建設DXは何から?現場と事務所のやりとりで始める

建設DXは大きなシステムより、現場と事務所のやりとりの見直しから始められます。最初の1つの選び方と、外部の伴走支援を頼むときの観点を解説します。

この記事でわかること

  • 建設DXは大きなシステムを入れることではなく、現場と事務所のやりとりの見直しから始められます。
  • 最初の1つは、日報・報告・申し送りの中から選びます。
  • 社内に担当者がいなければ、外部の伴走支援の頼み方を知っておくと進めやすくなります。

建設DXとは?数十人の会社にも関係のある話か

建設DXとは、デジタルの道具で現場や事務の困りごとを減らし、仕事のやり方まで変えることです。数十人の会社にも関係のある話です。

ポイント

道具を入れるだけの「IT化」と、やり方まで変わる「DX」は別物です。違いは、仕事の流れまで変わるかどうかです。

DXは、大きな機械や専用システムだけの話ではありません。日報や連絡のやり方を変えることも入ります。

たとえば、現場で紙の日報を書き、夕方に事務所で打ち直している会社があります。これを現場のスマートフォンから直接入力する形に変えれば、事務所での打ち直しを減らせます。ここまで変われば、IT化にとどまらずDXの入口です。

期待できる良い点も、難しくはありません。情報が事務所に早く届きます。人の記憶に頼っていた記録が、形として残ります。

ICT施工(機械を情報で動かす工事)やドローン、BIM/CIM(図面を立体データで扱う仕組み)といった大きな技術は、この記事では扱いません。別の話として、ここでは現場と事務所のやりとりに絞ります。

数字で見る、建設業の人手不足と中小企業のDXの現状

建設業は人手不足と答える企業が多く、DXに取り組めていない小さな会社も多くあります。取り組まない理由は「メリットがわからない」が目立ち、迷っているのは自社だけではありません。

人手不足は建設業で77.4%

建設業で人手不足と答えた企業は77.4%です。日本商工会議所・東京商工会議所の調査によるものです。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]

調査全体の対象は各地商工会議所の会員企業2,654社で、77.4%はそのうち建設業の企業の数字です。調査期間は2026年7月21日〜8月21日です。

人手不足への対策では、「デジタル活用等による省力化」を挙げた企業が約4割でした。ただしこれは全業種の数字で、建設業だけではありません。企業規模が小さいほど回答数は減っています。[出典:日本商工会議所・東京商工会議所(2026)]

DXに取り組んでいない小さな会社の理由は「メリットがわからない」が最多

従業員100人以下の企業のうち、何らかの形でDXに取り組んでいる割合は41.6%です。IPA(情報処理推進機構)の調査で、全業種の数字です。[出典:独立行政法人情報処理推進機構(2026)]

調査全体の回答は国内企業1,799社で、41.6%はそのうち従業員100人以下の企業の数字です。調査期間は2026年4月17日〜6月12日です。

DXに取り組んでいない100人以下の企業が挙げた理由は、「自社がDXに取組むメリットがわからない」が54.0%で最も高くなっています。[出典:独立行政法人情報処理推進機構(2026)]

中小企業基盤整備機構の調査では、DXに取り組んでいる企業は39.1%です。「取組みを検討している」企業を含む数字です。前回調査は42.0%で、ほぼ横ばいでした。対象は全国の中小企業1,000社です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

注意

この章の数字のうち、建設業だけの数字は人手不足の77.4%だけです。DXやAIの取り組み状況の数字は、すべて全業種の調査です。

最初の1つは「現場と事務所のやりとり」から選ぶ

最初の入口は、日報・報告書、写真の共有、勤怠、安全書類、見積・請求の電子化など、いろいろあります。10〜50名の会社なら、毎日何度も起きる「現場と事務所のやりとり」に絞ると、ムダが見えて効果も確かめやすくなります。

やりとりを4つに分けて眺める

やりとりは、次の4つに分けると見えやすくなります。

  • 電話での確認:現場から事務所へ、事務所から現場へ、同じ内容を口頭で聞き直していないか
  • 写真の送り直し:写真が足りない、向きが違うなどで、もう一度送ってもらっていないか
  • 日報の転記:現場で書いた内容を、事務所で別の帳票やExcelに打ち直していないか
  • 翌日への申し送り:口頭やメモだけで、聞いた人しか知らない状態になっていないか

まず、社長が1日のうちにどこで手を止めているかを書き出してください。1週間ほど続けると、同じ場所で何度も止まっているのが分かります。

次のチェックリストで、自社のムダを確かめてください。

  • 同じ内容を、電話と書類の両方で伝えている
  • 現場の日報を、事務所で打ち直している
  • 写真を探す時間が、ほぼ毎日ある
  • 申し送りが、特定の人の頭の中にしかない
  • 確認の電話のために、現場や事務所の作業が止まる

選ぶ基準は「二重入力が起きている業務」

選ぶ基準は、紙やExcelへの二重入力が起きている業務です。同じ内容を2回書いている業務は、なくしたときの効果が分かりやすいからです。

業務を1つに決めたら、記録する指標も1〜2個だけにします。たとえば、処理にかかる時間や、差し戻しの件数です。始める前と後で比べれば、続ける価値があるかを社長が自分の目で判断できます。

生成AIで日報・報告の下書きや要約を作る

生成AI(文章を作ったり要約したりするAI)は、日報や報告の下書き、要約に使えます。現場の担当者が箇条書きでメモを入れ、AIが文章に整える使い方です。

使い方は下書きと要約に限ります。最後は必ず人が読んで確認します。

AIへの関心は中小企業でも高まっています。DXの具体的な取組み・検討内容として「AIの活用」を挙げた割合は28.4%です。中小企業基盤整備機構の調査で、全国の中小企業1,000社が対象の全業種の数字です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

AIを一部または全社で導入している中小企業は、20.4%です。同機構の別の調査で、集計対象は1,647社、全業種の数字です。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

日報や報告を生成AIで試す手順は、日報AIで減らせる手間は2つ|2週間で試す5ステップで詳しく説明しています。

つまずきやすい点と、現場に使ってもらう工夫

よくあるつまずきは「費用」「ツール選び」「社内に人がいない」「現場が使わない」「協力会社との足並み」の5つです。多くは、目的を伝え、現場の担当者を最初から巻き込むことで減らせます。

つまずきと対策の表

現場と事務所のやりとりの目線で、つまずきを整理しました。

つまずき起きる理由対策
費用初めは効果が見えにくく、大きな投資に感じる業務を1つに絞り、小さく試してから広げる
ツール選び種類が多く、自社の業務に合うか分からない先に「何に困っているか」を決めてから選ぶ
社内に人がいないIT担当がおらず、社長が一人で抱える外部の支援を使う。頼み方は外部の伴走支援を受けるときの考え方で説明
現場が使わない使う目的が伝わっておらず、今のやり方のほうが楽に感じる目的を伝え、現場の担当者を最初から入れる
協力会社との足並み会社ごとに、使える道具や社内の決まりが違う最初は自社内のやりとりに絞り、広げるのはあとにする

ポイント

試行には、現場の担当者を最初から入れてください。現場の声を聞かずに決めた道具は、使われずに終わりがちです。

ベテランに無理をさせない進め方

ベテランには、まず「何のために使うのか」を伝えます。現場の仕事を楽にするための道具だと分かれば、受け入れやすくなります。

最初から紙や口頭をやめる必要はありません。紙や口頭と併用する期間を決めておき、慣れてから切り替えます。操作が苦手な人には、入力の手間が少ない形を選びます。

外部の伴走支援を受けるときの考え方

社内にITに詳しい人がいなくても、DXは進められます。ただし、何を外部に任せ、何を社内に残すかを先に決めておきます。ここでは製品名は並べず、何を比べればよいかを示します。

外部に任せること、社内に残すこと

任せられるのは、やりとりの整理の手伝いと、試行の設計です。

社内に残すのは、どの業務を選ぶかと、続けるかどうかの判断です。ここは社長が決める部分です。外部の人は会社の事情を最後まで知り得ないので、決める役を渡さないでください。

頼む前に確認する観点

外部に頼む前に、次の観点を確かめます。

観点確認すること社長が決めること
現場の業務を理解しているか建設現場の日報や申し送りの流れを、説明なしで分かってくれるかどこまで現場の話を共有するか
試す業務を1つに絞ってくれるかあれもこれもと広げず、最初の1つに絞る提案があるか最初に試す業務はどれか
現場の担当者への教え方まで含むか道具の説明だけでなく、現場の人に合わせた教え方があるか現場から誰を試行に出すか
終わった後に社内で続けられるか支援が終わっても、社内だけで回せる形に整えてくれるか社内の誰が引き継ぐか
費用の範囲どこまでが費用に含まれ、どこからが別料金か使える予算の上限

メモ

「伴走支援」とは、道具を渡して終わりにせず、決めた業務が回るようになるまで一緒に進める支援のことです。

外部に頼む場合の違いは、AIコンサルと伴走支援の違い|選び方と契約前の質問も参考になります。DXの進め方全体は、DX推進とは?中小企業の社長が最初に決める3つで整理しています。

自社のやりとりのどこから手を付けるかを一緒に整理したい場合は、カクヤクAIXのサービスページをご覧ください。

よくある質問

Q. 建設DXとIT化は何が違いますか。

IT化は、道具を入れることです。DXは、道具を入れたうえで仕事のやり方まで変わることです。詳しくは建設DXとは?数十人の会社にも関係のある話かで説明しています。

Q. 従業員が数十人の会社でも意味はありますか。

意味はあります。IPA(情報処理推進機構)の調査では、従業員100人以下の企業でDXに取り組んでいるのは41.6%(全業種)で、迷っているのは自社だけではありません。[出典:独立行政法人情報処理推進機構(2026)]小さな会社の始め方は最初の1つは「現場と事務所のやりとり」から選ぶで説明しています。

Q. ベテランがスマホを使ってくれるか不安です。

使う目的を伝え、紙や口頭との併用期間を決めると、無理なく進められます。進め方はベテランに無理をさせない進め方をご覧ください。

Q. 生成AIを日報に使っても大丈夫ですか。

下書きや要約に使う分には使えます。ただし、最後は必ず人が読んで確認してください。使い方は生成AIで日報・報告の下書きや要約を作るで説明しています。

Q. 外部の支援を受けるとき、何から頼めばいいですか。

まず、やりとりの整理と、試す業務を1つに絞る手伝いを頼むのが進めやすい形です。どの業務を選ぶかは社長が決めます。観点は頼む前に確認する観点の表で確かめられます。

まとめ

  • 建設DXは、道具を入れるだけでなく、仕事のやり方まで変えること
  • 最初の1つは、二重入力が起きている現場と事務所のやりとりから選ぶ
  • 社内に人がいなければ、任せることと残すことを決めてから外部に頼む

自社のやりとりのどこから手を付けるか迷ったら、カクヤクAIXのサービスページで相談の入口をご確認ください。

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