介護のシフト自動作成|任せる所と人が決める所

介護のシフト自動作成は、希望休・夜勤・資格者配置から「案」を作るところまで。急な欠勤と配置基準の最終確認は人が決めます。導入前の準備、ツールの比べ方、試し方、補助金の確認先を解説。

この記事の要点

  • シフトの自動作成は、条件を入れて「案」を作るところまでです。
  • 急な欠勤の差し替えと、配置基準の最終確認は人の仕事です。
  • まず自事業所のルールを書き出し、次に1ユニットで1か月並べて試します。

介護のシフトは、なぜ毎月これほど手間がかかるのか

結論

介護のシフト自動作成は、希望休・夜勤・資格者配置などの条件を入れて「案」を作る部分まで任せられます。急な欠勤の差し替えや配置基準の最終確認は、人が決めます。だから導入前に、社長が指示して自事業所のルールを書き出すことが先です。

介護のシフトは、決めることが多く重なります。希望休、夜勤、有資格者の配置、配置基準や加算の要件です。紙や表計算ソフトで調整すると、転記と修正が増えます。

背景には人手不足があります。日本商工会議所・東京商工会議所の調査では、業種別に見ると、人手不足と答えた介護・看護業の企業は70.5%でした。回答したのは、各地の商工会議所の会員企業2,654社です。調査期間は2026年7月21日〜8月21日です。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]

手間が増える原因は「条件の多さ」と「属人化」

介護のシフトづくりでは、よく次の課題が挙がります。希望休を自由に申請できる体制だと、調整が複雑になります。施設ごとに組み方が違い、作成が特定の担当者に偏ることもあります。

担当者が休むと、誰も組めなくなります。これが「属人化」です。決まりが頭の中にあるほど、引き継ぎは難しくなります。

偏りが職員の不満になる

夜勤や休日が特定の職員に偏ると、不満が生まれます。コニカミノルタQOLソリューションズは、勤務の公平性への不満が離職につながると問題提起しています。

管理者の手間だけでなく、職員の働きやすさにも関わる話です。シフトづくりは、職場づくりの一部と言えます。

自動作成は、どこまで任せて、どこから人が決めるのか

結論

ツールは条件を踏まえて案を作ります。急な欠勤、相性、本人の事情、配置基準の最終確認は、人が責任を持って決めます。

提供元の説明では、条件を踏まえて案を作るツールがあります。コニカミノルタQOLソリューションズは、職員のスキルや組み合わせを考慮すると説明しています。らくしふは、希望休や対応できる時間帯、夜勤回数の上限・下限を考慮すると説明しています。

提供元が発表した例もあります。コニカミノルタQOLソリューションズは、導入した1施設で、シフト表の作成時間が月37.5時間から月2.5時間になったと発表しました。93%の短縮です。これは提供元による1施設の実績で、効果を保証する数字ではありません。[出典:コニカミノルタQOLソリューションズ「介護施設向けAI搭載シフト自動作成サービス『miramos(ミラモス)』を発売」(2024)]

ツールが案を作る 希望休 夜勤の回数 連勤の制限 職員のスキル → 結果は「たたき台」 案 確定へ 人が最後に決める 急な欠勤 職員の相性 本人の事情 配置基準の最終確認 → 責任は人が持つ
ツールは条件から案を作り、急な欠勤や配置基準の最終確認は人が決めます。

任せられること:案の作成、偏りや連勤のチェック

案の作成は、ツールの得意分野です。比較記事(アイミツSaaS・ITセレクト)では、連勤のアラートや偏りを抑える割り振りの仕組みを持つツールが紹介されています。機能は製品ごとに提供元へ確認してください。

人が最後に決めること:急な欠勤、相性、本人事情、配置基準の最終確認

急な欠勤が出たら、誰に頼むかは人が決めます。職員同士の相性や、本人の家庭の事情への配慮も同じです。

配置基準を満たしているかの最終確認も、責任者が行います。ツールの案は「たたき台」と考えてください。

場面ツール人
月のシフト案づくり条件から案を作る案を確認する
偏り・連勤の確認数字で知らせる直すか判断する
急な欠勤—差し替えを決める
配置基準—最終確認をする

導入前に、社長が指示して整える4つのこと

結論

ツールに覚えさせる前に、暗黙のルールを書き出します。順番は「書き出し、一覧、締め切りの統一、責任者の決定」の4つです。ルール設定そのものが、最初の手間になります。

マネーフォワードのシフト表の作り方も、先にひな形とルールを決めることを勧めています。勤務時間、休憩、必要人数、提出期限などです。ルール作りには、職員の協力が欠かせません。

1 書き出し 暗黙のルールを 文章にする 2 一覧 資格・夜勤の可否 時間帯をまとめる 3 締め切り統一 希望休の出し方を 1つにそろえる 4 責任者 最終確認をする 人を決める
書き出し、一覧、締め切りの統一、責任者の決定の順に進めます。

暗黙のルールを書き出す

管理者の頭の中にある決まりを、文章にします。「夜勤明けは翌日休み」のような決まりです。

職員ごとの一覧を作る

資格、夜勤ができるか、勤務できる時間帯をまとめます。

注意

資格や家庭の事情、希望休の理由は、職員の個人情報です。ツールに入れる前に、誰が見られて、誰が直せるかを決めてください。管理者と、一般の職員とで見える範囲を分けます。

希望休の出し方と締め切りをそろえる

紙、口頭、メッセージなどのばらつきをなくします。

最終確認の責任者を決める

配置基準や加算の要件を、最後に確かめる人を決めます。

書き出しには時間がかかります。ただ、この作業は手作りの場合にも役立ちます。

準備チェックリスト

導入前の確認項目

  • ☐ 夜勤や連勤の決まりを文章にした
  • ☐ 職員ごとの資格を一覧にした
  • ☐ 夜勤ができる職員とできない職員を分けた
  • ☐ 希望休の出し方と締め切りを1つに決めた
  • ☐ 配置基準や加算の要件を最終確認する人を決めた
  • ☐ 職員の情報を誰が見られるかを決めた

シフト作成ツールの種類と、比べるときの見方

結論

ツールは大きく、介護特化型、勤怠管理一体型、汎用シフト型に分かれます。製品名より先に、自事業所のルールを入れられるかを比べます。

比較記事を出しているatsohoは、ツールをこの3つの型に分けています。配置基準や夜勤の要件を自動で満たしたいなら、介護特化型が向くと説明しています。[出典:atsoho「介護 シフト作成 AIツール 比較 2026|職員配置を最適化する介護向けAIの選び方と費用」(2026)]

3つの種類と考えやすい場面

種類どんなものか考えやすい場面
介護特化型夜勤や配置基準など、介護の決まりを前提にした型配置基準や夜勤の決まりを自動で確かめたい
勤怠管理一体型出退勤の記録とシフトを、同じ仕組みで扱う型勤怠の集計もまとめて見直したい
汎用シフト型業種を問わず使える型介護の決まりを条件として入れられるか、提供元に確かめたうえで考える
表計算ソフト(今のやり方)集計は得意だが、希望の取り込みは手作業の転記になるルールを書き出して整える段階

表計算ソフトの説明は、アイミツSaaS・ITセレクトの比較記事によるものです。どの型でも、細かい機能は製品ごとに違います。型の説明は名前から整理したもので、対応できる条件は製品ごとに提供元へ確認してください。

比べるときに見る点

候補を2〜3に絞ったら、次の点を提供元に確かめます。答えは、書き出したルールに照らして判断します。

比べる点確かめること
配置基準・加算の確認自事業所の基準で、足りない日を知らせてくれるか
夜勤・連勤の条件夜勤回数の上限・下限や、夜勤明けの休みを入れられるか
希望休の集め方職員がスマホなどから出せるか。締め切りを決められるか
勤怠・給与との連携今の勤怠や給与の仕組みと、データをつなげられるか
シフトの共有確定したシフトを、職員が手元で見られるか
使いやすさ管理者も職員も、迷わず操作できるか
設定の手伝い最初の条件づくりや、問い合わせの窓口があるか
試す期間契約の前に、無料で試せる期間があるか

ポイント

比べる前に、導入前に、社長が指示して整える4つのことで書き出したルールを手元に置きます。ルールが手元にないと、どの製品も同じに見えます。

いきなり全部ではなく、1ユニットで1か月並べて試す

結論

従業員10〜50名の規模なら、まず1ユニットか1事業所で試します。手作りと自動作成を1か月並べて、比べて判断します。

人手不足への対策として、デジタル活用等による省力化を挙げた企業は40.2%です。上位の回答として挙げられています。回答したのは会員企業2,654社で、調査期間は2026年7月21日〜8月21日です。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]

ただし、企業規模が小さいほど、この回答は減る傾向です。だからこそ、小さく試して確かめるのが安全です。

1か月の試し方と見る指標

1か月、同じユニットで2通りのシフトを作ります。1つは今までの手作り、もう1つは自動作成です。

見る点は3つです。作成にかかった時間、手直しの量、職員の不満の有無です。この3つを毎月メモに残します。

職員への伝え方と声の集め方

試す前に、職員へ目的を伝えます。「夜勤の偏りを減らすため」「希望休の出し方を1つにするため」などです。

希望休の出し方が変わるときは、出し方と締め切りを紙1枚にまとめて配ります。慣れるまでは、前の出し方も受け付ける期間を決めておきます。

試す1か月の途中と最後に、使いにくい所を聞く日を決めます。出た声は、手直しの量と一緒にメモに残します。

空いた時間の使い道

シフト作成の時間が減ったら、その分を経営の仕事に使えます。職員との面談や、採用活動です。

面談で不満を早く聞けば、離職を防ぎやすくなります。時間が空いた効果は、作成時間の数字だけでは測れません。

よくある失敗と対策

結論

失敗の多くは、準備不足と広げすぎです。4つの失敗に、それぞれ対策があります。

アイミツSaaS・ITセレクトは、Excelでは希望の取り込みが手作業の転記になると説明しています。2ndlabo は、配置基準の充足は必須で、夜勤の偏りは避けるべきだと説明しています。ここから、次の4つの失敗と対策を整理しました。

4つの失敗と対策

  • 失敗1:ルールを書き出さずに入れて、手直しだらけになる。 対策は、導入前に4つのことを整えることです。(導入前に、社長が指示して整える4つのこと)
  • 失敗2:全施設に一度に広げて、現場が混乱する。 対策は、1ユニットから始めることです。
  • 失敗3:配置基準の最終確認を、誰もしない。 対策は、責任者を先に決めることです。
  • 失敗4:希望休の出し方がばらばらのまま。 対策は、出し方と締め切りを1つにそろえることです。

費用と補助金は、まず都道府県に確認する

結論

料金は、見積もりの条件をそろえて比べます。介護テクノロジーの導入補助は、申請先が都道府県です。シフト作成ソフトが対象かどうかは、都道府県への確認が必要です。

料金の決まり方と見積もりで聞くこと

料金の決まり方は、製品ごとに違います。見積もりでは、何で金額が決まるかを先に確かめます。

見積もりで聞くこと

  • 月額が固定か、職員数や事業所数で変わるか
  • 初期費用や、条件づくりの支援に料金がかかるか
  • 勤怠・給与との連携に、追加の料金がかかるか
  • 試す期間のあとは、いつから料金が始まるか

元が取れるかは、試した1か月の結果で考えます。減った作成時間に管理者の時給を掛け、月額の料金と比べます。詳しい測り方は、1ユニットで1か月並べて試す章のとおりです。

介護テクノロジー導入補助(都道府県へ確認)

介護テクノロジーの導入補助は、国が制度を作り、都道府県が実施します。対象製品は、テクノエイド協会のカタログで判定されます。

令和7年度補正予算の事業では、見守り機器、介護記録ソフト、インカムを集中的に支援するとされています。シフト作成ソフトが対象に入るかは、厚生労働省の資料には記載がありません。

導入補助の負担割合

負担割合は、この事業の介護テクノロジー等導入の区分で示されています。国と都道府県で4/5、事業者で1/5です。対象や受付期間は、都道府県に確認してください。[出典:厚生労働省老健局高齢者支援課(2026)]

研修にかかる人材開発支援助成金(要件を満たせば受給できる可能性)

人材開発支援助成金は、職員の研修が対象です。ソフトの購入費そのものが対象になるとは限りません。

事業展開等リスキリング支援コースでは、中小企業の経費助成率は75%です。賃金助成は、1人1時間あたり1,000円です。

経費助成には、受講者1人あたりの限度額があります。中小企業の10時間以上100時間未満の訓練で30万円です。対象は、雇用保険の被保険者への、事業展開やDX化などに関する研修(OFF-JT)です。

訓練計画の提出などの要件があり、受給できるかは審査次第です。令和8年度末(2027年3月末)までの制度です。[出典:厚生労働省・都道府県労働局(2026)、厚生労働省(2026)]

よくある質問

自動作成にすれば、手直しはなくなりますか。

なくなりません。ツールが作るのは案で、急な欠勤の差し替えや配置基準の最終確認は人が行います。線引きは、本文の「どこまで任せて、どこから人が決めるのか」の章を見てください。(自動作成は、どこまで任せて、どこから人が決めるのか)

うちの細かいルールをツールに覚えさせられますか。

先に書き出しておけば、条件として入れやすくなります。暗黙のルールを文章にし、職員ごとの資格や夜勤の可否を一覧にしてください。この準備が、最初の手間になります。

費用はどのくらいで、補助金は使えますか。

費用は製品や規模で変わるため、複数の提供元に確認してください。介護テクノロジーの導入補助は、シフト作成ソフトが対象かを都道府県に確認します。研修には、要件を満たせば人材開発支援助成金を受給できる可能性があります。

ITが苦手な職員でも使えますか。

操作の画面は製品ごとに違うため、一概には言えません。試す1か月の間に、職員に実際に希望休を出してもらってください。つまずいた所を聞き、慣れるまでは前の出し方も残します。

労働時間などの決まりも確かめてくれますか。

確かめられる条件は製品ごとに違うため、提供元に確認してください。最終確認は責任者が行います。個別の判断は、社会保険労務士などの専門家に相談してください。

小さい事業所でも元が取れますか。

事業所の条件で変わるため、断定できません。1か月、手作りと並べて試し、作成時間と手直しの量を比べて判断してください。

全施設で一度に始めるべきですか。

いいえ。まず1ユニットか1事業所から始めます。うまくいく形を確かめてから広げるほうが、現場の混乱を防げます。

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