この記事でわかること
- 日報アプリは「入力できるか・項目を絞れるか・続けられるか」で選びます。
- 製品を見る前に、日報の目的と項目の数を社内で決めます。
- 無料トライアルや無料プランがあれば使い、一番ITが苦手な人にスマホで試してもらってから決めます。
日報アプリは機能の多さでなく「入力できるか・項目を絞れるか・続けられるか」の3軸で選びます。選ぶ前に決めること、無料トライアルの試し方まで解説。

この記事でわかること
結論は、機能の多さではなく3つの軸で選ぶことです。3つとは「現場で入力できるか」「項目を絞れるか」「続けられるか」です。
多くの比較記事は、アプリの種類、機能、操作の簡単さ、料金といった点で比べています。どれも大事な点です。ただ、10〜50名の会社では、多機能で高いものが必要とは限りません。
たとえば、現場の社員が外でスマホから短い時間で書けるアプリがあるとします。それは、機能が少なくても、毎日使われるので役に立ちます。
選ぶ3つの軸
日報アプリは、日報を書く・出す・読む・ためておく道具です。スマホやパソコンから使えます。多くは、ネット上の保管場所にデータを置きます。
紙やExcelとの違いは、探す・共有する・まとめるが楽になる点です。日報が一か所に集まるので、社長は外出先からでも読めます。日報のひな形があれば、体裁を整える手間も減ります。
Excelで日報を集める場合は、ファイルの置き場所と、最新の版がどれかを先に決めておくと、現場と事務所で同じ日報を見やすくなります。
一方で、社員に使い方を伝える手間はかかります。社外の保管場所に情報を置くので、守りの確認も要ります。確かめる点は機能の多さで選んでしまうの中で説明します。
アプリを入れても続かない原因は、製品の良し悪しより選び方のずれにあります。書く人には入力が重く、読む社長には返事と集計が重くなります。
背景として、小さな会社のデジタル化はまだ途中です。従業員100人以下の企業で、何らかの形でDXに取り組んでいる割合は41.6%です。[出典:情報処理推進機構(IPA)(2026)]
メモ
調査全体の対象は国内企業の経営層や情報システム部門などで、回収は1,799社です。100人以下の企業は、その一部です。調査期間は2026年4月17日〜6月12日です。
人手不足の対策として、デジタル活用による省力化を挙げる企業もあります。「デジタル活用等による省力化」を挙げた企業は40.2%です。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]
調査は2026年7月21日〜8月21日に行われ、全体で2,654社が回答しました。企業規模が小さいほど、この対策を挙げる企業は少なくなります。
書く人の負担が重いと、日報は少しずつ書かれなくなります。
たとえば、外の現場から戻ってパソコンを開かないと入力できない場合です。帰り際に10個の項目を埋めるのは、誰にとっても面倒です。
面倒になると、短い言葉だけの日報が増えます。やがて、書かない日が出てきます。
読む側の負担も見落とせません。届いた日報を読み、返事をして、集計するのは社長や管理者です。
日報が毎日10通届いても、返事をする時間がなければ、書く側は「読まれていない」と感じます。すると、書く意欲も下がります。
アプリを選ぶときは、書く側の楽さだけでなく、読む側の手間が減るかも見ます。
製品を見る前に、目的、項目数、読む人の3つを決めます。この3つが決まると、製品の比べ方も自然に決まります。
1つ目は、日報の目的です。社長が何を知りたいのかを、一言で書き出します。たとえば「今日の現場の進み具合と、困りごと」です。
2つ目は、項目を何個に絞るかです。目的に関係ない項目は、思い切って外します。
たとえば、目的が「進み具合と困りごと」なら、次の3項目で足ります(写真は任意で付けます)。これは一つの例です。自社の目的に合わせて言葉を変えてください。
日報の見本(3項目+任意の写真)
3つ目は、誰が読んで、誰が返事をするかです。読む人が決まっていないと、日報は届いても流れてしまいます。
比較サイトのITトレンドでは、日報アプリを4つのタイプに分けて紹介しています。「データベース型」「コミュニケーション重視型」「システム連携型」「作業日報特化型」です。[出典:ITトレンド(it-trend.jp)]
タイプを選ぶ前に、決めた3つに合うかを見ます。次の表で比べてみてください。
| 見る軸 | 確かめること | 試し方 |
|---|---|---|
| 現場で入力できるか | スマホで、外でも書けるか | 現場の人に実際に触ってもらう |
| 項目を絞れるか | 必須項目を最小にできるか | 決めた項目数だけで画面を作ってみる |
| 続けられるか | 一番ITが苦手な人が使えるか | 数日間、毎日入力してもらう |
| 読む側の手間が減るか | 一覧で見られ、返事を返しやすいか | 社長自身が1週間読んでみる |
建設や飲食など、外や店で働く人が多い会社では、現場向けの機能も見ます。次のチェックリストで、試すときに確かめてください。
この記事では、特定の製品をおすすめしません。候補を並べるときは、製品名より次の点で比べてください。
| 比べる点 | 確かめること | 聞き方・調べ方 |
|---|---|---|
| 費用のかかり方 | 月額か、人数で増えるか、構築費が別か | 自社の人数で見積もりを出してもらう |
| 無料で試せるか | 無料プランや無料トライアルがあるか | 公式の案内で、期間と条件を見る |
| 項目を直せるか | ひな形を、自社の項目に変えられるか | 見本の3項目だけで画面を作ってみる |
| 現場向けの機能 | 写真、電波のない所での入力、音声 | 上のチェックリストを現場で試す |
| ほかの道具とのつながり | 表計算や連絡の道具に送れるか | 今使っている道具の名前を伝えて聞く |
| 困ったときの窓口 | 使い方を聞ける先があるか | 問い合わせの方法を確かめる |
表は印刷して、候補ごとに○と×を付けると比べやすくなります。料金や無料の条件は、変わることがあります。申し込む前に公式の案内で確かめます。
専用アプリは、日報のひな形など、日報向けの機能がそろう製品が多くあります。そのため、始めやすい場合があります。
注意
汎用ツールには、kintone などがあります。自社向けに作り込めますが、月額に加えて、画面づくりなどの構築費がかかる場合があります。
無料の自作もあります。Googleフォーム、スプレッドシート、AppSheet で作れます。項目が少なく、読む人が決まっている会社なら、最初の一歩になります。
迷ったときは、次の表で自社に近い行を探してください。
| 種類 | 向く会社の目安 |
|---|---|
| 専用アプリ | 日報の項目が決まり、早く始めたい会社 |
| 汎用ツール | 画面を自社の仕事に合わせて作り込みたい会社 |
| 無料の自作 | 項目が少なく、読む人が決まっている会社 |
ポイント
続くかどうかは、一番ITが苦手な人にスマホで入力してもらうと分かります。現場の1〜2人に数日、本物の日報を書いてもらいます。
試すのは、一番ITが苦手な人と、現場で一番忙しい人の1〜2人です。社長が得意な人だけで試すと、現場の困りごとが見えません。
期間は数日です。毎日、実際の日報を入力してもらいます。
見る点は3つです。入力にかかった時間、困った点、続けられそうかという本人の感想です。
切り替えは、全員一斉にしません。1部署から、1か月間で始めます。
たとえば、現場チーム1つだけ新しいアプリに移します。ほかの部署は、これまでの紙やExcel、LINEのままにします。
1か月使って困りごとを直してから、次の部署へ広げます。
失敗の多くは、機能の多さで選ぶことと、全員一斉に始めることから起きます。対策は、項目を絞り、小さく始めることです。
注意
音声入力やAIの要約で、入力を軽くできる製品もあります。ただし、順番は先に項目を絞り、そのあとで使うことです。
たとえば、10個の項目を音声で読み上げても、書く人は疲れます。3個に絞れば、音声がなくても楽に書けます。
機能が多いアプリは、画面が複雑になりがちです。使わない機能が並ぶと、現場は迷います。
対策は、決めた目的と項目数に合うものだけを見ることです。足りない機能は、あとから足せるかを確認します。
セキュリティの確認
あわせて、セキュリティも確認します。見る点は、アクセス権限の設定、通信の暗号化、二段階認証、操作の記録(操作ログ)です。
全員一斉に始めると、問い合わせが一度に集まります。慣れていない人は、使うのをやめてしまいます。
対策は、1部署・1か月から始めることです。
もう一つの失敗は、必須項目を増やしすぎることと、社長が読まないことです。項目は最小にして、届いた日報には短くても返事をします。
Q1. 従業員10〜50名の会社に、高い多機能な日報アプリは必要ですか?
必要とは限りません。現場で入力できて、項目を絞れて、続けられるものが合います。まず日報の目的と項目数を決めてから選びます。
Q2. パソコンが苦手な社員でも、スマホで入力して続けられますか?
無料トライアルや無料プランがあれば、それで確かめます。一番ITが苦手な人に数日、実際の日報を入力してもらいます。項目を絞ると、続けやすくなります。
Q3. Googleフォームなど無料のもので十分ですか?
項目が少なく、読む人が決まっている会社なら、十分な場合があります。集計や返事が大変になってきたら、専用アプリや汎用ツールを考えます。
Q4. 今の紙・Excel・LINEからの切り替えは手間がかかりますか?
全員一斉にしなければ、負担は小さくなります。1部署から、1か月で始めて、困りごとを直してから広げます。(紙・Excel・LINEからの切り替え方(1部署・1か月から))