この記事でわかること
- 「リスキリング助成金」は通称です。中心は厚生労働省の人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)です。
- 中小企業の助成率は、研修経費が75%、研修中の賃金が1人1時間あたり1,000円です。要件を満たせば受給できる可能性があり、受給は審査次第です。
- 制度は令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。研修を決める前に、確認する順番を押さえておくことが大事です。
リスキリング助成金の中心は人材開発支援助成金。中小企業の経費助成率は75%で、要件を満たせば受給できる可能性があります。研修前の確認順を解説。

この記事でわかること
「リスキリング助成金」という名前の制度が、1つあるわけではありません。中心になるのは、厚生労働省の人材開発支援助成金のうち、事業展開等リスキリング支援コースです。
社員に新しいことを学び直してもらうことを、リスキリングといいます。この助成金は、新規事業やDX・GX化(デジタル化や脱炭素化)に合わせた研修の費用を支える仕組みです。対象は雇用保険に入っている社員への、職場の外での研修(OFF-JT)です。[出典:厚生労働省(2026)]
日本商工会議所・東京商工会議所の調査では、リスキリングに「必要性を感じるが、取り組みが十分に進んでいない」企業は66.1%でした。回答したのは各地の商工会議所の会員企業2,654社です。調査期間は2026年7月21日から8月21日です。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]
制度のあらまし
会社が受け取るお金と、個人が使うお金は、別の制度です。ここを取り違えると、窓口選びで遠回りになります。
| 比べる点 | 会社向けの助成金 | 個人向けの給付金 |
|---|---|---|
| 申請する人 | 会社 | 個人 |
| 例 | 人材開発支援助成金 | 教育訓練給付金など |
| 使いみち | 社員の研修費や研修中の賃金 | 本人が学ぶ講座の費用 |
| 確認先 | 厚生労働省・都道府県労働局 | 公的な窓口 |
金額や条件は制度ごとに違います。使う前に窓口で確認してください。
メモ
人材開発支援助成金には、このコースのほかにも目的別のコースがあります。何を学ばせたいかで、使い分けになります。このコースが向くのは、新規事業やDX・GX化に伴う研修です。それ以外の目的の研修なら、ほかのコースが合うか、窓口で確認してください。
東京都など、自治体が独自に設けている制度もあります。会社の所在地の都道府県や市区町村にも、あわせて確認してください。助成率や上限額は、制度ごとに違います。
助成は「研修経費」と「研修中の賃金」の2本立てです。中小企業は、要件を満たせば対象になり得ますが、受給は審査次第です。
研修経費の助成率は、中小企業で75%です。研修中の賃金の助成は、中小企業で1人1時間あたり1,000円です。[出典:厚生労働省・都道府県労働局(2026)]
大企業との違いは、次の表のとおりです。
| 項目 | 中小企業 | 大企業 |
|---|---|---|
| 経費助成率 | 75% | 60% |
| 賃金助成(1人1時間あたり) | 1,000円 | 500円 |
| 設備投資加算 | 導入費用の50% | なし |
経費助成には、受講者1人あたりの限度額があります。表は中小企業の、1人が1つの訓練を受ける場合の額です。
| 訓練時間 | 経費助成の限度額 |
|---|---|
| 10時間以上100時間未満 | 30万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 40万円 |
| 200時間以上 | 50万円 |
従業員10〜50名の会社では、誰を何人受講させるかを、この限度額から考えます。 全員に受けさせるより、新しい事業を担う人から始める方が、計画を立てやすくなります。
経費の75%が、1人あたりの限度額(10時間以上100時間未満の訓練なら30万円)を超える場合は、限度額までになります。実際の受給額は審査で決まります。[出典:厚生労働省(2026)] eラーニングと通信制は限度額が違うので、次の項で説明します。
注意
eラーニングと通信制の限度額は、15万円です。令和8年8月3日以降、eラーニングは1人の社員につき1年度に1回までです。[出典:厚生労働省(2026)]
定額制(月額払いで学び放題になるタイプ)のサービスを使う場合の扱いは、窓口で確認してください。
研修会社を決める前に、社長が自社で確認する順番があります。この順に進めると、手戻りを減らせます。
令和8年8月3日以降に提出された計画届が、現在の対象です(経過措置があります。詳しくは労働局で確認してください)。[出典:厚生労働省(2026)]計画届とは、研修の前に出す訓練の計画書です。提出の期限は、早めに労働局の窓口で確認してください。
先に決めるのは、何のために人を学ばせるかです。新規事業を始める、業務をDXする、といった事業展開の計画が土台になります。
計画がないまま研修だけ受けると、問題になる場合があります。対象外や不支給になるケースは、こんなときは対象外・不支給になる可能性があるで説明します。計画の立て方や、計画がない場合の扱いは、窓口で確認してください。
今の仕事と同じ内容の研修は、対象外になる場合があるとされています。対象になるかどうかは、窓口で確認してください。AI研修で考えてみます。
たとえば、今の営業資料づくりを少し速くするだけの研修は、今の業務の延長です。対象外になり得ます。AIを使った新サービスの立ち上げや、業務のDXに向けた研修は、事業展開として対象になり得ます。
訓練時間や、職場の外での研修(OFF-JT)といった条件もあります。限度額の表では、10時間以上の区分から始まっています。細かい条件は窓口で確認してください。[出典:厚生労働省(2026)]
終了予定の日から、さかのぼって考えます。制度は令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置です。
研修と手続きをいつまでに行えばよいかは、早めに労働局で確認してください。計画届の提出の時期は、労働局の窓口で確認してください。研修期間だけでなく、届け出の時間も見込みます。
厚生労働省や都道府県労働局に、最新の内容を確認します。制度は期間限定で、内容が変わる場合があります。
流れは、一般に次のとおりです。計画届を出し、研修を行い、支給を申請し、審査を受けます。支給は、研修のあとの申請と審査を経てからです。受給は審査次第です。[出典:厚生労働省・都道府県労働局(2026)]
最後に研修会社を選びます。助成金に対応しているか、サポートの範囲はどこまでか、を比べます。
研修会社の見方は、AI研修の選び方|数十人の会社が見る3点と助成金で説明しています。
次のチェックリストで、候補の研修会社に確かめてください。
立て替えの有無は、研修会社と窓口の両方に確認してください。
計画届の期限切れ、書類の不備、対象外の研修などで、対象外になり得ます。
注意
助成金は、研修のあとで申請する仕組みです。研修会社に任せきりにせず、社長も内容を確認してください。支給には訓練計画の提出などの要件があります。受給は審査次第です。[出典:厚生労働省・都道府県労働局(2026)]
たとえば、次のような場合は支給されないことがあります。
申請の前に、国の様式にも目を通してください。
書類の保存や、調査への協力についての決まりもあります。内容は、窓口で確認してください。
助成金は、要件を満たして申請すれば、原則受給できるものが多いです。補助金は、要件を満たして申請しても、もらえるとは限りません。これは中小企業庁の説明です。[出典:中小企業庁(2026)]
助成金と補助金の違いは、助成金と補助金の違い|AI導入で最初に調べる制度でも説明しています。
助成金側にも例外があるので、断定はできません。研修は助成金で考えます。設備やツールの導入は、このコースの設備投資加算の対象になるかを窓口で確認し、別の補助金もあわせて検討します。
助成金は、研修費の負担を軽くする手段です。研修のあと、現場でAIが使われ続けるかは、別の問題です。
研修を受けても、日々の仕事に組み込まないと、使われなくなります。まず、どの業務で使うかを1つに絞ります。次に、使う人と使い方を決めます。そして、使った結果を振り返る場を作ります。
研修を申し込む前に、研修のあとの使い方まで決めておくと、定着しやすくなります。研修のあと業務に組み込むまでの伴走を、カクヤクAIXでご相談いただけます。助成金の対象かどうかは、窓口で確認してください。
要件を満たせば、対象になり得ます。ただし、今の仕事と同じ内容の研修は対象外になり得ます。見分け方はステップ2:対象になり得る研修か確かめるで説明しました。
中小企業の経費助成率は75%です。限度額は訓練時間で変わります。制度は令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置で、延長の有無は確認できていません。逆算の考え方はステップ3:期限と研修期間から逆算するにあります。[出典:厚生労働省(2026)]
計画届や支給申請など、書類の手続きがあります。受給は審査次第なので、受け取れない場合もあります。研修会社に任せきりにしないことが大切です。ケースはこんなときは対象外・不支給になる可能性があるにまとめました。