この記事でわかること
- 問い合わせ対応のAIは「下書きはAI、確認と送信は人」から始める。
- 最初に試す1場面は、反響や問い合わせへの返信文の下書きに絞る。
- 確認する人と項目を決め、社内で回せるかを目安で見て、難しければ伴走を頼む。
不動産会社の問い合わせ対応は、AIに返信の下書きだけ任せ、確認と送信は人が行う形から始めます。確認項目と、自社で進めるか伴走を頼むかの目安を説明します。

この記事でわかること
結論は、AIには返信文の作成や情報整理などの周辺の仕事を任せ、重要事項説明・契約・内覧・価格の決定は人が残すことです。空室や金額をAIに言い切らせないことが、お客様に間違ったことを伝えない最初の守りになります。
AIには返信文の作成などの周辺の仕事を任せ、重要事項説明・契約・内覧・価格の決定は人が残します。
不動産会社でAIが使える仕事は、いくつかに分かれます。上位の解説記事では、次の仕事がよく挙がっています。
実際の活用も、文章を作る仕事から進んでいます。いえらぶGROUPの調査で、AIを使う不動産会社の活用業務は「物件紹介文の作成」が56.7%でした。
この数字の対象は、業務でAIを活用していると答えた60件の回答です。[出典:株式会社いえらぶGROUP「エンドユーザーの部屋探し、情報収集は不動産ポータルサイトが60.5%で最多、AI利用は今後増加の兆し|いえらぶ調べ」(2026)]
AIに任せない仕事もはっきりしています。AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)は、重要事項説明について「説明と記名の責任は人間にあります」と書いています。
契約条件や金額の確約を、AIにさせないことも大切です。
株式会社WEELの解説でも、AIは営業や契約を代わりに行うものではないとされています。対面の営業、内覧、契約の締結などは人が担います。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)][出典:株式会社WEEL「不動産業界の課題を解決する生成AI!できること・活用事例5選・導入の流れを徹底解説」(2025)]
問い合わせ対応を減らす考え方の全体像は、問い合わせ対応をAIで減らす|まず1週間のメモからも参考になります。
結論は、周りの会社も使い始めている一方で、導入のいちばんの壁はコストだということです。公的統計は中小企業全体、民間調査は不動産会社の一部が対象なので、分けて読む必要があります。
左は中小企業全体の公的統計、右は不動産会社の一部への民間調査で、対象が違うため分けて読みます。(数字の出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)、中小企業庁(2026)、株式会社いえらぶGROUP(2026)、株式会社WEEL(2025))
中小企業基盤整備機構の調査では、AIを導入している中小企業は20.4%でした。「一部の業務で導入」と「全社的に導入」の合計です。
対象は、回答のあった中小企業1,647社です。調査は2025年11月から12月に行われました。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)全体版」(2026)]
中小企業白書では、2019年以降の省力化投資でAI活用に「取り組んだ」企業が30.3%でした。対象は5,645社です。
AIに取り組んだ企業(1,685社)に目的を聞くと、「業務時間の節減」が84.5%でした。複数回答の設問です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]
導入の壁を聞いた設問では、「導入にあたっての高コスト」が46.9%で最も高くなりました。複数回答で、この設問の回答は1,636社です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)全体版」(2026)]
不動産会社の数字は、民間の調査から分かります。いえらぶGROUPの調査では、業務でAIを「積極的に活用」している会社は32.6%でした。「時々活用」は30.5%です。
ただし、この調査に答えた不動産会社は95件です。対象は、同社の「いえらぶCLOUD」を使う会社の従業員などです。不動産会社全体の数字ではありません。[出典:株式会社いえらぶGROUP「エンドユーザーの部屋探し、情報収集は不動産ポータルサイトが60.5%で最多、AI利用は今後増加の兆し|いえらぶ調べ」(2026)]
大手の事例もあります。株式会社WEELの記事は、東急リバブルのSNS投稿生成システムで、1件30〜45分の作業が5分程度になったと紹介しています。
これは大手企業の事例で、会社の規模が違います。WEELの記事が各社の発表を紹介したもので、一次資料は確かめられていません。[出典:株式会社WEEL「不動産業界の課題を解決する生成AI!できること・活用事例5選・導入の流れを徹底解説」(2025)]
結論は、最初の1場面を「返信の下書き」にして、AIが書いて人が確認して送る形から始めることです。確認の手間が減る順ではなく、間違えたときの影響が小さい順で選びます。
自動返信より、AIが下書きして人が確認する下書き支援から始め、ツールは観点で比べ、場面は3つの質問で決めます。
自動返信は、ボットがお客様にそのまま答える形です。下書き支援は、AIが書いた文を人が確認して送る形です。
AI PICKSは、反響対応は深夜や休日にも発生すると書いています。ボットは内見可能日や物件の詳細を一次対応し、担当者の翌朝の対応につなげる使い方があるとしています。
同じ記事は、契約条件や金額の確約をボットにさせず、契約に関わる話は人へ引き継ぐ設計が安全だとも述べています。
最初は、間違いがお客様に直接届かない下書き支援が安全です。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)]
ツールは大きく3種類あります。製品名で選ぶより、観点で見比べるほうが自社に合うかを判断しやすくなります。
| 観点 | 汎用の生成AI | 不動産特化のサービス | 自社用の開発 |
|---|---|---|---|
| 普段使うソフトに合うか | 普段使うソフトに合わせて選ぶ | 普段使うソフトに合わせて選ぶ | 業務の流れに合わせて作る |
| 費用の出方 | 月数千円から | 要見積 | 要見積(開発の内容による) |
どの種類でも、顧客情報を学習に使わないかを契約前に規約で確認します。料金の目安はAI PICKSの記事によります。デジライズは、顧客情報を扱うなら入力を学習に使わない法人向けの商用プランを前提にし、規約は契約前に確認するよう勧めています。
発注ラウンジは、AIの導入・運用には初期費用がかかり、効果が出るまで時間がかかるとしています。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)][出典:デジライズ「チャエンのAI研究所」不動産業×生成AIの導入ガイド(2026)][出典:発注ナビ株式会社 発注ラウンジ「不動産業界にAIを導入するメリットは?活用方法を紹介」(2026)]
どの場面から始めるかは、3つの質問で決められます。次のチェックリストで、候補の場面に当てはまる数を確かめてください。
3つとも当てはまりやすいのが、追客メールや反響への返信文です。AI PICKSも、追客メールの文面作成はAIの得意分野としています。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)]
接客全般で最初に試す場面の選び方は、接客AIはどこまで任せる?最初に試す1場面の選び方で説明しています。
結論は、下書きを送る前に「誰が、いつ、何を見るか」を先に決めておくことです。個人情報は、入れてよい範囲を社内で決めてから使います。
送る前に誰が何を見るかを決め、個人情報の範囲を社内で決め、やりがちな失敗には対策を添えます。
確認する人は、できれば送る人とは別に決めます。小さな会社では、担当者が書いた下書きを店長が見る、のように見る人を決めておきます。
次のチェックリストで、送る前に毎回確かめてください。
AI PICKSは、生成した広告文について宅建業法と景品表示法のチェックを人が行うとしています。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)]
株式会社WEELは、ツールによっては入力した情報が学習に使われ、個人や企業の情報を誤って入力すると漏洩につながりうると書いています。
そのため、入れてよい情報の範囲を社内で決めます。決めた内容は、社内のガイドラインにして共有します。デジライズも、利用ガイドラインの整備を進め方の最後の段階に挙げています。
ツールを選ぶときは、法人向けのプランかどうかと規約を契約の前に確認します。
注意
お客様の氏名や連絡先を入れるかどうかは、使い始める前に決めておきます。決まっていないまま使い始めないでください。[出典:株式会社WEEL「【生成AI×不動産】生成AI時代の不動産業界のリスク・注意点」(2026)][出典:デジライズ「チャエンのAI研究所」不動産業×生成AIの導入ガイド(2026)]
デジライズは、導入の落とし穴として3つを挙げています。それぞれの対策を並べます。
| 失敗 | 対策 |
|---|---|
| いきなり全社で導入する | 数名が返信の下書きなど「書く仕事」で試す |
| ルールなしで使う | 入力してよい情報と確認の担当を先に決める |
| 検証だけで終わる | 結果を記録して、続けるかを判断する |
[出典:デジライズ「チャエンのAI研究所」不動産業×生成AIの導入ガイド(2026)]
結論は、確認の担当・記録・ルールづくりを社内で回せるなら自社で、難しければ伴走を頼むという分け方です。まず小さく試して、続けるかを判断します。
確認の担当・記録・ルールづくりを社内で回せるなら自社で、難しければ伴走を頼み、まず小さく試して続けるかを判断します。(数字の出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)(2026)、独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026))
次の表で、自社の状況を見てください。
| 判断項目 | 自社で進めやすい | 伴走を頼むとよい |
|---|---|---|
| 確認の担当 | 送る前に見る人を決められる | 見る人を決められない |
| 記録 | 返信の時間などを記録できる | 記録をつける余裕がない |
| ルールづくり | 個人情報のルールを作れる人がいる | ルールを作れる人がいない |
発注ラウンジは、導入のポイントとして目的を明確にすることと、専門家のサポートを受けることを挙げています。[出典:発注ナビ株式会社 発注ラウンジ「不動産業界にAIを導入するメリットは?活用方法を紹介」(2026)]
効果は、試す前と後を同じ項目で記録すると見えます。次の2つから始めます。
進め方は、目的を決めて、業務を洗い出し、小さく試し、検証して広げる流れです。株式会社WEELも、目標を決め、業務を洗い出し、生成AIを選んでから試験導入し、本導入へ進む流れを説明しています。[出典:株式会社WEEL「不動産業界の課題を解決する生成AI!できること・活用事例5選・導入の流れを徹底解説」(2025)]
自社で進めるか伴走を頼むかの考え方は、生成AI導入は自社か伴走か|社長が決める5つと頼み方も参考になります。
費用は、まず出典のある範囲で見ます。汎用の生成AIは、AI PICKSの記事で月数千円からとされています。不動産特化のサービスは要見積です。
導入の壁では、高コストが46.9%でした。中小企業の回答1,636社の複数回答です。
発注ラウンジは、デメリットとして初期費用、専門知識、効果が出るまでの時間を挙げています。個別の金額は条件で変わるため、まず小さく試して確かめます。[出典:AI PICKS編集部(株式会社エーアイピックス)「不動産仲介の現場でAIは何ができる?2026年版 実務の使い道」(2026)][出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)全体版」(2026)][出典:発注ナビ株式会社 発注ラウンジ「不動産業界にAIを導入するメリットは?活用方法を紹介」(2026)]
伴走を考える場合は、サービスページで進め方を見られます。
使えます。ただし、任せるのは返信文の作成などの周辺の仕事までです。人が残す仕事は人が必ず残す業務で確認してください。
下書き支援です。間違いが直接お客様に届きにくいためです。違いは自動返信と下書き支援の違いで説明しています。
入れてよい範囲を社内で決めてから使います。法人向けプランかどうかと規約も、契約前に確認します。詳しくは個人情報を入力するときのルールをご覧ください。
そのまま送らず、人が確認してから送ります。空き状況、金額、条件の言い切りを見ます。項目は確認する人と項目を決めるにまとめました。
個別の金額は、ここでは示せません。まず自社で回せるかを自社だけで進められるかの目安で確かめてください。
最初の1場面の選び方や確認の決め方を一緒に整理したい場合は、サービスページをご覧ください。