この記事でわかること
- 請求業務は「作成・承認・送付・入金確認・保存」の流れで見ます。
- 手間が大きく、判断が少ない作業を1つだけ選んで試します。
- 金額・請求先・記載事項と、例外の入金は人が確認します。
請求書の自動化は、流れを書き出し手間が大きく判断が少ない作業を1つ選んで試します。人が確認する所と電子帳簿保存法の注意点も解説。

この記事でわかること
ポイント
答えは「流れ全体を書き出して、1つだけ選ぶ」です。全部を一度に変える必要はありません。
この記事が扱うのは、自社が取引先へ出す請求書の流れ全体です。受け取った請求書の読み取りは扱いません。
手間は、作成・送付・入金確認・保存のどこかに手作業として残りやすいものです。まずは自社だけの悩みではないと知ることが出発点です。
中小企業基盤整備機構の調査で、ITを導入済みの中小企業に、業務全体に占める手作業の比率を聞きました。「60〜79%」と答えた会社が31.5%で、最も多い結果でした。出典:中小企業基盤整備機構(2026)
「80%以上(ほとんどが手作業)」は20.2%です。対象はITを導入済みの922社です。出典:中小企業基盤整備機構(2026)
メモ
なお、これは請求書だけの数字ではありません。会社の業務全体を聞いたものです。
株式会社インフキュリオンの調査があります。取引先に発行する請求書について、1,077人が回答しました。そのうち52%が「電子データ」が理想と答えました。出典:株式会社インフキュリオン「ビジネス決済総合調査2025」(2025)
取引先から受け取る請求書については、1,121人が回答しました。そのうち51%が「電子データ」を理想としています。出典:株式会社インフキュリオン「ビジネス決済総合調査2025」(2025)
この調査は、インフキュリオンが2025年10月に行いました。対象は全国の事業者1,236名です。出典:株式会社インフキュリオン「ビジネス決済総合調査2025」(2025)
請求の流れを5段階に分けると、機械に任せやすい所と、人が確認する所がはっきり分かれます。
たとえば「作成」は、ソフトに任せやすい作業です。「承認」は、社長が金額と請求先を見る段階です。「入金確認」は、機械が照合し、合わない分を人が見ます。
請求書の作成、決まった日の定期送信、郵送の代行、会計ソフトへの連携が、任せやすい作業です。
弥生の解説は、作成・送付・入金確認までを一連の流れとして扱っています。出典:弥生「請求書の自動化」
freeeの解説は、取引先ごとに郵送と電子送付を選べる仕組みを選ぶよう勧めています。出典:freee「請求書発行代行の解説」
Squareの解説は、会計ソフトとつなぐと転記の手間が減ると述べています。出典:Square「クラウド請求書のすすめ」
自動化で減る手間
次の作業は、人が持つほうが安全です。
人が確認する作業
マネーフォワードの解説は、振込名義が社名と違う場合や合算入金で、照合に時間がかかると述べています。出典:マネーフォワード「入金消込の解説」
自動化の手段は、大きく3つです。ソフトを選ぶときは、自社の件数と流れに合うかを見ます。
| 手段 | 向く会社 | 人に残る手間 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| クラウド請求書ソフト | 作成から入金確認までをまとめて楽にしたい会社 | 金額・請求先の確認、例外の入金の判断 | 会計ソフトとつながるかを先に確かめる |
| 郵送・発行の代行 | 紙で送る取引先が残っている会社 | 送る内容の確認 | 電子で送れる先は、先に電子へ移す |
| Excel(ひな形・マクロ) | 取引先が少なく、決まった形の請求が多い会社 | 入力・送付・入金確認の多く | 作った人以外も直せるよう、手順を書いておく |
マクロは、Excelの決まった操作を自動で行う仕組みです。どの手段でも、金額と請求先の確認は人が持ちます。
次の表で、自社に合うかを確かめてください。製品名ではなく、見る点で比べます。
| 見る点 | 確かめること |
|---|---|
| 発行件数と料金の決まり方 | 月の発行件数で料金がどう変わるか(定額か、件数に応じるか) |
| 会計ソフト連携 | 今使っている会計ソフトにデータを渡せるか |
| 送付方法 | PDF・メール送付・郵送代行のどれが使えるか |
| 承認の流れ | 社長が承認してから送る流れを作れるか。承認の状況を共有できるか |
| インボイスの記載事項 | 決められた記載事項を入れた形で作れるか |
ITトレンドの解説も、比べる点に発行方法と承認フローを挙げます。会計や販売管理との連携、料金体系も挙げています。出典:ITトレンド「Web請求書の選び方の解説」
atsohoの解説は、料金の決まり方が自社の発行件数に合っているかを確かめる点に挙げています。件数に応じて料金が決まる型は、件数が増えると定額の型のほうが安くなることもあるとしています。出典:atsoho「インボイスAIの選び方」料金は、各社の公式ページで自社の月の件数に当てはめて確かめます。郵送代行を使う取引先が残る場合は、その代行費も含めて、月の総額で比べます。
手順は5つです。社長と経理担当1〜2人の会社を前提にしています。
中小企業庁の白書は、省力化投資でAIを使った事業者に目的を聞いています。「業務時間の節減」と答えた事業者は84.5%でした。対象は1,685事業者です(複数回答)。出典:中小企業庁(2026)
流れを書き出します。各段階の所要時間と、判断が要るかどうかに印を付けます。
次の表を写して、自社の数字を書き込んでください。空欄は自社で埋める記入欄です。
| 段階 | 月の件数 | 1件あたりの時間 | 判断が要るか |
|---|---|---|---|
| 作成 | (記入) | (記入) | 要る/要らない |
| 承認 | (記入) | (記入) | 要る/要らない |
| 送付 | (記入) | (記入) | 要る/要らない |
| 入金確認 | (記入) | (記入) | 要る/要らない |
| 保存 | (記入) | (記入) | 要る/要らない |
件数×1件あたりの時間が大きく、判断が要らない段階が、最初の候補です。
手間が大きく、判断が少ない作業を1つ選びます。送付や、入金確認の下書きが候補です。
取引先を「電子で送れる先」と「紙が必要な先」に分けます。電子で送れる先から始めます。(紙で欲しい取引先は無理に変えない)
承認者(社長)を決めます。担当が休んだときの代わりの人も決めます。
1か月試します。減った手間と、残った確認を見直します。
紙を希望する取引先は、そのままで構いません。取引先ごとに、少しずつ移ります。
郵送を代行するサービスという選択肢もあります。バクラク(LayerX)の解説では、印刷から封入・発送までを代行するサービスが紹介されています。出典:バクラク(LayerX)「請求書発行の自動化」
請求書の発行は、ソフトに任せます。生成AIは、送付メールの文面づくりに向いています。入金が遅れている先への確認連絡の下書きや、取引先別のルールの整理にも使えます。
aurant-technologiesの整理では、決まった形の処理は従来の仕組み、形の決まっていない処理は生成AIが向くとされています。出典:aurant-technologies「生成AI×経理の解説」
失敗の多くは、一度に変えすぎることと、人の確認を省くことから起きます。電子帳簿保存法とインボイスのルールも、先に確認しておきます。
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 全取引先を一度に切り替えて混乱する | 電子で送れる先から、少しずつ移す |
| 最終確認を省き、金額や請求先を誤る | 承認者が金額と請求先を必ず見る |
| インボイスの記載事項の漏れを見落とす | 発行前に記載事項を確認する |
| 担当だけが仕組みを分かっていて、休むと止まる | 代わりの人を決め、手順を書いておく |
atsohoの解説は、AIで作った請求書でも、インボイスの記載事項の漏れ確認は欠かせないと述べています。出典:atsoho「インボイスAIの選び方」記載事項はインボイスの記載事項で確かめます。
インボイス(適格請求書)は、売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。国税庁は、次の事項が書かれた書類やデータをインボイスとしています。出典:国税庁「インボイス制度について」
国税庁が示す記載事項
登録番号は、登録後に税務署から通知される番号です。出典:国税庁「インボイス制度について」
発行前に、次のチェックリストで人が確かめてください。
電子データでやり取りした請求書は、データのまま保存する必要があります。出典:国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」
PDFで受け取った請求書を紙に印刷しても、データ自体も保存が必要です。出典:国税庁「【国税庁の取組紹介】電子帳簿保存」
基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の方等は、一定の条件で、検索の要件が不要になります。出典:国税庁(2024)
注意
条件は、税務調査などでデータのダウンロードの求めに応じられることです。改ざん防止の措置なども必要です。細かい適用は、税理士や所轄の税務署にご確認ください。
作成・定期送信・会計ソフトへの連携は任せやすい作業です。金額・請求先・記載事項の確認と、例外の入金の判断は人が持ちます。
無理に変えません。電子で送れる先から始め、紙の先は郵送代行も選べます。
電子データでやり取りした請求書は、保存の対応が必要です。基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の方等は、一定の条件で検索の要件が不要になります。出典:国税庁(2024)個別の判断は、税理士や税務署にご相談ください。(電子帳簿保存法の確認)
請求書の発行はソフトに任せます。生成AIは、送付メールの文面や、入金遅れの確認連絡の下書きに使います。