AI導入の補助金|国の入口2つと申請前に決める3つ

AI導入で最初に見る国の制度は、デジタル化・AI導入補助金と業務改善助成金の2つです。申請しても受け取れるとは限らないため、確かめる順番と申請前に決める3つを整理します。

この記事でわかること

  • AI導入の入口になる国の制度は2つです。ツール導入向けの「デジタル化・AI導入補助金」と、賃上げとセットの設備投資向けの「業務改善助成金」です。
  • どちらも審査や要件があり、申請すれば受け取れるとは限りません。最新の公募要領で確かめてください。
  • 申請の前に「何の業務を変えるか」「誰が担当するか」「導入後に何を確かめるか」を決めます。補助金が通らなくても成り立つ計画にしておくのが安全です。

AI導入に使える国の制度は何がある?まず見る入口は2つ

AI導入で最初に見る入口は2つです。ツールやシステムの導入ならデジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)、賃上げとセットの設備投資なら業務改善助成金です。どちらも要件を満たした会社が対象で、審査や確認があります。

まず、デジタル化・AI導入補助金の通常枠を見ます。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の事務局ページでは、自社の課題に合ったITツールを入れる費用の一部を補助する制度と説明されています。補助率は1/2以内です。最低賃金近傍の従業員が一定割合以上の場合は、2/3以内になります。

補助額は、1プロセス以上の導入で5万円以上150万円未満です。4プロセス以上の導入では150万円以上450万円以下です。通常枠のほかに、インボイス枠、セキュリティ対策推進枠、複数者連携デジタル化・AI導入枠があります。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)]

次に、業務改善助成金です。厚生労働省のページでは、機械設備の導入やコンサルティングなどの設備投資を行い、事業場内最低賃金を引き上げた場合に費用の一部を助成する制度と説明されています。令和8年度のリーフレットでは、事業場内最低賃金を50円以上引き上げることが要件で、引き上げる金額はコースごとに定められています。助成額は最大600万円です。

要件を満たして交付が決まった場合の助成額は、設備投資等の費用に助成率をかけた額と、助成上限額のいずれか安い方です。労働者がいない事業場は対象外です。[出典:厚生労働省(2026)]

2つの制度を並べると、次のとおりです。

項目デジタル化・AI導入補助金(通常枠)業務改善助成金
どんな費用が対象か自社の課題に合ったITツールの導入費用の一部設備投資等の費用の一部(賃上げが条件)
向く会社業務にITツールを入れたい会社賃上げと設備投資を同時に進める会社
確かめること補助率・補助額、最新の公募要領賃上げの要件、対象になる経費、交付決定の時期

注意

第7回公募以降の制度変更は、この記事では確認できていません。申請を考えるときは、最新の公募要領で内容と締切を確かめてください。業務改善助成金でAIツールが対象経費になるかは、窓口で確認してください。

研修(人材育成)には、別の助成金の入口があります。そのひとつの人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)は、令和8年度末(2027年3月31日)までの時限措置とされています。詳しくは別の記事で説明します。[出典:厚生労働省(2026)]補助金と助成金の違いも、別の記事で整理しています。ここに挙げた2つ以外にも制度はあるので、窓口で確かめてください。

補助金は申請すればもらえる?通らなくてもやる価値があるかで決める

補助金は、要件を満たして申請しても受け取れるとは限りません。だから「補助金ありきで導入を決めない」「なくても成り立つ計画にする」が結論です。

中小企業庁(ミラサポplus運営事務局)の説明では、補助金は事業計画書や決算書などが審査されて採択されます。採択のあとに交付申請と交付決定を経て、事業を始める流れです。[出典:中小企業庁(2026)]

中小機構のJ-Net21も、補助金は申請しても受給できない場合もあると説明しています。これは2014年時点の一般的な説明です。[出典:中小企業基盤整備機構 J-Net21(2014)]

補助金をあてにして先に導入を決めると、通らなかったときに計画が止まります。現場に説明した後で止まれば、社内の信頼も傷つきます。

補助金は「出たら助かるもの」にしておくのが安全です。

業務改善助成金も同じ考え方です。対象は、交付決定後にこれから実施する賃上げと設備投資です。[出典:厚生労働省(2026)]

注意

ツールの契約や発注を交付決定の前にしてよいかは、この記事では確認できていません。始める前に、事務局に確認してください。支払いと受け取りの時期も、公募要領で確かめます。

自社が対象になり得るかを確かめる4ステップ

確かめる順番は、目的を決める、窓口で制度を探す、公募要領を読む、分からない点を聞く、の4つです。この順に進めれば、自社が対象になり得るかが分かります。

1 目的を決める 2 窓口で制度を探す 3 要件・締切を読む 4 不明点は聞く 公式サイトや事務局で、最新の内容を確かめる
目的を決めてから窓口で制度を探し、公募要領を読み、分からない点は聞く順に進めます。

AIで変えたい業務を一つ決める

最初に、AIで変えたい業務を一つ決めます。見積書づくり、問い合わせ対応、議事録の作成など、手間がかかっている仕事から選びます。

制度の名前から入ると、目的がぼやけます。業務が決まると、ツール導入向けか、賃上げと設備投資向けかも見えてきます。何を決めるかは申請の前に社長が決めておく3つで整理します。

公的な窓口で制度を探す

次に、公式の窓口で制度を探します。中小機構、厚生労働省、ミラサポplusなどの公式サイトを見ます。

自治体が独自に出している制度もあります。会社のある地域の窓口でも聞いてみてください。個別の制度は、この記事では紹介しません。

公募要領で要件と締切を読む

気になる制度が見つかったら、公式の公募要領を読みます。見るのは、対象となる会社と経費、締切、申請の手続きと必要な準備です。

公募要領は更新されることがあります。最新の版かどうかを確かめます。支払いと受け取りの時期も、ここで確認します。

分からない点は事務局や支援機関に聞く

読んでも分からない点は、制度の事務局や支援機関に聞きます。自社のAIツールが対象になるか、契約の時期はいつでよいか、といった点です。

聞く内容は、メモにまとめておくと伝わりやすくなります。自分で進めるか相談するかの考え方は、次の章以降で説明します。

申請の前に社長が決めておく3つ

申請の前に決めておくのは3つです。何の業務をAIで変えるか、誰が担当するか、導入後に何を確かめるか、です。この3つが決まっていれば、補助金の有無にかかわらず導入を進められます。

①何の業務を変えるか ②誰が担当するか ③導入後に何を確かめるか 3つを決める 補助金が通る 補助金が通らない それでもやる 補助金は「出たら助かるもの」にしておく
3つを先に決めておけば、補助金が通る場合も通らない場合も「それでもやるか」を落ち着いて判断できます。

準備するもの

  • 現状の業務の流れのメモ
  • 担当候補の名前
  • 導入後に確かめたいことのメモ

次のチェックリストで、申請前に決まっているかを確かめてください。

  • AIで変える業務を一つに絞り、今の流れを書き出してある
  • その業務の担当者を一人決め、本人に伝えてある
  • 導入後に何を見て「効果があった」と言うかを決めてある
  • 今の作業に、どれだけ手間がかかっているかを把握してある
  • 補助金が通らなくても、この導入はやると決めてある

最後の項目に「はい」と言えない場合は、計画を見直す合図です。補助金が通れば助かる、という位置づけに戻します。

自分たちだけで進める?相談した方がよい?

制度を探して要件を読むところまでは、社長自身で進められます。申請書類や導入する業務の整理、現場に定着するまでの進め方で迷うなら、伴走支援への相談を考えてください。

相談を考える目安は、次の3つです。

  • 担当者が決められない
  • 業務の洗い出しができない
  • 導入後の確かめ方が分からない

ポイント

相談する場合も、補助金の採択を請け負う話には注意してください。審査の結果は、誰にも約束できません。

関連記事:DX推進とは?中小企業の社長が最初に決める3つ

よくある質問

Q1:うちの規模でもAI導入に使える補助金はありますか?

この記事では、入口になる制度として2つを取り上げています。要件を満たせば対象になり得ます。最新の公募要領で確かめてください。[出典:中小企業基盤整備機構(2026)、厚生労働省(2026)]

Q2:補助金は申請すれば受け取れますか?

いいえ。事業計画書などの審査があり、要件を満たして申請しても受け取れるとは限りません。[出典:中小企業庁(2026)]

Q3:生成AIやChatGPTの契約も対象になりますか?

この記事では確認できていません。対象になるかは、制度の事務局と公式の公募要領で確かめてください。

Q4:申請の前に何を決めておけばよいですか?

3つです。何の業務を変えるか、誰が担当するか、導入後に何を確かめるかです。詳しくは申請の前に社長が決めておく3つをご覧ください。

Q5:自治体の制度はありますか?

自治体が独自の制度を設けている場合があります。会社のある地域の窓口で確かめてください。

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