この記事でわかること
- 記録・申し送り・日報は、AIが下書きと要約を担い、最終確認は人が行う分け方で試せます
- 始め方は3種類あります。費用・個人情報の扱い・様式の合わせやすさで選びます
- 少人数・短期間で試し、前後の記録時間を自社で測ってから、広げるかを決めます
介護の記録・申し送り・日報で、AIに任せる所と人が確認する所を整理。始め方3つの選び方、小さく試す6ステップ、補助の確認先まで解説します。

この記事でわかること
ポイント
AIに任せるのは「作業」です。音声やメモを記録文に整える、下書きを作る、要約する、といった作業です。何を記録に残すかの判断と最終確認は、人が持ちます。
AIの使い道は、見守りや送迎、ケアプランやシフト作成など、記録以外にもあります。この記事は、記録・申し送り・日報に絞って説明します。
記録・申し送り・日報は、どれも同じ流れで進められます。職員が音声やメモを入れ、AIが下書きと要約を作り、職員が確認して直し、公式の記録にします。
AIは下書きと要約を担当し、確認して公式記録にするのは人です。
業務ごとに、AIに任せる所と人が必ず見る所を分けると、次の表のようになります。
| 業務 | AIに任せる所 | 人が必ず見る所 |
|---|---|---|
| 利用者の記録 | 音声やメモを記録文に整える。下書きを作る | 事実と合っているか。利用者の状態の判断 |
| 申し送り | 記録をまとめて、伝える項目を要約する | 抜けがないか。優先して伝える内容の判断 |
| 日報 | その日の記録から下書きを作る | 内容の確認。社長や管理者への報告の判断 |
| 事業所間の報告・会議の申し送り | 話し合いの内容を整理して、まとめの案を作る | 決まったことの確認。報告先に出してよいかの判断 |
日報の試し方は、日報AIで減らせる手間は2つ|2週間で試す5ステップで説明しています。
放課後等デイサービスや就労継続支援など、障がい福祉の事業所も、同じ分け方で当てはめられます。
記録のルールづくりは、介護記録は型とルールで揃える、個人任せでない仕組みづくりも参考になります。
ソウゾウ合同会社が運営するソウゾウメディアの記事は、記録が重い原因を4つ挙げています。同じ内容を何度も入力する二重入力、細かい様式、申し送りの抜け、書き方が人によって違う属人化です。[出典:ソウゾウメディア「介護記録をAIで効率化|記録・申し送りの作成を自動化する方法【2026】」(2026)]
中小企業全体では、AIの活用目的を聞いた調査があります。AI活用に取り組んだ事業者のうち、「業務時間の節減」を挙げたのは84.5%でした。「人手不足の解消」は40.5%でした。対象は取り組んだ事業者1,685社で、複数回答です。介護業界に限った数字ではありません。[出典:中小企業庁「2026年版 中小企業白書」(2026)]
始め方は、①今の介護ソフトのAI機能、②汎用の生成AI、③自社専用の仕組み、の3つです。社長が見る基準は、費用、個人情報の扱い、自社の様式に合わせやすいか、の3点です。
製品名は並べず、見る観点で比べます。表の「SOAP」は、記録を決まった順番で書く型の一つです。
| 観点 | ①介護ソフトのAI機能 | ②汎用の生成AI | ③自社専用の仕組み |
|---|---|---|---|
| 費用の出方 | 今の契約内容と見積もりで確認 | 使うツールの料金表で確認 | 開発の見積もりで確認 |
| 個人情報の確認先 | ソフトの提供元の規約・契約 | 使うツールの規約(入力データの扱い) | 開発先との取り決めと、自社の管理ルール |
| 様式(SOAPなど)への合わせやすさ | 自社の様式に合うか、提供元に確認 | 指示文で様式を伝えて合わせる | 自社の様式に合わせて作る |
| 今の介護ソフトを替えずに済むか | 今のソフトの機能なので替えない | 今のソフトのまま、別に使う | 今のソフトとの連携方法を確認 |
| 慣れるまでの手間 | 使う画面で操作できるか確認 | 指示文の工夫が必要 | 作るまでの打ち合わせが必要 |
今のソフトにAI機能が付くのを待つか、汎用の生成AIで先に小さく試すかは、有料か無料かでは決まりません。AI活用の研修を手がける株式会社デジライズの記事は、判断の起点を2つ挙げています。「利用目的の範囲内か」と、「応答生成以外に使われないことを確認できるか」です。[出典:株式会社デジライズ「介護・福祉業界の生成AI活用完全ガイド」(2026)]
どちらの場合も、確認先は使うツールの規約です。確認できないうちは、利用者の情報を入れません。
使い方の例を2つ紹介します。Google Japan Blogは2026年3月、Geminiアプリの「ケア記録アシスト」を紹介しました。短い音声メモや手書きメモの写真から、SOAPなどの形式で記録の草案を作ります。草案は、スタッフが確認して承認してから公式記録になる設計です。[出典:Google Japan Blog「日本の介護現場に、人が人と繋がる時間を。」(2026)]
介護記録のAIツールを提供する株式会社scovilleは2026年6月、SOMPOケアが全国約1,100拠点に導入したと発表しました。会議や面談の音声を文字起こしと要約にして、テンプレートで記録にする使い方です。大手の例ですが、「音声→要約→テンプレート」の流れは、小さな事業所でも参考になります。[出典:株式会社scoville「介護特化型AI記録作成ツール「noman」、SOMPOケア全国約1,100拠点に全社導入」(2026)]
ここで紹介したのは使い方の例です。特定の製品をすすめるものではありません。
ツールを選ぶときは、デモや試用で次の点を確かめます。次のチェックリストで、試す前に確かめてください。
まず少人数・短期間で試します。デジライズ社の記事は、導入を最初の3か月に分ける進め方を、目安として示しています。推進担当者を決める、利用ガイドラインを作る、現場に広げる、月ごとに振り返る、という流れです。[出典:株式会社デジライズ「介護・福祉業界の生成AI活用完全ガイド」(2026)]
次の6ステップで進めます。各ステップで、社長が決めることと、現場や外部に任せられることを分けます。
各ステップで、社長が決めることと現場・外部に任せられることを分けて進めます。
何に時間がかかっているかを、記録・申し送り・日報に分けて書き出します。
書き出すのは現場の職員で構いません。社長は、一覧を見て「どれが一番重いか」を選びます。
試すのは、1つの記録と、1つのチームだけです。いきなり全体に広げません。
社長の役割は、最終確認とルール決めです。下書き作りは現場の担当者が行います。
利用者が特定できる情報は、そのまま入れません。名前や住所を、記号に置き換えるなどのルールを先に決めます。
あわせて、使ってよいツールを決めます。職員向けに、短い約束事を1枚にまとめて配ります。
音声やメモをAIに渡して、下書きを作らせます。指示文の例は次のとおりです。数字は入れず、様式と注意点だけを伝えます。
次のメモを、介護記録の文章に整えてください。事実だけを書き、わからない点は「要確認」と書いてください。
出てきた下書きは、必ず職員が読み直して直します。
効果は、自社で測って確かめます。同じ職員が、同じ種類の記録を書いたときの、1件あたりの時間を比べます。試す前の数日と、試した後の数日を、同じ方法で計ります。
測り方の例として、株式会社シーユーシー(CUC)の実証があります。同社のホスピス型住宅の2拠点で、Geminiアプリを使った記録を試しました。職員1名が入居者1名分の記録にかける平均時間は、4.0分から3.3分になりました。約20%の短縮です。[出典:株式会社シーユーシー「【Geminiで介護DX】記録作業を「寄り添うケアの時間」に。」(2026)]
対象はスタッフ27名で、既存の介護ソフトをそのまま使いました。記事に期間の記載はなく、発行者自身の実証です。自社の目標となる数字は決めず、まず前後の差を見ます。
測った結果、職員の声、直す手間を見て、続けるか、広げるか、やめるかを決めます。
うまくいけば、記録に取られる時間が減り、ケアに使う時間が増える見込みがあります。ただし、直す手間が増えるなら、やめる選択も残します。
失敗は、個人情報の入れ方、AIの誤り、確認の抜け、慣れるまでの手間の4つに集まります。
AIは、もっともらしい間違いを書くことがあります。だからこそ、最終確認は必ず人が行うルールにします。
| つまずき | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
| 個人情報の入れ方 | 利用者が特定できる情報を、そのまま入れてしまう | 入力する範囲と管理ルールを、先に決める |
| AIの誤り | 事実と違う内容が、下書きに入る | 誤りを前提にして、人が元のメモと見比べる |
| 確認の抜け | 忙しくて、確認せずに公式記録にしてしまう | 確認した人の名前を残す手順にする |
| 慣れるまでの手間とコスト | 操作に慣れず、かえって時間がかかる。費用がかさむ | 少人数で試して、続けるかを決める |
人とAIの役割分担も、先に決めておきます。AIは下書きと要約を担い、人は確認と判断を担います。Google Japan Blogが紹介する「ケア記録アシスト」も、草案をスタッフが確認・承認してから公式記録になる設計です。[出典:Google Japan Blog「日本の介護現場に、人が人と繋がる時間を。」(2026)]
ソフトのAI機能が付いていても、機能に頼りきりにしません。確認の手順は、社内で持ちます。
費用は、やり方によって変わります。料金の目安はここでは示しません。見積もりや公式の料金表で確かめてください。補助は、要件を満たせば受けられる可能性があります。
費用の不安は、多くの企業にあります。AI導入の阻害要因を聞いた調査では、「導入にあたっての高コスト」が46.9%で最多でした。複数回答で、この設問の回答は1,636社です。中小企業全体の調査です。[出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査」(2026)]
補助の確認
[出典:厚生労働省老健局高齢者支援課「テクノロジー等を活用した介護現場における生産性向上の重要性とその施策について」(2026)]
使えるかは、自分の都道府県に聞いて確かめます。「必ずもらえる」とは言えません。
確認の手順は次のとおりです。まず、介護テクノロジー導入支援の窓口を、都道府県のホームページで探します。次に、使いたいツールが対象になるかを、窓口に聞きます。最後に、受付期間と必要な書類を確かめます。
自分たちだけで進めにくいときは、外部に伴走してもらう形もあります。ただし、最終確認とルール決めは、社内に残します。
外部に任せられるのは、棚卸しの整理、指示文や様式の整え、試した結果の測定の手伝い、などです。費用は、依頼先の見積もりで確かめます。
カクヤクAIXでは、こうした伴走で進める形の相談を受け付けています。
ソフトを替えずに試す前の整理には、中小企業のAI活用は20.4%、社長一人から始める4ステップも役立ちます。
入力する範囲と管理ルールを、先に決めてください。使うツールの規約で、入力したデータの扱いを確認します。確認できないうちは、利用者が特定できる情報を入れません。
試せます。CUCの例は、既存の介護ソフトをそのまま使っていました。比べ方は始め方は3つ。社長は何を基準に選ぶのかで説明しています。
まず少人数で試します。月ごとの進め方は、デジライズ社の記事にある目安です。自社の人数に合わせて調整します。
要件を満たせば、受けられる可能性があります。申請先は都道府県です。汎用の生成AIが対象かは、都道府県に確認してください。
使えます。AIに任せる所と人が見る所は、任せられる作業と人が決める判断の表で分けています。
同じ分け方で試せます。AIが下書きと要約を担い、人が確認する流れは変わりません。
外部に伴走してもらう形があります。棚卸しの整理や測定の手伝いを任せ、最終確認とルール決めは社内に残します。
まず試す3つのこと
まず棚卸しから一緒に整理したい方は、カクヤクAIXにご相談ください。