面接のAI活用|任せる作業と人が決める判断

面接でAIに任せるのは日程調整・質問準備・記録整理の作業で、合否は人が決めます。AI面接ツールと生成AIの違い、導入前に決める5点、伴走支援の選び方を整理します。

この記事でわかること

  • 面接にAIを使う価値は「判断」ではなく、日程調整・質問準備・記録整理という「作業」を減らすことにあります。
  • 合否と不採用理由は人が決めます。AIの出力を人が機械的に承認する形にはしません。
  • 導入前に、求める人物像・応募者への説明・記録の扱いを決めます。自社だけで難しければ伴走支援を使う手もあります。

面接にAIを使うと、何が楽になるのか

面接の仕事は「作業」と「判断」に分けられます。AIが手伝えるのは作業の側です。採用が少ない年でも、日程調整やメモ整理の手間は減らせます。

面接のたびに、日程のやり取りと質問づくりに時間が取られます。終わればメモの清書も待っています。その分、社長が見るべき人柄や価値観の判断に時間を割けません。

AI活用に取り組んだ中小企業に、活用の目的を聞いた調査があります。「業務時間の節減」を挙げた事業者は84.5%です。対象は取り組んだ1,685事業者で、複数回答です。面接に限った数字ではありません。[出典:中小企業庁(2026)]

AI面接とは何か

AI面接には大きく2つの型があります。ITセレクトを運営する発注ナビ株式会社の記事では、録画した回答をAIが分析する形式と、AIが対話しながら質問を進める形式が紹介されています。前者はAIが面接を解析して支える型、後者はAIが面接官の役を務める型です。

この記事では、人が面接をしてAIが作業を支える形を中心に扱います。[出典:発注ナビ株式会社「AI面接とは? 導入メリットや注意点、選び方を解説」(2026)]

面接のどこでAIが役に立つか

役に立つのは、日程調整・評価基準の統一・記録の蓄積の3つです。

日程調整は、面接官と応募者の空き時間を合わせる手間が減ります。株式会社WEELの記事も、日程調整などの人的コスト削減を利点に挙げています。[出典:株式会社WEEL「AI面接とは?人事担当者向けにメリット・注意点・おすすめサービスを徹底解説」(2026)]

評価基準は、面接官ごとにばらつきやすい点です。AI人事プラットフォームを運営するレバレジーズ株式会社の調査です。採用の課題で「面接官ごとの評価基準のバラつき」は34.2%でした。対象は採用で課題を感じる企業の担当者1,625名です。大手・中堅も含み、従業員10〜50名の会社に限りません。[出典:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」(2026)]

記録は、残しておけば次の面接や採用基準の見直しに使えます。

ポイント

AIに任せるのは作業です。人柄や価値観を見極める判断は、社長や面接官が持ち続けます。

どこまでAIに任せ、何を人が決めるのか

作業ごとに、AIに任せる範囲と人が必ず見る範囲を分けます。合否・選考基準・不採用理由・応募者への送信は人が行います。AIは下書き・整形・抜き出し・候補出しを受け持ちます。

作業今のやり方AIに任せること人が決めること
日程調整電話やメールで空き時間を聞き合う面接官の空き時間から候補を出す空き時間の扱い、日程がぶつかった時の対応
質問の準備履歴書を見ながら、その場で質問を考える応募書類から強みや確認したい点を拾い、質問案にするどの質問を使うか
記録の整理面接後にメモを清書する文字起こしと要約評価と、その根拠
合否・連絡社長が決めて連絡する連絡文の下書き合否、不採用の理由、送信

AI面接を導入した企業に、合否判断の運用を聞いた調査があります。レバレジーズ株式会社の調査です。AIスコアのみで自動判定は38.1%でした。ボーダーライン層のみ人が確認は36.7%です。AIは参考程度で全動画を人が確認は21.6%です。こうした運用の会社がある、という紹介です。自動判定は勧めません。[出典:レバレジーズ株式会社「新卒・中途採用におけるAI面接導入に関する実態調査」(2026)]

社長自身が面接官を兼ねる会社では、社長は「記録を読んで判断する」役に回ります。日程と記録の整理は、事務担当とAIに渡します。

ポイント

合否を決めるのは人です。AIの提案を、そのまま承認する形にはしません。

日程調整:AIに候補を出させる前に人が決める

先に人が決めておくのは、面接官の空き時間の扱いと、日程がぶつかった時の対応です。はてなベース株式会社の記事も、AIに候補を出させる前に人がこれを決めておくと述べています。

たとえば、面接の間に余裕時間を置くかどうかです。これを決めずにAIへ任せると、詰め込みすぎた日程が出てきます。[出典:はてなベース株式会社「採用業務を FDE 方式で本番化する」(2026)]

質問の準備:応募書類から質問案を作る

応募書類を汎用の生成AIに渡し、強みや確認したい点を質問案にしてもらえます。AIは、書類の内容から質問の材料を拾う係です。

質問を選ぶのは面接官です。AIの案は、聞き漏らしを防ぐ下書きとして使います。応募書類を入れる前の確認は応募者への説明と記録の扱いを決めるで説明します。

記録の整理:文字起こしと要約はAI、評価は人

記録は、録音・文字起こし・評価シートの3つに分けて考えます。はてなベース株式会社の記事では、AIは文字起こしと、要件ごとの発言の抜き出しを担当します。評価は面接官が根拠を添えて書きます。

AIに点数や順位を付けさせないことが大切です。整理した記録は、次の面接官への申し送りに使えます。入社後の育成や、次回の質問の見直しにもつながります。[出典:はてなベース株式会社「採用業務を FDE 方式で本番化する」(2026)]

AI面接ツールと、汎用の生成AIのどちらが合うか

どちらが合うかは、応募数と運用体制で決まります。採用人数が少ない会社は、汎用の生成AIで「日程・質問・記録」だけを楽にする使い方から始められます。

観点AI面接ツール(録画型・対話型)汎用の生成AIで作業を楽にする
向く会社の規模・応募数応募が多く、一次面接を大量にこなす会社採用人数が少なく、人が面接する会社
AIがやること面接の実施や回答の分析日程の候補、質問案、文字起こしと要約
評価の根拠の見えやすさツールの作りで違う。事前に確認する評価は面接官が書くので、根拠を自分で残せる
応募者への説明の手間AIが面接や分析をする旨の説明が要るAIを記録整理に使う旨の説明が要る
費用の考え方ツールごとの料金プランを比べる使うAIの料金に加え、運用の決めごとを作る手間がかかる
サポート体制導入後の支援を確認する自社で運用を作る。必要なら外部の支援を使う
個人情報の管理サービスの情報の扱いを確認するサービスの情報の扱いを確認する

AI導入の阻害要因を聞いた、独立行政法人中小企業基盤整備機構の調査です。「導入にあたっての高コスト」が46.9%で、最も高い回答でした。この設問の回答数は1,636で、複数回答です。

同じ調査で、AIを既に導入した中小企業は20.4%でした。対象の回答数は1,647です。どちらも面接に限った数字ではありません。[出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構(2026)]

録画型・対話型・人が面接する型の違い

録画型は、応募者が決まった質問にビデオで答えます。その録画をAIが分析します。時間を選ばず受けられる形式です。

対話型は、AIが応募者と話しながら質問を進めます。その場の受け答えに合わせて質問が変わります。

人が面接する型は、人がオンラインなどで面接し、AIが解析や要約をします。株式会社WEELの記事は、こうした中間形態もあると紹介しています。AIは合否判断を置き換えるものではなく、人による選考を支援するもの、という考え方です。[出典:株式会社WEEL「AI面接とは?人事担当者向けにメリット・注意点・おすすめサービスを徹底解説」(2026)]

ツールを選ぶときに比べる観点

ツールを選ぶ前に、比べる観点を決めます。ITセレクトの記事も、評価項目を自社の人物像に合わせて設定できるか、評価の根拠が透明かを選び方に挙げています。[出典:発注ナビ株式会社「AI面接とは? 導入メリットや注意点、選び方を解説」(2026)]

比べる観点

  • 評価項目を、自社の求める人物像に合わせて設定できるか
  • 評価の根拠が見えるか
  • 導入後のサポート体制はどうか
  • 個人情報の保護とアクセス管理はどうか
  • 料金プランは自社の使い方に合うか

起業LOGの記事は、サービスごとに評価内容・機能・料金プランが異なるため、十分に比較してから選ぶことが重要と述べています。いきなり全面導入せず、まず試しに使う進め方が安全です。[出典:起業LOG「【成功事例多数】AI面接とは?仕組み・メリットや導入のポイントを解説」(2024)]

AIの偏りと見落としへの備え

AI面接には、いくつかの弱点があります。社風が伝わりにくいこと、評価の理由が見えにくいこと、優秀な人材の見落としが起きることです。WEELの記事は、アルゴリズムの設計次第で偏りが入り込む可能性にも触れています。

対策は、人の面接と併用することです。AIの出力は、人が確かめる材料にとどめます。

失敗と対策を2つ挙げます。

  • 失敗:AIの点数を鵜呑みにする。対策:点数の根拠を人が読み、面接官の評価と見比べる。
  • 失敗:基準を決めずに入れる。対策:先に求める人物像と評価項目を決める。

導入前に決めておくことは何か

導入前に決めることは5つあります。決めずに始めると、AIの出力が人によってぶれます。

次のチェックリストで、決めたかどうかを確かめてください。

  • 求める人物像と評価項目
  • AIに任せる作業と、人が決める作業の線引き
  • 応募者への説明文(AIを使うこと、データの目的、保管方法、人が最終判断すること)
  • 記録の保管と削除のルール
  • AIに入れない情報

求める人物像と評価項目を決める

先に、どんな人に来てほしいかを言葉にします。Indeed Japanの記事は、導入時に「求める人物像」(採用基準)を具体的に定めることが重要と述べています。

たとえば「指示を待たずに動ける人」を、面接での具体的な行動の例に置き換えて書き出します。基準が決まれば、AIが整理した記録も、人が同じ物差しで読めます。[出典:Indeed Japan「AI採用とは。活用法やメリット、導入時の注意点を解説」]

応募者への説明と記録の扱いを決める

応募者には、AIを使うこと、データの目的、保管方法、人が最終判断することを伝えます。WEELの記事も、応募者にデータの目的や保管方法を伝えることを注意点に挙げています。Indeed Japanの記事は、AIによる合否判定に抵抗を持つ求職者もいるため、人が最終判断すると明確に伝える必要があるとしています。

説明文の例です。「面接の記録整理にAIを使います。記録は選考の目的だけに使い、保管期間が過ぎたら削除します。合否は人が決めます。」

注意

応募者の個人情報をAIに入力する前に、サービスの情報の扱いを確認する。国の指針などの公的な決まりも、あわせて確認してください。

自社だけで進めるか、伴走支援を頼むか

決めごとを作れる人が社内にいるかで選びます。いれば自社で、いなければ伴走支援を使うのが現実的です。

項目自社で進める伴走支援を頼む
向く会社評価項目・説明文・記録のルールを作れる人がいる決めごとを作る人がいない。個人情報の扱いに不安がある
最初にやること面接1回分の記録整理から試す面接の線引きと導入前の決めごとを一緒に整理する
つまずきやすい所決めごとが後回しになり、AIの出力がぶれる社内で決めたい中身を、先に言葉にしておく必要がある

DXに取り組んでいない従業員100人以下の企業に、理由を聞いた調査があります。「自社がDXに取組むメリットがわからない」は54.0%で、最も高い理由でした。調査は2026年4月17日〜6月12日に行われています。[出典:独立行政法人情報処理推進機構(2026)]

メリットが見えないまま大きく始めるより、小さく試して確かめる進め方が合います。費用の面でも、前の章で見たとおり「高コスト」が阻害要因の最上位です。

AIを使う全体の始め方は、中小企業のAI活用は20.4%、社長一人から始める4ステップで確認できます。

面接1回分の記録をAIに整理させる

直近の面接1回分の記録を、AIに整理させます。応募者の名前など、個人を特定できる情報は外して渡します。

文字起こしがあれば、要約と、求める人物像ごとの発言の抜き出しを頼みます。

文字起こしの試し方は、議事録AIの使い方|スマホ1台で試す5ステップと社内ルールにまとめています。

AIの整理結果を人が読み直す

AIの整理を、元の記録と見比べます。抜けや言い違いがないかを人が確かめます。

評価は、面接官が根拠を添えて自分で書きます。AIに点数や順位は付けさせません。

決めごとを書き出して次の面接に使う

やってみて気づいた点を、決めごとにします。評価項目、応募者への説明文、記録の保管ルールの3つです。

書き出した決めごとを、次の面接から使います。決めごとを作る人がいなければ、ここで相談する手もあります。

社内の人材づくりの進め方は、AI人材育成は1業務から|中小企業の進め方5ステップも参考になります。

決めごとを誰が作るかで迷うなら、カクヤクAIXの無料相談があります。面接の線引きと導入前のチェックを、一緒に整理します。

よくある質問

Q. 年に数人しか採らない会社でもAIを使う意味はありますか。

A. あります。日程調整や記録整理は、採用人数が少なくても毎回かかる手間です。まずは日程調整:AIに候補を出させる前に人が決めるから試せます。

Q. 合否をAIに決めさせてよいですか。

A. 決めさせません。合否と不採用理由は人が決めます。AIは下書きや抜き出しを担当します。レバレジーズ株式会社の調査には自動判定の運用も出ていますが、この記事では勧めていません。

Q. 応募者には何と説明すればよいですか。

A. AIを使うこと、データの目的、保管方法、人が最終判断することを伝えます。例文は応募者への説明と記録の扱いを決めるにあります。

Q. 社内に詳しい人がいませんが、自社だけでできますか。

A. 面接1回分の記録整理なら、自社で試せます。評価項目や記録のルールを作る人がいなければ、伴走支援を使う手もあります。

Q. 録画型・対話型のツールは中小企業に向きますか。

A. 応募が多く、一次面接を大量にこなす会社に向く形式です。採用人数が少ない会社は、先に汎用の生成AIで作業を楽にする使い方を考えます。比べる観点はツールを選ぶときに比べる観点で確認できます。

面接の線引きや導入前のチェックを整理したい方は、カクヤクAIXの無料相談をご利用ください。サービス資料もあります。

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