議事録は「作る」から「確認」へ。削減時間を試算する

AIで議事録を「書く」手間は減らせますが、「確かめる」作業は人に残ります。自社の会議回数と作成時間から削減時間を試算する方法と、ツールを比べる観点、スマホ1台で始める流れを解説します。

この記事でわかること

  1. 自動でできるのは、録音、文字起こし(声を文字にすること)、要約までです。
  2. 最後の確認は人が行います。仕事が「作る」から「確認する」に変わります。
  3. スマホ1台、1つの会議から始められます。

議事録は「作る作業」から「確認する作業」に変わります

ポイント

結論として、AIで議事録を「書く」手間は減らせます。ただし内容を「確かめる」作業は人に残ります。

「AIを使う中小企業は約2割」という現状

AIをまだ使っていなくても、自社だけが遅れているわけではありません。AIを導入している中小企業は20.4%です。約5社に1社にあたります。

この数字は、一部の業務での導入と、全社的な導入の合計です。中小企業1,647社への調査(2025年11〜12月)です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

ITを入れた会社でも、手作業が残ることは珍しくありません。ITを導入済みの会社のうち、業務の8割以上が手作業の会社は20.2%です。

IT導入済みの中小企業922社への調査(2025年11〜12月)です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

この数字は議事録だけの数字ではありません。ただ、ITを入れても手作業が多く残る会社があることは分かります。

議事録に時間を取られているのは、自社だけではありません。議事録作成にかける時間は、1週間で平均6.13時間でした。

文字起こしツールを販売するキヤノンマーケティングジャパン社の調査です。勤め先に議事録作成業務がある20〜59歳、1,000名への調査(2022年12月)です。全従業員の平均ではありません。

この時間を年間にすると319.6時間です。[出典:キヤノンマーケティングジャパン株式会社「ビジネスパーソンは平均約320時間/年も議事録作成に費やしている!議事録の作成業務における現場の負担とDXの浸透を調査」(2023)]

小さい会社ほど、省力化を対策に挙げた回答数が少ない

自社の規模が小さくても、手間を減らす取り組みは小さく始められます。人手不足への対策として、「デジタル活用などによる省力化(手間を減らすこと)」を挙げた企業は40.2%です。

ただし、企業規模が小さいほど、この回答を選んだ会社は少なくなります。2,654社への調査(2026年7〜8月)です。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]

議事録は、スマホ1台から小さく始められる、手間減らしの入口です。

時間のほかに変わること

議事録をAIに任せると、書く時間のほかにも変わることがあります。

  • 話し合いに集中できる:会議中にメモを取らずに、発言や判断に集中できます。
  • 書く人による差が減る:同じ型で出させれば、誰が担当でも項目がそろいます。
  • 後から探しやすい:文字で残しておけば、言葉で検索して前の会議を探しやすくなります。
  • 聞き漏らしを確かめられる:議事録を作るまでは、録音を聞き直せます。

どれも、お金に直しにくい効果です。次の章の試算と合わせて、判断の材料にしてください。

自社の会議で、何時間減らせるのか?

結論として、削減できる時間は、自社の数字で試算できます。「今かかっている時間」と「AIを使った後も確認に残る時間」を分けて考えます。

試算に使う4つの数字

数字は、次のように出します。

  1. 週の会議回数:直近2週間の会議を数えて、1週間分に直します。
  2. 1回あたりの作成時間:議事録を作る担当者に、実際にかかった時間を聞きます。
  3. AIを使った後の確認時間:自社の会議で1〜2回試して、確認にかかった時間を計ります。
  4. 担当者の時給:月の給与を、月の労働時間で割ります。

計算は2段です。

  • 週に減らせる時間(分)= 週の会議回数 ×(1回あたりの作成時間 − AIを使った後の確認時間)
  • 人件費に換算した目安(円/週)= 週に減らせる時間(分)÷ 60 × 担当者の時給

作成時間と確認時間は「分」で書くので、人件費に換算するときは60で割って「時間」に直します。これは時間をお金に置き換えた目安で、給与の支払いがそのまま減るわけではありません。

最初は、2つ目の「作成時間」を聞くだけで十分です。週の会議回数を掛ければ、今かかっている時間が見えてきます。

手元のメモに、次の4つを書き出してください。

書き出す4つの数字

  • 週の会議回数:__回
  • 1回あたりの作成時間:__分
  • 担当者の時給:__円
  • AIを使った後の確認時間:__分(試してから書く)

「減る時間」と「残る確認時間」を分けて考える

AIを使うと、書く時間は減ります。その代わり、確認の時間が残ります。

確認にかかる時間は、会社や会議で違います。自社の会議で1〜2回試して、実際に計ってください。メモの最後の欄には、その時間を書きます。

効果の参考になる調査もあります。会議の内容をAIでまとめるツールを提供する、tldx Solutions社の調査です。作成時間が導入前の半分以下になった人は80%でした。

対象は、AI議事録ツールを今使っていて、導入前は手作業で作っていた100名です。調査期間は2026年9月3日〜17日です。

これはツールの会社による調査で、対象は利用者だけです。導入をやめた人は含まれません。効果が出た人の声として読み、自社でも試して確かめてください。[出典:tldx Solutions GmbH「AI議事録ツールで95%が時短に成功、80%は作成時間が導入前の50%以下に【AI議事録ツール利用者100名調査】」(2026)]

ツールを選ぶときに比べる観点

試算ができたら、ツールを比べます。製品の名前より先に、次の観点で比べると迷いにくくなります。

比べる観点確かめること
日本語の聞き取り自社の会議を1回録り、社内用語や人名が正しく文字になるか
話す人の区別(話者識別)誰が話したかを、分けて書けるか
対面の会議の録音会議室で、スマホなどから録音できるか
今の会議アプリとの連携オンライン会議で、録音と文字起こしができるか
要約とToDoの書き出し決定事項・担当・期限を、分けて出せるか
料金のしくみ主に、使う人数ごと、使った時間ごと、使った量ごとなど、どの形で払うか
無料で使える範囲使える時間、保存できる量、使える機能の制限
データの扱い保存場所、AIの学習に使われるか、自社で消せるか

料金のしくみは、使い方で向き不向きが変わります。たとえば人数ごとの料金は、使う人が増えると上がります。時間や量ごとの料金は、会議が増えると上がります。

使う人数と月の会議時間を書き出してから、見積もりを比べてください。比べた月額は、試算した人件費の目安と同じ1か月で並べます。

前に紹介したtldx Solutions社の調査もあります。選ぶときに「文字起こしの精度」を重視した人は85%でした。対象は、前と同じ利用者100名です。[出典:tldx Solutions GmbH「AI議事録ツールで95%が時短に成功、80%は作成時間が導入前の50%以下に【AI議事録ツール利用者100名調査】」(2026)]

まずは日本語の聞き取りを、自社の会議で試して確かめてください。

スマホ1台から始める:録音から共有までの4ステップ

結論として、最小の流れは4つのステップです。「録音→文字起こし→AIで要約→人が確認して共有」です。特定のツールを選ぶ前に、この流れを覚えてください。

最小の4ステップ

  1. 録音:スマホの録音アプリで会議を録音します。
  2. 文字起こし:録音ファイルの取り込みに対応した、話した声を文字にするツールを選びます。対応する音声の形式と、スマホから操作できるかを先に確かめてください。ツールの画面にある「アップロード」などのボタンから、録音ファイルを選びます。
  3. AIで要約・整形:文字を、短い議事録の形にまとめさせます。
  4. 人が確認して共有:人が内容を確かめ、決めた場所に置きます。

ツールには、大きく3つの型があります。違いは、録音や文字起こしを、どこでするかです。

ツールの3つの型

  • スマホアプリ型:アプリの中で録音して、そのまま文字にします。1人で始めやすい型です。
  • 会議アプリ機能型:オンライン会議のアプリに付いた機能です。会議の中で、録音と文字起こしを行います。
  • 文字起こし後にAIで整える型:先に文字にします。その文字を、文章を作るAI(生成AI)に渡して、まとめさせます。

選ぶときは、会議の形で決めると迷いません。会議室や現場での対面の会議が多いなら、スマホアプリ型から試します。オンライン会議が中心なら、まず今使っている会議アプリに、録音と文字起こしの機能があるかを確かめます。どの型でも、流れは同じです。まず1つの会議で試して、使いやすさを確かめてください。

今の会議アプリで使えるかは、次の順で確かめます。

  1. 請求書や管理画面で、契約しているプランの名前を見る
  2. 会議アプリの公式ページで、そのプランに文字起こしや要約の機能があるかを見る
  3. 日本語に対応しているか、管理者が設定でオンにする必要があるかを見る

分からないときは、契約している会社の窓口に聞いてください。追加料金がかかるかも、あわせて確かめます。

生成AIを使っている場合は、文字起こし後にAIで整える型から試せます。毎回の会議で使うようになったら、録音から要約までを1つで行う型も比べます。

始め方の手順と社内ルールは、こちらで説明しています:議事録AIの使い方|スマホ1台で試す5ステップと社内ルール

誰が録音ボタンを押すか、録り忘れたらどうするか

録音係は、あらかじめ1人に決めます。会議の司会役が兼ねると、忘れにくくなります。

録り忘れたときは、会議の直後に記憶を頼りにメモを残します。そのメモをAIに整えさせれば、最低限の記録は残せます。最初の数回は、紙のメモも併用すると安心です。

確認は「決定事項・担当・期限」の3点から見る

確認は、まず次の3点を重点的に見ます。

  • 決定事項:何が決まったか。
  • 担当:誰がやるか。
  • 期限:いつまでにやるか。

注意

この3点が合っていれば、社内の連絡用としては使える形になります。取引先との約束、金額、数字が出た会議は、該当する発言を録音と照らし合わせて確認してください。たとえば「見積書を作る」と書いてあれば、担当者名と日付があるかを見ます。

確認を短くするには、AIに最初から決まった型で出させます。AIへの頼み方の例です。

  • 「この文字起こしから、議事録を作ってください。」
  • 「項目は、日時、参加者、議題、決定事項、ToDo、決まっていないことです。」
  • 「ToDoには、担当と期限を付けてください。」
  • 「分からない所は『不明』と書いてください。」

「不明」の所から先に録音で確かめると、確認の順番が決まります。ほかの所も、3点を中心に目を通してください。

言い方は、使うAIに合わせて変えてかまいません。

議事録の型を日報・申し送り・顧客対応メモに広げる

録音して、文字にして、要約する流れは、他の記録にも使えます。日報、現場の申し送り(次の担当者への引き継ぎ連絡)、顧客対応メモなどです。

議事録で慣れたら、次は短い申し送りから試してください。型が同じなので、覚え直す手間がかかりません。

自社の業務でAIを使うと何時間減るかは、無料の診断でも目安を確かめられます。業種・人数・業務の量を答えると、減らせる時間の目安が出ます。

会議室や現場の雑音でも、ちゃんと文字になるのか?

結論として、聞き取りやすさは録音の環境で変わります。最初の1回で、自社の会議室や現場で試して確かめてください。

録音環境のチェックリスト

試す前に、次の点を確認します。

  • スマホを、参加者の真ん中に置いている
  • 机を叩く音や紙の音が少ない場所にしている
  • 発言は、1人ずつ順番に話すようにしている
  • 社内用語や人名を、事前に一覧にしてある(登録できるツールなら登録する)
  • 議題を、会議の前に参加者へ共有している

方言や社内用語が多い会議は、文字がずれることがあります。1回目は、録音と文字を見比べてください。どの言葉でずれたかが分かれば、次回から用語の一覧で補えます。

機械の音が大きい工場や現場は、会議室より聞き取りにくくなります。次の工夫を試してください。

  • 機械を止められる時間に、話し合う
  • 静かな事務所や休憩所に移って、短く話す
  • スマホを、話す人の口元の近くに置く
  • 録音を再生して、声が聞き取れるか確かめる

どこまで文字になるかは、自社の現場で試さないと分かりません。まず短い打ち合わせ1回で、確かめてください。

録音を伝える一言例と、録音に向かない会議の線引き

録音は、必ず参加者に伝えてから始めます。伝え方の例です。

「議事録づくりのために録音します。議事録を作ったら、録音は消します。」

使うツールで録音を消せることを確かめてから、こう伝えてください。消せないツールなら、「保存期間は〇か月です」のように、実際の扱いを伝えます。

この一言に、目的と扱いを入れておくと、安心してもらえます。取引先がいる会議では、事前に了承をもらってください。

注意

録音に向かない会議も、社内で決めておきます。たとえば、人事面談や、本人の同意が得にくい場面です。迷ったときは録音しない、というルールにすると安全です。

データの保存場所と学習利用の確認ポイント

録音データの扱いは、ツールごとに違います。契約前に、次の3点を確認してください。

契約前の確認3点

  • データの保存場所と、保存期間
  • 入力した会議の内容が、AIを賢くする材料(学習)に使われるか
  • 不要になったデータを、自社で消せるか

2つ目は、自社の会議の内容が、サービスの改良に使われるかという意味です。使われるかどうかは、規約や設定で決まります。取引先の話や社内の秘密が多い会議では、特に確認してください。

答えはサービスごとに違うため、必ずそれぞれの規約や窓口で確かめてください。

よくある失敗と、防ぎ方

結論として、失敗の多くは、仕組みを作らずに始めることで起きます。3つの失敗は、決めごとを足すことで防ぎやすくなります。

文字起こしだけで終わる

原因:文字にしただけで、要点がまとまっていません。長い文章は読まれません。

対策:AIで要約し、「決定事項・担当・期限」の3点に絞ります。(確認は「決定事項・担当・期限」の3点から見る)

誰も読まない

原因:議事録の置き場所が、いくつもあります。

対策:共有先を1か所に決めます。たとえば、社内の全員が開ける書類置き場(共有フォルダ)を1つにします。

ToDoが動かない

原因:議事録を作って満足し、やることリスト(ToDo)の確認がありません。

対策:次回の会議の最初に、前回のToDoを確認します。担当と期限が書いてあれば、確認は短く済みます。

よくある質問

Q1. 本当に確認作業はなくなりませんか?

なくなりません。AIは聞き間違いや、言っていないことを書くことがあります。確認は「決定事項・担当・期限」の3点から始めて、金額や約束など大事な発言は録音と照らし合わせます。会議の重要度に応じて、確認の範囲を決めてください。

Q2. 月いくら払う価値がありますか?

料金はツールごとに違うため、金額は言い切れません。選ぶ前に、月額、無料で使える範囲、追加料金の有無を確認してください。次に、「月の会議回数 ×(作成時間〔分〕− 確認時間〔分〕)÷ 60 × 時給」で、月の人件費に換算した目安を出します。(試算に使う4つの数字)作成時間と確認時間は分で入れます。月額の料金と、同じ1か月で比べて判断します。

Q3. 録音データは外部に漏れませんか?

扱いはサービスごとに違います。保存場所、保存期間、AIの学習に使われるか、削除できるかを確認してください。(データの保存場所と学習利用の確認ポイント)取引先の話を録音するときは、特に注意が必要です。

Q4. 録音の了承はどう取ればいいですか?

会議の最初に、目的と扱いを短く伝えます。使うツールで録音を消せることを確かめたうえで、たとえば「議事録のために録音し、作成後は消します」と言います。消せない場合は、保存期間など実際の扱いを伝えます。取引先の場合は、事前に連絡して了承をもらってください。

Q5. 無料のものから始めてよいですか?

始めて構いません。1つの会議で試すには十分な場合があります。ただし、無料で使える範囲(無料プラン)には、利用できる時間や保存できる容量に制限があることが多いため、事前に確認してください。

毎週の会議で使うようになったら、有料の範囲も比べます。比べる観点は、試算の章の表にまとめています。

関連記事:AI議事録は無料でどこまで?3つの選択肢と試す順番

議事録の次に、どの業務へ広げるかを決めたいときは、カクヤクAIXに相談できます。導入の進め方を、自社の業務に合わせて一緒に整理します。

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