マニュアル作成をAIで。最初の1枚を作る6ステップ

AIで作れるのはマニュアルの下書きまで。任せる作業と人の確認、最初の1業務で試す6ステップを社長向けに整理。新人が試して直す所も紹介します。

この記事でわかること

  • AIは構成案や文章、表現の統一といった下書きを手伝えます。完成品は作れないので、人の確認が必要です
  • 最初は「よく聞かれる・毎回同じ流れ・間違えても取り返せる」1業務を、1枚のチェックリストか手順書で試します
  • 内容を確かめるのは、書いたベテランではなく、その業務をまだ知らない新人です。社長は業務・確認者・見直し日を決めます

AIでマニュアルは作れる? 任せられる所と人の所

AIはマニュアルの下書きを手伝えます。ただし、AIだけで完成したマニュアルは作れません。人の確認が欠かせません。

中小企業庁の白書には、省力化投資としてAIを使う目的を聞いた調査があります。AI活用に「取り組んだ」事業者に聞くと、「業務時間の節減」を挙げた割合は84.5%でした。回答した事業者は1,685、複数回答です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]

マニュアル作りも、時間のかかる仕事の1つです。下書きをAIに手伝ってもらうことで、現場の手間を減らせる可能性があります。

ポイント

AIは「下書き係」です。材料を出すことと、正しいかを確かめることは、現場の人の仕事です。

AIに任せられる作業

AIが得意なのは、文章を整える作業です。たとえば次のものを任せられます。

  • 構成案づくり(どんな順番で書くかの案)
  • 各手順の文章づくり
  • 長い説明の要約と、誤字の校正、表現の統一
  • よくある質問(FAQ)への書き直し

任せるメリットは4つあります。作成と更新の時間を減らす助けになります。新人に教える手間を減らしやすくなります。特定の人しか分からない状態(属人化)を防ぐ助けになります。書き方がそろい、品質をそろえやすくなります。

汎用のAIか、AI付きの専用ツールか

使えるAIは、大きく2種類あります。1つは、文章を作る汎用の生成AIです。質問や指示を文章で入れると、文章で答えます。

もう1つは、AI付きのマニュアル作成ツールです。文書型、動画型、画面記録型があります。画面記録型には、パソコンの操作を記録して、手順と画面の画像を自動で整理するものがあります。

最初の1枚なら、まずは使い慣れた汎用のAIで試す方法があります。専用ツールは、1枚試してから考えても遅くありません。

ツールを選ぶ前に比べる5つの観点

製品名を並べる前に、何を比べればよいかを決めましょう。次の表は、選ぶときの観点です。

観点見る内容最初の1枚で重視するか
用途に合うか文書か、動画か、画面記録か。自社の業務に合う形か重視する
テンプレートの数手順書やチェックリストの型が用意されているかあると楽。なくても自作できる
画面記録・動画への対応パソコン操作を記録して手順にできるか画面操作の業務なら見る
日本語とデータの管理日本語で使えるか。入れた情報がどう扱われるか重視する
料金と無料で試せるか月額などの料金。無料で試せる範囲重視する

最初の1本の決め方は、マニュアルは最初の1本から。5ステップの作り方でも整理しています。

なぜ中小企業ではマニュアルが作れず、古くなるのか

マニュアルが続かない理由は、書く人も、直す人も決まっていないからです。作ることより、更新が止まって古くなることのほうが問題になりやすいです。

よくあるのは、手順がベテランの頭の中にある状態です。たとえば、受注から発送までの流れを、1人の担当者だけが知っているような場合です。その人は兼務で忙しく、書く時間がありません。

書いても、仕事のやり方が変わるとそのままになります。古い手順書は、やがて使われなくなります。

背景として、AIを使う会社の割合を見てみます。2019年以降の省力化投資について聞いた調査で、AI活用に「取り組んだ」と答えた割合は、全体で約3割でした。回答数は5,645です。調査は帝国データバンクが、2025年11〜12月に行いました。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]

中小企業が続ける3つのコツも参考になります。

AIで最初の1枚を作る6つのステップ

作るのは現場、決めるのは社長、手伝うのはAIです。社長が決めるのは、次の3つだけです。どの業務から始めるか、誰が確かめるか、いつ見直すかです。

ステップ1業務を選ぶ ステップ2読む人を決める ステップ3材料を集める ステップ4下書きを作る ステップ5新人が試す ステップ6置く 社長が決める 現場が作る AIが手伝う どの業務から 誰が確かめる 見直す日 材料を出す 確かめて直す 現場に置く 下書き係 赤い丸が、そのステップで動く人です。
社長は3つを決め、現場が材料と確認を受け持ち、AIは下書きだけを手伝います。

最初の1業務を選ぶ

次の4つに当てはまる業務から選びます。

  • よく聞かれる
  • 毎回ほぼ同じ流れで進む
  • 間違えても取り返せる
  • 新人に教える機会が多い

たとえば、備品の発注や、朝の開店準備のような業務です。安全、お金、お客様対応に直結する業務は、後回しにします。

長い手順書の前に、1枚のチェックリストや、よくある質問のまとめから始める手もあります。最初は小さく、1業務・1枚だけにしましょう。

読む人とゴールを決める

「誰が、どんな場面で読むか」を一文で決めます。例は「入社したばかりの人が、1人で発注する場面」です。

この一文は、あとでAIに渡す指示にも入れます。読む人がどれくらい慣れているかで、書き方が変わるからです。

材料を集める

AIに渡す材料を、現場の人が用意します。材料がないと、AIは一般的な内容で埋めてしまいます。自社だけの手順は、人が出すしかありません。

材料の例は、次のとおりです。

  • ベテランに5〜10分話してもらった録音やメモ
  • 手書きのメモ
  • 既存のチェック表の写真

社内の情報をAIに入れるときのルールは、AIに入れてよい情報と、入れない情報で説明します。

型と指示文でAIに下書きを作らせる

AIに「型」を渡すと、読みやすい手順書になります。型は次の5つです。前提条件、用意するもの、手順、注意点、例外とトラブル時の対応です。

指示には、読む人の慣れ具合、手順の細かさ、例外のケースも書きます。次の例は、コピーして使えます。

指示文の例

  • あなたは、社内マニュアルを書く担当です
  • 次のメモをもとに、「(業務名)」の手順書を作ってください
  • 読む人は、この業務を初めて行う新人です
  • 型は、前提条件、用意するもの、手順、注意点、例外とトラブル時の対応の5つです
  • 手順は1つずつ番号を付け、1つの手順に1つの動作だけ書いてください
  • メモにないことは書かず、足りない所は「要確認」と書いてください

新人に実際にやってもらう

できあがった下書きは、書いたベテランではなく、その業務をまだ知らない新人に試してもらいます。手順どおりにやって、つまずいた所を直します。

ベテランは手順が身についているので、抜けに気づきにくいことがあります。新人が迷った所が、直す所です。

確かめる項目は、AIの下書きで確かめる7つの所にまとめました。

現場に置いて、見直す日を決める

直した1枚を現場に置き、決めた期間だけ試します。期間の長さは、会社の忙しさに合わせて決めてください。

続けるかどうかは、2つで判断します。実際に使われたか、聞かれる回数が減ったかです。

最後に、見直す日と担当者を決めます。ここを決めておくと、次の作ったあと、使われ続けるにはどうすればよいかの話につながります。

AIの下書きで確かめる所と、入れてよい情報

AIは、事実と違う内容や、ありもしない手順を、それらしく出すことがあります。現場で確かめる項目と、入れてよい情報のルールを決めておきましょう。

AIの下書きで確かめる7つの所

たとえば、自社にない機械の操作が手順に入っていることがあります。次のチェックリストで、下書きを確かめてください。

  • 手順の順番は合っているか
  • 抜けている手順はないか
  • 自社で使っていない道具や言葉が入っていないか
  • 数字や基準値は合っているか
  • 例外のときの対応は書いてあるか
  • 困ったとき、誰に聞くかが書いてあるか
  • 新人が最後まで迷わずできたか

よくある失敗は、AIの文章がきれいなので、確かめずに配ってしまうことです。対策は、必ず新人に1回やってもらってから現場に置くことです。

AIに入れてよい情報と、入れない情報

AIに入れる情報には、社内のルールが必要です。考え方は3つです。

  • お客様の個人情報や、取引先の秘密は入れない
  • 社名や金額は、別の言葉や記号に置き換えて入れる
  • 使うサービスの利用規約と設定を、自社で確かめる

注意

お客様の個人情報や取引先の秘密は、入れないことを社内で決めてください。入力した内容が学習に使われない設定があるかどうかは、サービスによって違います。使う前に、そのサービスの案内で確かめてください。

どの業務から始めるか、何を確かめるかを一緒に整理したいときは、カクヤクAIXにご相談いただけます。

製造業で手順書から始める例は、製造業のAI活用は手順書から。最初の1か月の進め方で紹介しています。

作ったあと、使われ続けるにはどうすればよいか

マニュアルは、更新が止まると使われなくなります。変わった所だけをAIに伝えて改訂版を作らせ、更新する人と見直しの日を決めましょう。

変更の伝え方は簡単です。たとえば発注先が変わったら、「発注先がA社からB社に変わりました。この点だけ直してください」と、元の手順書と一緒にAIに渡します。

作る 試す 直す 見直す日 一周して、また最初へ 更新する人:____ 見直し日:_月_日
作って終わりにせず、更新する人と見直し日を書き込んで、一周ごとに回します。

使われなくなる理由と対策は、次のとおりです。

使われなくなる理由対策
更新されない変わった所だけをAIに伝えて、改訂版を作らせる
納品が目的になる「使われたか」「聞かれる回数が減ったか」で評価する
運用を決めていない更新する人と、見直しの日を最初に決める
特定の人しか直せないAIで直せる形にし、2人以上が直せるようにする

社長が決めるのは、「どの業務から」「誰が確かめるか」「いつ見直すか」の3つです。

よくある質問

Q1:マニュアルがほとんどない会社でも、AIで作れますか。何を用意すれば1本できますか

作れます。材料を集めれば、AIが下書きを作ります。

用意するのは、1つの業務について話したメモと、既存のチェック表です。くわしくは、ステップ3:材料を集めるをご覧ください。

Q2:AIが書いた手順が間違っていたらどうしますか

新人に実際にやってもらい、確かめて直します。書いたベテランが読むだけでは、抜けに気づきにくいことがあります。

確かめる項目は、AIの下書きで確かめる7つの所のとおりです。

Q3:社内の手順やお客様の情報をAIに入れても大丈夫ですか。費用をかけずに試せる業務は

お客様の個人情報や取引先の秘密は、入れないでください。社内の手順も、社名や金額を置き換えてから入れます。

試すのは、よく聞かれる1業務、1枚からで十分です。使うサービスの料金や無料の範囲は変わるので、各サービスの案内で確かめてください。

マニュアル作りの進め方に迷ったときは、カクヤクAIXにお問い合わせください。

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