ任せてください。

請求書の入力や作成にAIを使う場合は、請求書AIは1作業から|入力・作成・チェックの選び方で選び方を説明しています。

よくある質問

Q. 会計ソフトのAIと ChatGPT のような生成AIは、どちらを選べばよいですか

まず会計ソフトに付いているAIを検討してください。生成AIは別の道具として使います。違いは3種類を一枚で比べる:うちの規模ならどれを選ぶかの表にまとめました。

Q. AIが仕訳を間違えたら、誰の責任になりますか

責任の所在は、ここでは断定できません。勘定科目の最終的な妥当性の判断は、人が行う領域です。確認の分担はAIはどこまで任せ、誰が確認するのかで整理しました。税理士にも相談してください。

Q. すでに税理士に記帳を頼んでいます。AI会計を入れると何が変わりますか

日々の記帳は社内、決算は税理士、という分担に切り替える形があり得ます。顧問料がどう変わるかは、税理士に相談して決めてください。考え方は体制別の確認の分担(表)に書きました。

Q. AIを入れれば経理担当は要らなくなりますか

要らなくなるとは言えません。創業手帳は「全ての業務を完全に自動化できるわけではありません」としています。目視の確認と最終判断は、人が行います。[出典:創業手帳株式会社「AI搭載の会計ソフトで業務効率アップ!選び方&おすすめソフト5選を紹介」(2025)]

Q. 費用が心配です

AI導入の阻害要因で最も高いのは、高コストの46.9%でした。中小機構の調査で、この設問の回答は1,636社です。各社の料金は公式サイトで確認してください。補助金や助成金は、要件を満たせば受給できる可能性があります。最新の条件を、公式の情報で確かめてください。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

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