総務のAI活用|転記・入力から試す5ステップ

総務のAIは、件数が多く様式が決まった転記・入力から試すのが近道です。任せる作業と人が確認する作業の分け方、最初の1作業の選び方、5つの手順を解説します。

この記事でわかること

  • 総務のAI活用は、件数が多く様式が決まった転記・入力の作業から始めるのが取り組みやすい。
  • 作業を「AIに任せる/AIが下書きして人が確認する/人が決める」の3つに分けると、任せる範囲が見える。
  • 個人情報は入れる前に決め、専用ツールは今ある生成AIで試してから検討する。

総務のAIは「転記・入力」から試すのが近道です

結論

専任の総務がいない会社は、紙やExcelの書き写しから試すのが近道です。AIは「書き写しの下ごしらえ」に使い、最終の判断は人が持ちます。

紙やExcelの書き写しから試すのが近道AI書き写しの下ごしらえ人最終の判断を持つ下書きさせると、つながることがある時間の節約書き間違いの減少担当者しか分からない状態の解消調査の数字20.2%IT導入済みの会社で業務の8割以上が手作業(922社)84.5%AIを使う目的に「業務時間の節減」(1,685事業者・複数回答)30.3%省力化投資でAI活用に取り組んだ(2019年以降・5,645事業者)

総務のAIは書き写しの下ごしらえから試し、最終の判断は人が持ちます。(数字の出典:中小企業基盤整備機構(2026)、中小企業庁(2026))

社長や経理が総務を兼ねる会社では、届出や台帳の書き写しが毎日の時間を取ります。ここをAIに下書きさせると、時間の節約、書き間違いの減少、担当者しか分からない状態の解消につながることがあります。

紙のデータ化の全体像は、AI-OCRとは|紙の文字をデータにする「OCR+AI」のことも参考になります。

ITを導入済みの中小企業で、業務の8割以上が手作業の会社は20.2%です。対象は922社、調査期間は2025年11月17日〜12月12日です。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

AIを使う目的で「業務時間の節減」を挙げた事業者は84.5%です。対象はAI活用に取り組んだ1,685事業者の複数回答です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]

一方で、2019年以降の省力化投資のうち、AI活用に取り組んだと答えた事業者は30.3%、約3割です。対象は5,645事業者です。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]

総務の作業は「任せる・確認して任せる・人が決める」に分けます

結論

作業ごとに3つに分けると、AIに渡す範囲が決まります。たとえば備品台帳への入力は、AIが下書きして人が確認する作業です。

作業ごとに3つに分ける任せる確認して任せる人が決めるこの記事の中心確認して任せる:AIが下書き→人が確認転記・入力の作業届出申請書台帳人が原本と照らす文章や問い合わせ社内文書問い合わせの回答人が最終の文面を決める人が決める作業契約書の法的判断社員の処遇AIは判断材料の整理だけ

転記・入力や文章・問い合わせの作業はAIが下書きして人が確認し、契約書の法的判断や社員の処遇は人が決めます。

AI総合研究所(LinkX Japan)の記事は、総務の業務を「定型」「半定型」「非定型」に分けています。この記事では、それを作業単位に落とし、「AIが下書きして人が確認する」を中心に整理します。[出典:AI総合研究所(LinkX Japan)「総務×AI活用ガイド|業務効率化の具体例と導入手順を解説」(2026)]

作業AIにやらせること人が必ず見ること区分
届出・申請書の転記紙の内容を様式の項目に書き出す原本と項目ごとに照らす確認して任せる
備品台帳・契約台帳の入力品名や日付を表の形に書き出す原本との照合、期限の日付確認して任せる
社内の問い合わせ対応規程から回答の下書きを作る規程と合っているか、例外の扱い確認して任せる
社内文書・マニュアルの作成文章の下書きを作る内容の正しさ、社内ルールとの整合確認して任せる
社内規程・ナレッジの整理要点の一覧や見出しを作る最新の規程か、抜けがないか確認して任せる
勤怠・経費・請求書の処理金額や日付の読み取りの下書き金額・日付の最終確認(量が多ければ専用ツールも検討)確認して任せる
契約書の内容判断条文の要点を整理する法的な判断のすべて人が決める
社員の処遇に関わる判断判断材料の整理だけ決定のすべて人が決める

注意

契約書の法的な判断と、社員の処遇に関わる判断は、必ず人が行います。AIの出力は、判断材料としてだけ使います。

転記・入力の作業(届出、申請書、台帳)

紙を見て表に書き写す作業は、様式が決まっていて、AIが得意な形です。この記事の主題で、手順はステップ1:入れる書類と項目を決めるから説明します。

文章や問い合わせの作業

社内文書や問い合わせへの回答は、AIが下書きし、人が内容を確認します。回答は社内の規程に合わせて、人が最終の文面を決めます。社内向けのFAQ型チャットボットなどの専用ツールは、ここでは製品を挙げません。

人が決める作業

契約書の法的判断や社員の処遇は、人が決めます。AIには、迷ったときの判断材料の整理だけを頼みます。

最初に試す1作業は、4つの基準で選びます

結論

件数・様式・やり直し・個人情報の4つの基準で、最初の1作業を選びます。備品台帳への入力は、4つがそろいやすく、始めやすい作業の一つです。

最初の1作業を選ぶ4つの基準件数毎月の件数が多い様式様式が決まっているやり直し間違えても直せる個人情報ほとんど入っていない4つすべてに当てはまる作業から始めるそろいやすい例:備品台帳への入力個人情報が多い作業は慣れたあとに回す

件数・様式・やり直し・個人情報の4つすべてに当てはまる作業から始め、個人情報が多い作業は慣れたあとに回します。

最初から全部をAIに任せる必要はありません。小さく始めて、うまくいったら広げます。

次のチェックリストで、自社の作業を確かめてください。

  • 毎月の件数が多く、書き写しに時間がかかっている
  • 書類の様式が決まっていて、毎回ほぼ同じ項目を書き写す
  • 書き間違えても、あとで見つけて直せる
  • 社員の住所・家族・口座などの個人情報が、ほとんど入っていない

4つすべてに当てはまる作業から始めます。個人情報が多い作業は、進め方に慣れたあとに回します。

転記作業は「AIが読む→人が原本と照らす→登録する」で回します

結論

AIは書き出しまで、原本との照らし合わせと登録は人が行います。ここでは備品台帳へ書き写す作業を例に、5つの手順で説明します。

1 人 書類を 用意する 2 人 個人情報を 伏せる 3 AI 表に 書き出す 4 人 原本と 照らす 5 人 台帳に 登録する AIの担当 人の担当

AIが担当するのは表への書き出しだけで、ほかの4つの手順は人が行います。

Excelへの転記を先に試したい場合は、Excel転記をAIに任せる範囲|最初の1つと5ステップもあわせてご覧ください。

入れる書類と項目を決める

最初に、AIに渡す書類を1種類だけ決めます。たとえば備品の納品書です。

台帳に書き写す項目も決めます。品名、購入日、金額、置き場所のように、表の列と同じ並びにします。

個人情報を伏せて渡す

書類に社員の氏名や住所、口座番号があれば、黒く塗るか、切り取ってから渡します。伏せる作業は人が行います。

備品の納品書のように個人情報が少ない書類なら、この手間は小さくなります。何を伏せるかは個人情報は入れる前に決めるで決めておきます。

AIに表の形で書き出させる

ステップ1で決めた項目を指定して、表の形で書き出すように頼みます。読み取れない文字は、推測せずに「不明」と書かせます。

書き出した表は、そのまま台帳に入れません。次のステップで原本と照らします。

原本と照らして直す

AIが書き出した表を、原本の書類と1行ずつ並べて照らします。照らす所は、金額、日付、品名、数量の4つです。

数字と日付は、間違えると影響が大きい所なので、特にていねいに照らします。合わない所は、原本に合わせて人が直します。

ポイント

AIの出力はそのまま登録せず、原本と照らしてから登録します。

台帳に登録して控えを残す

直した表を台帳に登録します。登録した日と担当者の名前も、台帳に書いておきます。

AIの書き出しと原本の写しも、控えとして残します。あとで間違いが見つかったときに、どこで違ったかをたどれます。

個人情報と費用の不安は、先に決めておけば小さくできます

結論

個人情報は入れる前に決め、費用はまず今ある生成AIで試します。紙の少ない会社は、専用ツールを急ぎません。

個人情報:入れる前に決める何を入れないか誰が使うか人が伏せてから渡す原本と照らして登録AIの利用条件を確かめる費用:まず今ある生成AIで今ある生成AIで試す足りない所が見える専用ツールを考える比べる観点:書類の量・正確さの確かめ方・費用紙の少ない会社は専用ツールを急がない

個人情報は何を入れないかと誰が使うかを先に決め、費用はまず今ある生成AIで試してから専用ツールを考えます。

AI導入の阻害要因で最も高かったのは「導入にあたっての高コスト」の46.9%です。対象はこの設問に答えた1,636社の複数回答で、調査期間は2025年11月17日〜12月12日です。費用の不安を持つ会社は少なくありません。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(令和8年3月)」(2026)]

個人情報は入れる前に決める

総務の書類には、社員の住所、家族、口座などの個人情報が多く入っています。AIに入れる前に「何を入れないか」と「誰が使うか」を決めておきます。

よくある失敗対策
住所や口座がそのまま入った書類を渡す入れる前に、伏せる項目を決めて人が伏せる
担当者ごとに使い方がばらばらになる使う人と使う書類を決めて、社内に知らせる
AIの出力をそのまま台帳に登録する原本と照らしてから登録する流れにする

確認すること

  • 社員の氏名・住所・口座番号は入れない
  • 入れてよい書類の種類を決めている
  • AIを使う担当者を決めている
  • 使っているAIの設定や利用条件を確かめている

専用ツールを考える目安

まずは今ある生成AIで試し、足りない所が見えてから専用ツールを考えます。比べる観点は、扱う書類の量、読み取りの正確さの確かめ方、費用の3つです。

最初の1業務の選び方を広く知りたい場合は、事務のAI活用は何から?最初の1業務を選ぶ5ステップが参考になります。

汎用の生成AI、問い合わせ用のFAQ型チャットボット、紙の文字を読み取ってデータにする仕組み(AI-OCR)は、得意な作業が違います。作業に合わないものを選ぶと、費用に見合う効果が出にくくなります。

株式会社一創は、記事の中で「月に処理する紙が50枚程度なら、AI-OCRは見送ってください」と述べています。これは同社の見解で、紙が少ない会社は専用ツールを急がない、という考え方の参考になります。[出典:株式会社一創「中小企業のAI-OCR導入判断|大企業との違いと月間枚数で決める始め方」(2026)]

よくある質問

結論

専任の総務がいなくても、1作業から試せます。原本と照らす確認だけは、人が必ず行います。

Q. 総務の専任がいなくても、AIは使えますか?

A. 使えます。社長や経理が兼ねていても、件数が多く様式が決まった作業を1つ選べば始められます。選び方は最初に試す1作業は、4つの基準で選びますで説明しました。

Q. 紙の書類をAIに読ませて、間違いなく写せますか?

A. 間違いが出ることを前提にします。AIの書き出しは、原本と1行ずつ照らして直します。照らす所はステップ4:原本と照らして直すのとおりです。

Q. 社員の個人情報が入った書類を、AIに入れて大丈夫ですか?

A. 入れる前に、氏名・住所・口座番号などを伏せます。何を入れないか、誰が使うかを先に決めておきます。決め方は個人情報は入れる前に決めるで説明しました。

Q. 新しいツールを買わないと始められませんか?

A. 買わなくても始められます。まず今ある生成AIで試します。専用ツールの目安は専用ツールを考える目安にまとめました。

Q. 総務の仕事はAIでなくなりますか?

A. 判断、最終確認、社員への対応は、人に残る仕事です。AIは書き写しや下書きを手伝います。決める仕事に時間を使いやすくなります。

Q. 最初に着手するのはどの作業がよいですか?

A. 件数が多く、様式が決まり、間違えても直せて、個人情報が少ない作業です。たとえば備品台帳への入力です。

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